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将棋電王戦の話

2018.09.10 (Mon)


ドワンゴは8月、将棋の最強コンピューターソフトを決める大会、
「将棋電王トーナメント」について今年は開催せず、昨年の大会を持って
終了させることを発表しました。同大会優勝ソフトとプロ棋士代表が対決する
将棋「電王戦」もすでに2017年に終了しており、
これに伴って同トーナメントも幕を閉じた形です。
(THE PAGE)

今回はこのお題でいきます。科学ニュースに載っていたものですが、
内容が科学かというと、ちょっと違うような気がします。
自分は、下手くそで弱いですが、将棋を指すので、
プロ棋士VSコンピュータ将棋ソフトについては、ずっと前から注目していました。

昔の将棋ソフトも使ったことがありますが、詰将棋をのぞいて、
1990年代はじめころの将棋ソフトはとにかく弱かったのを覚えてます。
弱いというか、プログラム上の欠点が多かった。ある局面にこちらから
誘導すれば、おかしな手を指して勝手に負けてくれるんですね。

ただ、その頃から自分は、近い将来、将棋ソフトはプロ棋士よりも
はるかに強くなるだろうとは思ってました。というのは、
将棋は、麻雀などとは違って、それまでに起こっている情報をすべて把握する
ことができる完全情報ゲームです。ですから、正しい方向で計算をすれば、
より正確な答えが出てくるはずです。将棋は、図形的な要素を含む計算ですから、
速度や正確性で、人間が機械に勝てるはずがありません。

ところが、2000年代に入っても、将棋ソフトはなかなか強くなりませんでした。
将棋ソフトの制作は、個人でやってる人が多かったんですが、自分は、
これもし、大手企業が本腰を入れ、お金をかけて研究すれば、もっと早く
人間を凌駕するものができるんじゃないかとも考えていました。Googleが制作した
囲碁ソフト「アルファ碁」は、あっという間に人間のプロを超えましたよね。

このあたりのことを思い返してみると、自分の心境も複雑でしたね。
人間が機械には負けてほしくないと思う半面、圧倒的な強さを誇る
将棋ソフトの登場も見てみたいという、相反した気持ちがあったんです。
それでも、将棋ソフトは少しずつ強くなっていき、2000年代の後半には、
自分(bigbossman)の力ではソフトに勝てなくなりました。

では、将棋ソフトが、人間の最高峰であるプロ棋士を超えたのはいつのことか。
それまで、将棋ソフトとプロ棋士の公的な対局は、
当時の日本将棋連盟会長、米長邦雄氏が禁止したこともあり、
なかなか行われませんでしたが、非公式には、「プロ棋士の○○がどうやら
ソフトに負けたらしい」といった噂が流れることもありました。

で、初めて公式対局が行われたのは、2007年の大和証券杯特別対局で、
将棋ソフトBonanzaと、当時竜王だった渡辺明プロとのものでした。
この将棋はひじょうにもつれた内容となり、いったんはソフトが優勢な
局面もありましたが、最終的には渡辺竜王が辛勝しました。

その翌年、情報処理学会が制作した「あから2010」というソフトと、
清水女流王将が戦い、ソフトが勝利しました。
「あから2010」は、4つのプログラムの合議制で、
多数決で次の指し手を決めるというユニークな特徴を持っていて、
内容は「あから」の完勝に近いものでした。



その後、68歳の米長会長の対局をはさんで、2013年、ドワンゴの主催で、
ソフトとプロ棋士の5対5対局、「電王戦」が行われ、
ソフト側の3勝1敗1持将棋(引き分け)の勝ち越しで終わりました。
この経緯を考えると、2011~12年ころには、
すでにソフトの力がプロ棋士を上回っていたんじゃないかと思います。

で、これらの対局のほとんどを、自分は中継で観戦したんですが、
見ていて、「ああ、ソフトが人間の力のはるか上をいくようになっても、
人間の将棋がなくなることはないな」という確信を持ったんですね。
なぜそう思ったかというと、例えば、サッカーのすごい試合なら、
サッカーを一度も見たことがない人にも、スピードや技術は伝わると思います。

ところが将棋の場合、頭脳競技ですから、プロ同士の対局をアマチュアが見ても、
よほどの高段者でないと、本当の意味はわかりません。まして、
プロより強いソフト同士の対局を、その場で理解できる人間はいません。
そういう意味で、観る将棋というのは、
対局内容以外のファクターが重要になってきます。



ところが、将棋ソフトには基本的に個性がありません。
いや、例えば振飛車ばかりやるソフトとか、個性はプログラミングによって
作ることはできるでしょうが、それに意味があるとも思えません。
じゃあ、対戦型ゲームでよくあるように、ソフトに、女の子の顔のイラスト、
名前、年齢などを決めてキャラづけすればいいのか。

でも、その女の子は、考えているふり、苦しんでいるふりをするだけで、
実際はそうではないのは誰でもわかります。AIが感情を持つのは
まだまだ先のことでしょう。また、将棋ソフト同士が戦って、
勝って得るもの、負けて失うものがないんですね。これがプロ同士だったら、
負けたら「あいつは弱い」といことになって、仲間内の評価は落ちるし、
収入も減ります。家族に責められるなどもあるかもしれません。



つまり、人間同士の勝ち負けには、その人の人生がかかってるから面白いんですね。
あまりいい言い方ではないですが、人の人生を左右するような勝負ほど、
見世物としても価値が高いわけです。ですから、ソフト同士の対局で、
プログラムの製作者が横に出てきて、互いに年収の何分の1かを賭け、
一手指すごとに一喜一憂する。これなら、見て面白いものになるかもしれません(笑)

ということで、勝負事は相撲なんかでも、われわれは競技を通して、
人の人生を観ているんだと思います。ですから、人間のエンタメとして、
現在のところは、人間の範疇を超えた戦いにはなかなか興味を示せないんですね。
ただ、将来的にどうなるかは何とも言えません。

さてさて、上記のニュースは、「将棋電王トーナメント」の開催についての話ですが、
これが終わっても、「世界コンピュータ将棋選手権」のほうは、
まだ続いていきます。さて、その先には、負けたら怒って爆発するような、
感情を持ったソフトなども出てくるでしょうか。では、今回はこのへんで。





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