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塔の話

2018.10.30 (Tue)
ピーテル・ブリューゲル『バベルの塔』
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今回はこのお題でいきます。世界各地には、さまざまな塔がありますよね。
日本だと、仏教寺院にある五重の塔を思い浮かべる方が多いでしょう。
中国だと楼閣、西洋だとお城や教会の塔、イスラム教のモスク、
まだまだ他にもたくさん、その地域独自の塔があります。

さて、塔という言葉の定義、これはあってないようなものですが、
一般的には、「接地面積に対して高さの比率の大きい建築物」に使われることが
多いでしょう。例えば、エジプトのピラミッドはかなりの高さがありますが、
底面積も大きいので、普通は塔と言われることはありません。

では、塔は何のために造られたのでしょうか?これがなかなか難しい。
実用的な面と、宗教的な面が入り混じっている場合が多いんです。
例えば、ヨーロッパの塔の歴史を遡っていくと、ギリシア・ローマ時代の
「見張り塔」に行き着きますが、これは軍事用のものです。

イスラム教寺院の塔
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また、古代のメソポタミアに見られる塔「ジッグラト」は、もともとは洪水を
見張るためのものだったと考えられています。それが後代に、宗教的な意味を
持つようになっていった。日本の場合、古代の建物はほぼ木造であったため、
柱穴だけが発掘で見つかることがほとんどで、その上部がどうなっていたかは、
想像するより方法がありません。再現が難しいんです。

吉野ヶ里遺跡の物見櫓 上部の構造は想像上のものです
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ただ、大きな柱穴の跡は、環濠の柵の近くに見つかることが多く、
軍事的な見張り塔であった可能性が高いでしょう。弥生時代の遺跡、
佐賀県の吉野ケ里でもそうでした。また、縄文時代の、
巨木を用いた建造物が日本海沿いに見られ、宗教的な遺構である可能性が
指摘されますが、はっきりしたことはわかっていません。

三内丸山遺跡の掘立柱遺構
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さて、オカルトで「塔」というと、まず思い出されるのがタロットカードの
大アルカナの一枚である「塔 The Tower」でしょうか。
このカードは、大アルカナの中でも最悪の意味を持つとされています。
下に、最も一般的なタロットカードの画像をあげておきます。

タロットカードの「塔」
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天から稲妻のような矢印が塔の上部を直撃して、炎が上がり、
王冠が吹っ飛び、2名の人物が塔から墜落していますね。
このカードの意味するところは「破綻・破滅」です。
悪い意味のタロットカードには、他にも「死神 Death」などがありますが、
タロット占いは、カードの出方が正位置・逆位置で意味が違ってきます。

「死神」の場合、正位置は、そのものずばり「死」ですが、
逆位置で出ると「再スタート、挫折から立ち直る、再生、起死回生」などの
よい意味になります。それに対して、「塔」は正位置が「破壊、破滅、崩壊、災害」、
逆位置が「突然のアクシデント、不幸、無念、屈辱」など、
どちらも悪い意味となる唯一のカードなんです。

最近の日本のタロット占いだと、「塔」が出てしまうと、気の毒なので、
「これまでの自分の悪い部分が死に、よい部分だけが再生する」
などと言ったりしますが、これは間違いで、本来はいっさいの救済のない
卦なんですね。では、このカード、何を起源としているんでしょうか。

これには2つの説があります。一つは、塔は「神の家」を表しているとするものです。
こちらのほうが、どちらかというと正統的な解釈です。もう一度画像をごらんください。
「神の家」とは、キリスト教会を表す隠語で、カトリックの頂点はローマ法王ですよね。
絵に出てくる宝冠は、そういう既存のキリスト教権威の象徴です。

神の教えが形骸化し、ただ権威と権力だけが高まり、豪華な教会建築の中に
閉じこもって、神の慈悲にすがろうとしなくなった人々に対し、神が罰を与えていると
解釈されます。ですから、このカードが出た場合の救済はないんですね。
もう一つの説は、この建物が「バベルの塔」であるとするものです。

バベルの塔もオカルトではよく登場する言葉で、日本のアニメにも
「バビル2世」というのがありました。出典は、『旧約聖書』の「創世記」です。
ノアの洪水で神が一度世界を滅ぼした後、神はノアの家族に対し、
「産めよ、増えよ、地に満ちよ」と命じました。

ところが、ノアの息子ハムの孫ニムロデは、「地に満ちるように」という神の命令に
逆らい、シヌアルの地に定住し、高い塔を建設するよう人々を扇動し始めました。
天に届くほどの塔によって、その町に人を集めようとしたわけですね。
神はこれを見て、その傲慢にお怒りになり、
建設中の人々の言葉を互いに通じないようにされました。

そこで人々はしかたなく、言葉が通じる同士集まって、
各地に散らばっていったわけです。まあ、世界各地に
さまざまな言語があることの起源説話なんですが、ここで、聖書には
神が塔を破壊したとは書かれていません。これは同じく聖書に、「神はノアの洪水の後、
けして人々を洪水などで殺さないと自身に誓った」とあるからです。

エ・テメン・アン・キのジッグラト (現イラク)
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さて、バベルの塔のモデルですが、バベルはバビロンの古称で、
古代メソポタミア地方にあった神殿、ジッグラト群であると考えられています。
中でも、紀元前6世紀、バビロンのマルドゥク神殿に築かれた、
「エ・テメン・アン・キのジッグラト」をバベルの塔に比定する研究者が多いですね。
これ、紀元前20世紀?ころにシュメール人が造り始め、放棄されていたのを、
新バビロニア王国時代に完成させたと言われる、すごいものなんです。

さてさて、タロットカードの話をしていたら異常に長くなってしまいました。
タロットの「塔」は、神の怒りに関連したものなので、救済がないんだろうと
自分は考えています。やはり、塔と宗教には深い関連があるようです。
この続きはまた書く機会があるでしょう。では、今回はこのへんで。



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