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「若返り」あれこれ

2018.09.15 (Sat)
今月7日付の英紙「The Daily Mail」によると、加齢が原因となる病で苦しむ
患者に、若者の血液を輸血する例が増えているという。まるでヴァンパイアが
若さを保つために乙女の血を求めるかのような野蛮な行為にも思えるが、
最近の科学的な研究でも次第にその効果のほどが明らかになりつつあるという。

英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの遺伝学者リンダ・パートリッジ氏らが
今月、科学誌「Nature」に発表した論文によると、
若者の血液の輸血によって、ガンや認知症、心疾患などの病に苦しむことなく
人生を送れることを示唆するデータが出ているそうだ。

パートリッジ氏らによるマウス実験では、若い個体の血液を輸血された
老齢のマウスは、加齢による病気を発症せず、認知機能を高く維持していたのに対し、
逆に老いた個体の血液を与えられた若いマウスは、
老化して病気になりやすくなったという。
(Rakutenニュース)

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今回はこのお題でいきます。「若返り」というのは難しい概念です。
何をもって「若返り」というのか? 多くの人は、外形的なことを頭に浮かべる
んじゃないでしょうか。つまり、白髪がなくなり、しわやシミが消え、
みなさんが20歳のときのようなみずみずしい外見に戻る。

しかし、若さ、というのはそれだけではありませんよね。
体力面のこともあります。例えば、20歳の頃はいくら動いても疲れず、
100mを11秒台で走れた。徹夜もできたし、お酒も強かった。
あの頃に戻りたいなあ みたいなことは、自分もときどき考えます。

それから、「気持ちが若い」という言葉に見るように、
精神的な若さというのもあるでしょう。若いときは失敗を怖れず、
何に対してもチャレンジできた。今は老成して、冒険ができなくなった。
ジジ臭くなってしまった、なんてことですね。

「若返り」を求める心境には、「齢をとるのはよくないことだ」という、
老化を否定する考え方があるんだと思います。これは無理のないことで、
歳をとるほど、できないことが増えてきます。関節が痛んだり、
生活習慣病になったりして、どんどん死に近づいてくいくわけですね。

「血の伯爵夫人」バートリ・エルジェーベト
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さて、上記のニュースですが、オカルトフアンなら、「血の伯爵夫人」の
異名を持つ、16世紀のハンガリー貴族、バートリ・エルジェーベトの事例を
思い浮かべる方が多いんじゃないでしょうか。彼女は後に告発され、
死刑を宣告されましたが、高い身分のために刑は実施されず、
塔に幽閉された後、1日1回だけ食事が与えられて3年半で死亡しています。

裁判で確認された殺人件数は80人ほどでしたが、実際には300人以上を殺したと
見られており、その多くは領地の若い娘で、拷問により惨殺されています。
肉体を切断したり、処刑具「鉄の処女」を使って集めた
若い娘の血を満たした風呂に入り、その肉を食べたりしたのは、
永遠の若さを保つためであったとも言われますね。

さて、若者の血を輸血するだけで、本当に若返り効果があるものでしょうか。
自分はこれ、かなり怪しいんじゃないかと思います。
日本でも「アンチエイジング」ということが言われるようになって久しいですが、
世界的に、ある物質に若返り効果が発見されたというニュースは、
毎年、いくつもが大々的に発表されます。

これって、すごいお金になるんですよね。少しでも若返り効果がありそうな研究には、
飛びついて高いお金を支払う富裕層が、世界中にたくさんいます。
ですから、大手製薬会社からベンチャー企業まで、かなりの研究費をかけて
若返り研究を行っているところがあちこちにあります。

ですが、画期的な効果があったという事例は、いまだに見られてはいません。
世界のセレブを思い浮かべてみてください。彼ら彼女らは、
若返り医薬や整形手術に多額のお金をつぎ込んでいますが、
いくつになっても化物のように若いという人はいないですよね。

実際、上記の「若者の血の輸血」についても、科学ニュースメディア「Science Daily」
によると、高齢者(平均66歳)に17~20歳から提供された血液が輸血された場合、
40~50歳から提供された血液の場合に比べ、輸血単位あたりで8%、
死亡のリスクが高かったという調査結果が報告されたりもしているんです。

プエルトリコのポンセ・デ・レオン像
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さて、話変わって、「若返りの泉」の伝説は世界各地にあります。最も有名なものは、
16世紀、スペイン人の征服者の一人、ファン・ポンセ・デ・レオンが
探したとされるものでしょう。この人物、日本ではあまり知られていませんが、
彼が現在のプエルトリコを征服した際、現地の人々から、
北アメリカにあるという若返りの泉の話を耳にしました。

征服を重ねるたび、どんどん物質的に豊かになっていったポンセですが、
肉体の衰えを感じ、泉を探し求めてフロリダ半島に初上陸します。
伝説では、彼はついに泉を見つけることはできず、先住民族との戦いで毒矢を受けて
死亡します。彼が最初に上陸したフロリダ州セントオーガスティンには、それを記念し、
「若返りの泉 国立遺跡公園」が作られました。この話、アメリカではかなり有名なんです。

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この他、世界の「若返りの泉」伝説ですが、じつは、若返ることによって幸せになった
という話ってあんまりないんですよね。日本の「若返りの水」の民話では、
最初にじいさんが若返りの泉を山中で見つけ、20歳の青年になって家に戻ってきた。
そこで、ばあさんが場所を聞いて山に出かけるものの、いつまでも帰ってこない。

じいさんが探しに行くと、泉のほとりで赤ん坊の泣き声がした。
ばあさんが、もっともっと若くなりたいと泉の水を飲み続けた結果、
とうとう赤ちゃんに戻ってしまったんですね。しかたなく、若者のじいさんは、
赤ん坊を一人で育てなければならなくなった・・・こういう結末でした。

松尾芭蕉
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さてさて、「老いを受け入れる」というのは、大切なことだと思います。
それは、自然の摂理を受け入れることでもあります。江戸時代は平均寿命が短く、
俳聖、松尾芭蕉は50歳で亡くなっていますが、40代で「翁 おきな」と門人から
呼ばれました。芭蕉は老境の中で「わび・さび」の美意識を構築していきましたが、
齢を重ねることによって、見えてくるものもあるんだと思いますね。
では、今回はこのへんで。

『若返りの泉』部分 ルーカス・クラナッハ 
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