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「惑星ティア」って何?

2018.07.17 (Tue)
7月28日の明け方、今年2回目の皆既月食を迎えます。
皆既食が始まる時の高度が東京では2.8度と低く観察が困難ですが、
大接近中の火星と一緒に楽しめるでしょう。
次の皆既月食は、約3年後の2021年5月26日です。

今回はまた、皆既食から月の入りまでの時間が短いのが特徴です。
28日午前3時24分に南西の空で欠けはじめ、
同4時30分に月がすべて隠れる皆既食に入ります。仙台市では、
皆既食がはじまってから8分後の同4時38分には月の入りとなります。

東京都港区も、皆既食の開始から19分後の同4時49分には月の入りです。
月の入りは、西に行けば行くほど遅くなります。
たとえば福岡市では、皆既食の開始から1時間2分後の同5時32分が
月の入りですので、東京よりは観察しやすそうです。
(The PAGE)

月食が起きるしくみ


今回は太陽系関係の宇宙の話題にします。28日の皆既月食は
明け方に起きるんですね。ですから、もうすぐ月が西の地平線に沈む直前
ということになります。これだと、西のほうに山などがある場合、
観測できないかもしれませんし、日本の東の地域では、
皆既月食が始まってすぐ沈んでしまうので、西の地域が観測に有利です。

7月28日 東京での観測予想図
mssssasu (2)

で、本項のメインテーマは、大いに月に関係はありますが、月そのものではなく、
「惑星ティア Theia」についてです。この名前、聞かれたことがあるでしょうか。
知ってるという方は少ないんじゃないかと思います。
「惑星ティア」は、かつて太陽系にあった可能性のある仮説上の惑星です。

何から説明しましょうかね。まず、地球ができたのはいつごろのことか。
これは、今から46億年ほど前に私たちの太陽系が形成され始め、
そして約45億4000万年前に地球が誕生したと、さまざまな根拠から
推定されています。(ちなみに宇宙の年齢は140億年程度)

約46億年前、巨大なガス雲の重力による収縮のため、まず太陽が形成され、
形成後に残ったガスや宇宙塵の円盤から、現在知られている、
地球をはじめとする、火星や金星、木星などの、
太陽系のメンバーが形成されたと考えられています。



このとき、太陽と地球の距離と同じくらいの距離に「惑星ティア」があった、
とするのが「ジャイアント・インパクト説 giant-impact hypothesis」です。
これは、地球の衛星である月が、どのように形成されたかを
説明するためのもので、比較的近年に提唱されました。

では、これ以前に、月の存在を説明するためにどんな仮説があったかというと、
原始地球は高速で回転していてその一部がちぎれて月になったとする「親子説」。
太陽系形成時に塵の円盤から地球と一緒に月が出来たとする「兄弟説」。
月は地球とは別の場所でできそれが後に地球の引力に捕らえられ、
地球の衛星となったとする「他人説」の3つです。

ところが、宇宙探査が進み、だんだんに月の地殻の化学組成が明らかになるにつれ、
地球と月の化学組成が、ひじょうによく似ていることがわかってきました。
つまり、兄弟説や他人説は候補から外れてしまったんですね。
「親子説」ならこれが説明できますが、原始地球がちぎれるほどの
巨大エネルギーがどこから来たのか、ということがはっきりしません。

そこで登場したのが、「ジャイアント・インパクト説」。
45億年前、原始太陽系には火星ほどの大きさの惑星ティアが存在し、
それが軌道の乱れによって地球に斜めに衝突し、ティアは粉砕され、
また地球も大きく破損した。その残骸は土星の輪のようになって、
地球のまわりを漂っていたが、やがて集まって月になったというものです。

「ジャイアント・インパクト説」 地球に衝突するティア


また、ティアの重い鉄のコアは、地球の引力に引きつけられて
地球に落下し、このため、地球は中心部に大きな鉄のコアを持つことになった
と説明されます。これがたしかなら、人類の歴史を大きく変えた
鉄器の存在も、ティアに由来するのかもしれません。

ただし、この説には問題点もあります。上で、月と地球の化学組成がよく似ている
と書きましたが、もしジャイアント・インパクト説が正しいなら、だいたい
月の成分の5分の1が地球に由来し、残る5分の4は衝突したティアに由来する
ことになります、そうすると、地球とティアの組成も
よく似ていなくてはなりませんが、そこが証明できないんですね。

この他にも、惑星である地球とティアが衝突するなどが起きる可能性は、
極めて低いことも指摘されています。これらの疑問を解決するために、
ごく最近出てきたのが「複数衝突説」で、ジャイアント・インパクト説のように
月は1回の大規模衝突によってできたのではなく、小さな星の衝突が
複数回くり返し起きてできたとするものです。

「複数衝突説」


これだと、複数回の衝突によって月が形成されることで、
月の化学組成は多数の小衛星の組成を平均化したものになります。
ですから、月と地球の化学組成がよく似ていても、
そう大きな問題にはならないわけです。

うーん、このうちのどれが正しいのか、世界中の天体物理学者が研究しても
結論が出ないわけですから、自分なんかが意見を言うのは無理なんですが、
複数衝突説よりは、ジャイアント・インパクト説のほうが
壮大なロマンがあるように感じますね。

さて、太陽系の惑星にはギリシア神話の神々の名がついてますよね。
では、ティアはどんな神なんでしょう。じつはティアに関する神話はあまり
残っておらず、月の女神セレーネの母であることから
名づけられたもののようです。

ティアとセレーナ


さてさて、みなさんは28日の皆既月食を観察される予定でしょうか。
自分は占星術師として、こういう天体イベントはできるだけ
観測するようにしているんですが、残念ながら最近、
どうも雨になることが多いんですよね。では、今回はこのへんで。

関連記事 『月=人工天体説って何?』




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コメント
こんばんは^^
皆既月食知らなかったです^^;
ありがとうございます。
28日なら、スケジュール的には見れそうです^^;
天気の問題は、別にして・・(^^;)
ポテチG# | 2018.07.18 02:21 | 編集
コメントありがとうございます
どこにお住まいかわかりませんが
当日は晴れるといいですね
次回は3年後くらいです
bigbossman | 2018.07.18 22:20 | 編集
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