FC2ブログ

予知する話 2題

2018.10.08 (Mon)
※ ナンセンス話です。

輪になって踊る

いやあ、ひどい目にあいましてね。そのときの話をしますよ。
のっけからこんなことを言い出してあれなんですが、私ね、かなり酒を飲むんです。
毎晩、晩酌するんですよ。ビールから始めて、焼酎のロックを5、6杯。
ええ、けっこうな量です。医者にはね、肝臓の数値がよくないからほどほどにして
くださいとは言われてるけど、まだドクターストップじゃないしね。
いや、飲むなって言われたとしてもやめませんよ。
だって私、もう68歳ですよ。これからあとなんぼも生きられるもんじゃない。
というか、女房が死んでから気楽な一人暮らし。楽しみがなくて生きてたって
しょうがないじゃないですか。そんなだから、毎晩酔っ払って寝て、
夢なんて、ここ何年も見たことがなかったんですよ。
それがその晩は、妙な夢を見ましてねえ。

ふっと気がつくと、草むらみたいなところに立ってました。
でね、私を取り囲むように円を描いて人が踊ってたんですよ。
いやいや、盆踊りとかじゃなくて、音楽は何もなかったです。そのかわりというか、
カサッ、コソッと枯葉がこすれるような音がしてました。
踊ってるのは子ども、大きな子どもでしたね。大きな子どもって言い方は変ですけど、
身長が私よりずっと高かったんです。だけど、昔の野良着のようなのを着た
体つきは子どものものでね、丸々とした手足のやつらがぐるぐる踊ってる。
でねえ、顔がわからなかったんですよ。みんな笠をかぶってましたから。
あとね、踊りって言いましたが、みなバラバラな動きでね。
片足を上げたり、両手を上に挙げたり、拍子ってものがなかった。
いやあもちろん、輪から抜けて逃げ出したいと思いました。

けど、その踊ってるやつらに近づくのが怖くってねえ。
ただそこに立ちつくしてたんですよ。あ、でも、人数は数えました。
12人いたはずです。で、しばらくすると、私の頭の中に声が響いてきました。
ええ、ちゃんと覚えてます。「こいつ、俺らをとるかなあ」
「とるならとってもいいよ」 「まだまだ生えるからね」 「それよりこいつ、
 ひどい目にあうよ」 「そうだよ臭いよ」 「臭い臭い」
「臭いで済むだけならいいねえ」 そして、どーっという笑い声。
そこで目が覚めました。そしたらもう明るくなってましてね。
ああ、夢だったのか、おかしな内容だったなあ。そう考えながら起き出して。
でね、私はもうとうに仕事は引退してまして、毎日やることもないんですが、
その日は裏の持ち山の見回りに行こうと思ってたんです。

で、かごを背負って出かけました。目的は登る道に倒木とかないか、
雪が積もる前に調べることでしたけど、その道々にキノコでもあったら、
とって鍋にしてやろうと思って。でね、進んでいくと、マイタケやシメジなんかが、
かなり収穫できたんです。高い山じゃないので、1時間ほどでてっぺん付近まで
来たんですが、大きな松の木の根元に菌輪があったんです。
菌輪ってご存知ですか。キノコが輪を描くようにして生える現象。
地面の下に菌が広がってるんですね。ああ、こいつらもとってやろうと
近づいたとき、ふと前夜の夢を思い出しまして。
それで、キノコの数を数えてみたら、小さいのも入れて12本でした。
でね、なんか気味悪くなって、それはとるのをやめたんです。まあ、
シメジの一種で、毒ではないものの、それほど食べて美味いキノコでもなかったんで。

でね、夢の中で「臭い臭い」って言われてたんですよね。
あの踊ってたやつらがこの菌輪だとして、臭いってどういうことだろ?
そう考えながら山を下りていくと、ちょっとした斜面で足を滑らしちゃったんです。
ザザザザって落ちていって、手をついたところがネチャリとしました。
で、臭かったんです。あーっ、と思って飛び起きました。
それ、熊の糞だったんです。すぐにわかりました。ええ、まだ乾いてない熊の糞。
どういうことかわかりますよね。近くに冬眠前の熊がいる。
そう思うと心底ゾーッとして、警戒しながら戻ってきました。
幸い、熊の姿は見ませんでしたが、家に戻って町役場に連絡しました。
熊なんて、ここ何年も姿を見なかったのに、山伝いに移動してきたんでしょうか。
それからね、肘のあたりまでべったりついた熊の糞を洗ったんです。

電話に出る

みなさん、家にある固定電話って使うことありますか?
そりゃ、年寄りとかがいれば使うかもしれないけど、うちは使わないですねえ。
みな、スマホで用件が済んじゃう。だから、固定電話の契約を解除する家も
多いみたいです。まあ、月々の電話代がムダですからね。
うちもそうしようかと考えてたんですが・・・
その日ね、平日でしたが、私、仕事休みだったんです。
女房は仕事に出かけてました。それでね、のんびりと居間で借りてきた
ビデオを見てたんですよ。ああそれで、私、山根って言うんです。
映画はホラーでしたけど、今のホラー映画って謎があるものが多いじゃないですか。
最後のほうでそれが明らかになる。その一番いいところを見てたとき、
固定電話が鳴ったんです。何かのセールスだろう、

そう思って、舌打ちしながらビデオを止め、電話に出ました。
「山本さんのお宅ですか?」 「いえ、違います」 「あれ、山本さんじゃない?」
「うちは山根です」 「あ、間違いです、失礼しました。雨が」
それで切れたんです。まあね、間違い電話なんてよくあることですが、
なんか最後に「雨」って言ったよな。でもまあ、深くは気にしなかったんです。
ホラー映画を見おわって、もう昼近くなってましたんで、
何か食べようと冷蔵庫をあさったら、冷凍のピザがありまして。
それ、レンジにかけたんです。そしたらまた、固定電話が鳴ってる。
出てみました。「山城さんのお宅でしょうか?」 「いえ、違います」
「あ、すみません間違えました。雨が・・・降りますよ」 「え?」
ガチャン、それで電話が切れまして。変だなあ、さっきも雨って言ったような。

でも、窓の外は青空で、雨が降る様子はありませんでした。
でまあ、せっかくの休みなので、缶ビールを一本開けて、
ピザを食べてたんですよ。それから、特にやることもないので、
少し仕事しようかと思ってパソコンを開きました。私、塾の講師をしてまして、
教材のプリントでも作ろうかと思ったんです。
で、1時間くらいして、また電話です。ちょっと気味悪くなって、
おそるおそる出てみました。「山内さんのお宅でしょうか?」 「いえ、山根です」
「あ、間違えました。申しわけない。濡れちゃいますよ」 「え、何が?」
ガチャン・・・これ、さすがに変に思いますでしょ。
でもねえ、それまでかかってきた電話、最初が女の人の声で、
あとの2つが男。着信履歴も見てみたんですが、全部別の知らない番号でした。

で、気になるじゃないですか。「雨で濡れる??」その後、仕事を続けてたんですが、
電話がかかってくるのなんか待ち遠しいような気もしまして。
夕方の4時を過ぎまして、また電話が鳴りました。それっと受話器を取ると、
「山岸さんのお宅でしょうか?」 「いえ、違いますけど、雨がどうしたんでしょうか?」
「あ、スミマセン、間違いました。雨でね・・・カメラが濡れますよ」ガチャン。
あっ!!と思いました。私、マンションのベランダに水槽をおいて、
メダカを飼ってるんです。今、改良メダカってブームじゃないですか。
で、その水槽、朝に写真を撮ったんです。あわててベランダに出ると、
空が暗くなってて、ニコンのカメラが水槽のわきに置かれてました。
そのカメラ、女房のなんです。女房は雑誌社で写真撮影を担当していて、
家にもカメラ置いてたんですが、その中で一番高いのを借りたんです。

でね、カメラをとってベランダのサッシを閉めたとたん、
ザーッと強い雨が降り出しまして。危ないところでした。あのカメラ、ある程度は
防水なんでしょうが、もし壊れたりしたら女房と大げんかになってたでしょう。
もちろん置きっぱなしにした私が悪いわけです。
それにしてもねえ、不思議だと思いませんか。
うちの部屋は8階で、カメラが置いてある場所も手すりで外からは見えない。
だいたいね、その日は雨の予報じゃなかったんです。
だから、午前中の時点で雨が降るなんてわかるわけはない。これねえ、
予知ってことなんでしょうか。そうだとしても、別々の4人が女房のカメラを
心配してくれるのも変でしょう?あと、山本に山内だったかな。
みんな山が名字の最初につく間違いってのも・・・どういうことなんでしょう。






関連記事
スポンサーサイト




トラックバックURL
http://scoby.blog.fc2.com/tb.php/1622-5b6f3aa8
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する