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雨とオカルト

2018.09.07 (Fri)
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今回はこういうお題でいきたいと思います。はたしてどんなことが書けますか。
まず、怪談についてですが、雨などの湿気の多い日には、
霊が出やすいという話がありますよね。霊は水辺に集まりやすいなどとも
言われます。ですが、ネット上の有名な怪談で、
雨の日に起きているものって、ほとんどないんです。

自分が書いた話でも、雨の中での出来事は少ないです。
これ、どうしてなんでしょう。いろいろ考えてみましたが、雨の日には
五感が阻害されるからなんじゃないかと思いました。どういうことかというと、
室内で起きる出来事なら、外が雨でもあまり関係ないですよね。

ところが、雨の日の野外は、まず雨音で他の音がよく聞こえなくなります。
あと、雨そのもので視界も悪い上に、傘をさしています。
ですから、怪異があっても気がつきにくいのかもしれません。
怪異というのは、五感が研ぎ澄まされて感じ取れるものなのに、
その感覚がうまく働いていないわけです。

あとまあ、ぶっちゃけた話をすれば、雨の日の描写って大変ですよね。
いちいち傘をたたんだとか、しずくをタオルでぬぐったとか、
そういう描写を入れなくてはならず、
書くのが面倒だというのも、少なからずあると思います。

さて、オカルト的には、雨は龍神が降らせるとされる場合が多いですね。
これは中国の道教が、仏教と習合してできた考え方だと思います。
鎌倉幕府の第3代将軍、源実朝の歌に、
「ときにより すぐれば民の 嘆きなり 八大竜王 雨やめたまへ」
(『金槐和歌集』)というのがあります。

源実朝
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まだ20歳前の若き将軍が、洪水の被害を目にして、一人、仏寺の本尊の
前で詠んだ歌とされています。この場合は、雨が多すぎるので、
降らせるのをやめてくれと祈願しているわけですが、
この反対に、日照りの際に、雨乞いの儀式をすることもありました。

雨乞いは、農作物の不作に直結するため、国家的行事として行われました。
『日本書紀』には、一番最初に行われた雨乞いとして、
皇極天皇元年(642年)に記述がありますが、
この内容が、自分なんかには じつに興味深いものなんですね。

その年は長い期間雨が降らず、村々では水の神に生贄を捧げたが、それでもダメ。
そこで、蘇我大臣(蘇我蝦夷)が、仏僧を集めて大乗経を読ませたものの、
微雨が降っただけ。その後、当時の皇極天皇が、四方に跪拝して、
天を仰いで祈りを捧げると、5日間も続く大雨になり、
万民は天皇の徳を讃えて万歳したと記されています。

蘇我氏の台頭
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この記述が、蘇我氏に対する天皇家の優越を示すために書かれたと見るのは、
深読みのしすぎでしょうか。史実として、乙巳の変で、
蝦夷の子の蘇我入鹿が、皇極天皇の目前で首をはねられています。
蝦夷も館に火を放って自害しますが、その伏線と考えられなくもないですよね。

もう一つ、蘇我氏は仏教的に雨乞いをしたんですが、
天皇は仏僧にも経にも頼らず、身一つで祈願をして雨を降らせたようです。
このあたりも、天孫としての天皇家の神格化が進んでいるという
ことなのかもしれません。とはいえ、この後、雨乞いは主に
仏教にのっとって行われることになります。

弘法大師空海
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『今昔物語』には、弘法大師空海が京の神泉苑において、
雨乞いをした話が出てきます。大師が神泉苑で7日間にわたって請雨経法を
誦したら、壇の右に五尺ばかりの金色の蛇が現れた。
しかしそれは、仏僧以外には見えなかった。他の僧に聞かれた大師は、

「この蛇は天竺から来た善如龍王で、雨が降る験(しるし)だ」と答え、
はたして、にわかに空が暗くなって雲がわき出し、
長い間、雨が降り続いて、旱魃の害を避けることができたと書かれています。
これ以来雨乞いは、時の高僧が神泉苑において行うことになりました。

あと、同じ『今昔物語』には、「雨を降らせて死んだ龍」の話も出てきます。
昔、ある僧が奈良の龍苑寺で熱心に法華経が唱えられていると、
人間の姿になって毎日のようにこれを聞きに来る龍がいた。
じきに僧と龍は親友となり、ある年に国中が旱魃に見舞われると、

天皇が僧を呼び、寺に来る龍に雨を降らせるようにと命じた。
事情を知った龍は、「それは本来はできないことだが、自分は法華経によって
罪を救われたので、雨を降らせてみよう。ただ、
それによって自分は死ぬので、どうか弔ってほしい」と言った。

龍が棲むとされる京都の神泉苑
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やがて、激しい雨が降り出して地上は潤い、天皇も人々も喜んだが、
雨のやんだ後に、地上に切り刻まれた龍の死骸が落ちてきた。
僧は約束どおり、龍のなきがらを埋葬し、その場所に龍海寺を建てた・・・
こんな話が載っていますね。

さてさて、ここまでで すごく長くなってしまいました。本当は上田秋成の
『雨月物語』や『春雨物語』、妖怪の「雨女」の話もするつもりでしたが、
残念ながら、またの機会にまわすしかないようです。
では、今回はこのへんで。

関連記事 『雨とオカルト2』

龍を担ぐ雨乞いの祭り
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