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実話怪談と創作怪談

2018.09.30 (Sun)
今回はこういうお題でいきます。怪談論に入る内容です。
昨年、作家でオカルト研究家の山口敏太郎氏が、「実話怪談という名の作り話」
というような題で、ネットや著書中に文章を書いて「創作なのに実話だという
ふれこみで本を出す怪談作者」に対しての批判を展開されていました。

「武士の情けで名前は出さないが」とまで書かれていたので、
意中に実在の人物の名前があるのだろうと思います。たしかに、
自分も、「実話怪談」と銘打たれた本の中には、
実際は作者が頭の中で創作したものも多数あるのだろうと考えています。

本来の意味での「実話怪談」というのは、大変難しいものです。
まず体験者に会って取材をしなくてはなりません。それだけで数時間かかるでしょう。
喫茶店で取材を行えば飲食代はもたなくてはならず、その他に謝礼を要求する
体験者もいるかもしれません。交通費もかかりますし、録音などの機材も必要です。

しかも、そうやって集めた話が、必ずしも発表できるものとはかぎらないんですね。
怪異体験の多くは類型的です。一番多いのは、いわゆる「虫の知らせ」系の話。
「玄関に誰かが来たような気がして出てみたが誰もいなかった。それからすぐ
電話がかかってきて、離れたところにいるお祖母ちゃんが死んだという知らせだった」

こういうものです。でもこれ、文章にして本に載せてもまったく面白くないですよね。
使えない話なわけです。実際に取材して得た話の大半はこんなもので、
読者が興味を示してくれそうなのは、数十話に一つ程度だと思います。
ですから、膨大な時間と費用をかけても、年に一冊本にまとめられればいいほうです。

それなのに、年に何冊も本を出しているのは、「自分が頭の中で組み立てた話を
実話として出版してるんだろう」というのが山口氏の批判なんですね。
これはそのとおりと言えば、そうなんですが、
自分が思うのは、「体験者から聞いた話」だからといって、
本当に起きたことかどうかはわからないだろう、ということです。

例えば「ある心霊スポットに行って2階に上がったら、花嫁衣装を着て、
狐の面をかぶった女が床に伏せていた。それ見てみんな逃げ出した。」
こういう話を取材できたとして、それが本当にあったことだと、
どうすればわかるんでしょうか。

そのときスポットに行った人全員を集めて、一人ひとりから話を聞けばいいのか。
でもそれだって、口裏を合わせてる可能性もありますよね。
ここで言われる「実話怪談」というのは、「体験者から取材した話」くらいの意味で、
そのことが本当に起きたという担保がない場合がほとんどなんです。

さて、自分は最初の頃、「自分が体験した話」という形で、
怖い話をネットに投稿していました。もちろんコテハンはつけず、
「名無し」での投稿です。コテをつけないのは、同じ人物がそんなにいくつも
体験があるわけがないだろう、と言われそうだったからです。その他にも、
話によって語り手が若かったり、老人だったり、女性だったりということもあります。

しかし、そうやっているうちにだんだん限界というか、
こうやって話を書き散らしているのがもったいない、みたいな心境になってきました。
そこで、自分の話を一ヶ所にまとめて保管しようと、当ブログを立ち上げたわけです。
そしてその機会に「全部創作だよ」とカミングアウトすることにしたんですね。
プロレスのWWEみたいなもんです。(WWEを知らない方は読み飛ばしてください)

では、ネットに最初から「創作」と明言して怖い話を投稿したらどうなるでしょう。
じつは、実験として何度かやってみたことがあるんですが、
「創作なら読まなかったのに」 「怖いと思って読んでたんだけど、最後に創作って
書いてあったのでがっかりした」 「創作を書きたいなら創作板へ行け」・・・
これらは全部、自分に実際にネットで返ってきたレスです。

やはり一般的な反応としては、「創作は読む価値なし」という感じなんですね。
でも、上で書いたように、その話が実話か創作かは、投稿者が、
「本当に自分が体験した」と言ってるだけで、実際にあったという証拠も
なにもないんです。それなのに、創作と明言しただけで排斥される。

これ、どうしてなんでしょうか。考えてみたら、「実話怪談」と「創作怪談」
では、世界観がまったく違うという事に気がつきました。
「実話怪談」の世界というのは、幽霊が本当にいる世界、
不可解なことが実際に起きる世界です。それに対し「創作怪談」は、
オカルト知識を使って、話を小手先でまとめたものでしかないんですね。

で、自分はこれを理不尽だとは思いません。オカルトというものの大部分は
「信じる」ことによって成り立っています。怪談は、書く方も読む方も、
「心霊的な現象はある」ことを共通の約束事として成立する世界なんですね。
そして、成立させるためのキーが「本当にあった」です。

さてさて、長くなってきたのでそろそろ終わりますが、じゃあどうせなら、
「創作怪談」なんて中途半端なことをしないで、本格的な「ホラー小説」を
書けばいいんじゃないか、と言われそうです。
ですが、「怖いホラー小説」を書くのはすごく難しいんです。

ネットで、本業の片手間に遊びでできるようなものじゃない気がします。
相当な時間をかけてストーリを練り、登場人物に肉づけをし、
構成や伏線を工夫して書いていく必要があります。
それは、能力的にも時間的にも自分には無理です。
ということで、今後もこの形でやっていくことになると思います。






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コメント
① こんにちは。いつも興味深く拝見しております。9月23日付「盗人の系譜」にコメントをさせて頂いた者ですが、御丁寧な回答を頂きまして、有り難う御座いました。

私は、『自分が数千年後の未来に居て、そこで、VRゲーム(バーチャル・リアリティー・ゲーム)を行って、ゲーム「第7次太陽系次元の地球」に意識が全部入り込んだ場合を想定しました。
 すると、自分の肉体とゲーム機が存在する「数千年後の未来」が本当の自分の世界なのか、それとも、ゲームに入り込んだ自分の意識が存在する「第7次太陽系次元の地球」が本当の自分の世界なのか』、と考えていたら訳が分からなくなったので、コメント欄でお尋ねした次第です。

> ・・・わたしたちが見たり感じたりしていることは 本当に「現実」なのか?・・・

 おっしゃるとおりです。いくら考えても分らないので、多くの方に教えを乞うているところですが、未だに分らない状態です。

② ところで、終末予言の「その時」に、ご興味をお持ちでしょうか。

 「神示」では『辛酉はよき日、よき年ぞ』(下つ巻・第30帖)とあり、次の辛酉は2041年になります。そして次に、『四ツン這ひになりて着る物もなく、獣となりて、這ひ廻る人と、空飛ぶやうな人と、二つにハッキリ分かりて来るぞ』(富士の巻・第19帖)とあります。

 上記の2点につきまして、「ヒトラーの予言」にも近接する年代や類似する事象の表現があるようですし、「シリウスファイルのオコットのメッセージ」でも近接する年代や類似の表現が認められるようです。
 (この2例はネットで閲覧できますが、著作権が一々面倒ですし、ウィルス感染問題もありますので、リンクは割愛させていただきます)。

 ここで、神示・ヒトラー・オコットの予言の「その時」の年代は、2041年の数年前から2041年までということになり、20年くらい先の話ですが、随分と気の長い話となります。

 ただし、『天の異変 気付けと申してあろが』(夜明けの巻・第3帖)と有りますように、前兆現象としての天変地異は益々激化して来るように感じられます。

 また、オコットのメッセージの類推解釈から、マヤの2012年の後から「変換の仕組み」が始まっており、中程からは「転換の仕組み」が始まるものと想像しますから、のんびりと20年先を待つわけでも無さそうに思われます。

★ どう思われますか。
7回目の終了です(その7) | 2018.10.01 11:56 | 編集
コメントありがとうございます
予言も、一種類のものだけだと半信半疑の感もありますが
いくつもの出処が異なるものが同じようなことを
指し示しているのだとしたら怖いですね
自分は星占い師ですので、予言とは少し違いますが
占いの結果から原題中国を注視しています
bigbossman | 2018.10.02 00:53 | 編集
はじめまして
実話怪談と創作怪談についての考察記事大変楽しく読ませていただきました。
実話怪談は書く方も読む方も心霊的な現象はあるという共通の約束事として成立する世界というのはプロレスにおけるレスラーとファンの共犯関係に似ているのかなと勝手に思ってしまいました。

slow | 2018.10.05 01:33 | 編集
コメントありがとうございます
まとめサイトに掲載されている怖い話に対するコメントを読めば
「どうせこんなの創作だろ」と言って話のあら捜しをする人もけっこういるんす
そのあたりもプロレスに似ている気がします
bigbossman | 2018.10.05 20:19 | 編集
 こんにちは、野崎でございます。

 以前、密着系のドキュメンタリー番組で、語り手として有名な某I氏が「取材した話を整理して、面白くなりそうな要素を組み合わせている。だから自分の話は創作よりだ」というようなことを言っていた覚えがあります。うろ覚えですが確か。

 まあ、実体験だろうが創作だろうが面白ければいい、と私は思いますけどね。
 もっと言うなら、実話怪談に対して粗探しなんて、野暮の骨頂だと。そんなにソーサクソーサク言うなら自分が書いてみろと。

 ただ、創作怪談にしても実話を名乗るなら実話っぽく見えるような工夫をしてほしいとは思いますけれどね。
 あっ、bigbossmanさんのことではないですよ(汗)

 では、失礼します。
野崎昭彦 | 2018.10.07 10:35 | 編集
コメントありがとうございます
うーん、そうですね 自分が書いているのは「実話風の創作怪談」です
内容的には普通の「実話怪談」とあまり違わないんですが、
読まれる方は「創作」という意識はされていると思います
そこで評価の基準になるのは、怪談である以上
やはり「怖いかどうか」だと思うんですよね
ということで、怖い怪談を書こうと努力はしているんですが
なかなか難しいです
bigbossman | 2018.10.08 00:50 | 編集
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