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The lunatic is on the moon

2018.09.24 (Mon)
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今夜は中秋の名月ですね。これは旧暦の8月15日の夜の月をさします。
それが新暦でいつになるかは、毎年ずれるんですが、
今年は今日になるということです。この風習は、他の多くの年中行事同様、
古代の中国からきたものです。ただし、月を信仰する行為自体は、
日本にも古くからありました。

さて、お題を見て、ロックフアンの方なら、イギリスのプログレバンド、
ピンク・フロイドの『狂気 原題 The Dark Side of the Moon』の中の一曲、
「Brain Damage」を思い浮かべられるんじゃないでしょうか。
歌詞の冒頭が「The lunatic is on the grass」です。

月の女神ルナ
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英語で月は moon ですが、luna という言い方もありますよね。
これはローマ神話の月の女神からきています。
では、lunatic がどういう意味になるかというと、「狂った、狂気の」となります。
(名詞としても使われます)月の女神ルナは狂っていたんでしょうか?

これは、そんなことはなくて、ローマ神話では月の女神はもう一人、
ダイアナがいますね。で、ルナとダイアナは同一視されてしまい、
ダイアナの神話は数多く残っていますが、ルナに関するものはほとんどないんです。
ただ、古来から月は人間の精神に影響を与えると考えられてきました。

もう少し英語の話を続けます。「狂った」という意味の英単語は、
mad、crazy、insane などがあります。mad は「怒る」という意味で使われる
(日本だと、「キレる」という感じ)ことも多いですし、
crazy は「~に夢中」という使い方があります。
また、insane は、sane(正気の)の対義語です。

ところが、lunatic に関しては、他の意味ってほとんどないんです。
なぜなのかは自分にはよくわかりませんが、この言葉、
どちらかといえば「躁鬱」という意味が強いのかなと思います。
感情が時期によって不安定になることが、
月の満ち欠けに似ていると言うこともできそうです。  

狼男への変身
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では、月は人間の精神に本当に影響を与えているんでしょうか?
西洋では「狼男伝説」があります。狼男は、ふだんは普通の人間として生活しているが、
満月の夜になると狼に変身し、人間を襲ってしまう。また、狼男は銀の弾丸でないと
倒せないなどとも言われますが、銀は月を象徴する金属です。

さて、満月の日(新月も)には大潮になります。これは月の引力が地球に与える影響
なんですが、ここから、「人間についても月の満ち欠けによる影響がある」という説
があり、「バイオタイド理論」と呼ばれます。1984年、アメリカの精神科医、
アーノルド・L・リーバー(Arnold・L.・Lieber)が、著書『月の魔力』の中で
提唱したものです。この時代、アメリカはニューエイジ思想が流行しており、
バイオタイド理論はかなりの注目を集めました。

満月と新月の大潮
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バイオタイド理論の主な主張は、「地球の80%が海で、20%が陸であるように、
人間も80%が水分で構成されている。だから、海の満ち引きが月によって
もたらされるように、人間の体内の水分が、月によって若干の移動をすることで、
人間の行動にまで変化があるのではないか。」だいたいこんな感じだと思います。

うーん、大きく間違ってはいないでしょうが、自分から見れば、
誤解されそうな部分もあるかと思います。まず、月と地球の相互の引力は天体全体の
質量で起きるのであって、大地にも力がかかっていますが、
大地は動かず、海の水だけが動くわけです。

それと、大潮になるのは海の水に巨大な質量があるためであり、
それに比べれば、人間一人の質量は微々たるものです。  
さらに、地球上の海はつながっていますが、人間の体内の水の大部分は、
それぞれ細胞壁によって隔てられていますよね。

バイオタイド理論では、「満月の日に事件や事故が起きやすく、それが統計結果に
表れている」と主張されます。ただ・・・これについては批判も多くあります。
まずは、統計の手法があいまいだったり、結果が操作されたりしているという、
統計そのものに対する批判です。疑似科学では、
有意な結果を出すべく、複雑な統計の操作が行われることが多いんです。

また、もし統計結果が事実だったとしても、満月の日に事件や事故が多いのは、
夜が明るく、出歩く人が普段より多いためじゃないかとか、
太陰暦を採用している国では、満月の日は祭りや何かの記念日になっていることが多く、
飲酒したり、気持ちが高ぶって事件が起きることもあるだろう、とする意見があります。

「切り裂きジャック事件」
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そう、たしかに他の要因もあるので、
「満月の日に事件・事故が多い=月の引力が人体に影響を与える」
とまでは言えないと思います。この因果関係を立証するのは困難そうです。
あと、バイオタイド理論では、「切り裂きジャック事件」 「ボストンの絞殺魔事件」
などが満月の日に起きているなどとも主張されます。

しかし、満月の日に起きていない残忍な事件も、もちろんいっぱいあるわけです。
ですから、恣意的に事例を選んでいるという批判があるのは当然です。
ただまあ、満月による引力が人間の体に、計測できないレベルの、
ごくごく微量の力をおよぼしていることも、否定はできないんですよね。

さてさて、ここまで読まれて、みなさんはどう思われたでしょうか?
人間の行動が月によって影響を受ける・・・こういう考え方はロマンがありますが、
完全に信じ込むのもどうなのかなと、自分は思います。
では、今回はこのへんで。

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