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ネオ・ヒューマンの誕生?

2018.10.25 (Thu)
今年の3月に亡くなった理論物理学者のスティーブン・ホーキング博士だが、
死してなお我々に影響を与える存在となっている。博士は、最近出版された
エッセイ集『Brief Answers to the Big Questions』の中で、「超人類」
の登場を予言。彼らは遺伝子編集を選択して、競争優位性を獲得するとしている。

この予言は、同書に含まれる、ブラックホール、AI、神…など、
Big Questionに対する博士のAnswerのひとつだ。
(グノシー)

sdgvsg (1)

今回はこのお題でいきます。なるほどね、この話題は「CRISPR/Cas9」という、
2012年に開発された新しい遺伝子編集システムの登場と
大きな関連があります。本題から外れますので、詳しい説明はしませんが、
これ、元になる機構は日本人研究者が発見したもので、
ノーベル賞の有力候補の一つなんですね。

これによって、遺伝子のゲノムの編集が従来より格段に簡単になりました。
DNAのゲノムが2重らせん構造になっているのはご存知だと思いますが、
その特定部分を、きわめて容易に、切り離したり、
別のゲノム構造を挿入したりすることができます。

CRISPR/Cas9システム
sdgvsg (1)

みなさんは、動画編集ソフトの「ウインドウズ・ムービーメーカー」
を使われたことがあるでしょうか。ちょうどあれと同じ感じです。
さて、故ホーキング博士は、この技術を用いて新しい人類が誕生し、
社会的な格差が広がっていくことに警鐘を鳴らしているんですね。

ただ、これは何もホーキング博士一人だけの話ではなく、
世界的に懸念されている問題で、現在のところ使用には厳しい倫理的な
制限があります。ところが、2015年、中国の中山大学の研究グループが、
ヒトゲノムを使った編集をCRISPR/Cas9で行い、その論文を発表して、
世界的な論議を呼び起こしました。  関連記事 『中国科学の脅威』

研究グループは、「人としては育たない、本来廃棄される受精卵」と
説明していますが、潤沢な資金があり、かつ倫理的な制約の低い中国の
研究ですから、世界中から危険視され、非難を浴びたわけです。
自分も、このあたりのことは怖いなあと思っています。

クリックで拡大できます
sdgvsg (2)

現在、ヒトゲノムの編集は病気の治療に使われています。
例えば、ある種のウイルスは人の免疫細胞の特定部分に働きかけて
細胞内に侵入してきたりしますが、その部分のゲノムを切り取った免疫細胞を
大量に培養して体の中に戻してやるなどの治療です。

さて、ではこの技術、大人に対して肉体や脳の改造に使用できるかといえば、
これはまず不可能ですよね。もうすでにできてしまっている、
すべての細胞のDNAを書き換えるなんて無理な話です。
ですから、使うとしたら、これから産まれてくる
赤ちゃんの受精卵のゲノムを改変することになります。

現在、長寿因子となるゲノムなどが特定されてきていますので、
その気になれば、長寿で、病気にかかりにくい赤ちゃんをつくることができます。
それだけではなく、身長、目や髪の色、さらに知能や運動神経などについても、
編集して変えてしまうことができる可能性があるんですね。

もちろん、これらのことは各国の倫理規定で禁止されています。
ヒトゲノムの編集が、どのような結果をもたらすかわからないからです。
とはいえ、世界の富裕層の中には、自分の子どもにこっそり、
そのような編集を行う場合などがないとは言えません。

かつてヨーロッパでは、貴族階級は庶民よりも体格がよく、
容貌が整っているなどと言われたりしました。でもこれは根拠のない話で、
せいぜい、いい物を食べて栄養状態がよいくらいのことでしたが、
今後、実際にそういうことが起きてくるかもしれないんですね。

富裕層の子どもは体が大きく、見た目が美しく、知能も高い。
そうすると、庶民階級との格差がさらに広がっていく。
あるいは、国策として国民に遺伝子編集を行う国が出てくるかもしれません。
これはナチスの優生学の復活とも言えます。
そういうことに、ホーキング博士は懸念を表明しているわけです。

スティーブン・ホーキング博士
sdgvsg (2)

さて、SFのジャンルの一つに「新人類物」というのがあります。
何かのきっかけで、それまでとは違った新しい世代の人類が誕生してくるという
内容で、『機動戦士ガンダム』シリーズの「ニュータイプ」
などもそれにあたるでしょう。その手のことが実際に起きるかもしれません。
そして旧人類との対立をへて、支配していくようになる。

これが夢物語とばかりは言っていられなくなったということです。
遺伝子編集技術が進めば、背中に翼を持ったり、手に水かきがあったり、
唾液に毒を持つ、トカゲのような再生能力を持つ・・・などの赤ちゃんの誕生も、
理論的には不可能ではないんですね。これまで、この手の話は原因が原子力事故
などであることが多かったんですが、人為的になされる可能性が出てきたんです。

sdgvsg (4)

さてさて、ホーキング博士はこの他にも、AIが人類に反抗し、
人間と機械との戦いが起きる未来についても言及しています。
まだまだ先のことではあるでしょうが、SFの物語が現実のものになる時代が
待っているのかもしれないですね。

ここで、人類は一度立ち止まって考えるべきなんでしょう。
何が許され、何は許されないのか。ヒトゲノムの編集も、
世界的に合意された厳しい倫理規定を設けて、違反した研究には
罰則を適用していくことが必要かもしれません。ということで、今回はこのへんで。

sdgvsg (3)




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