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宜保愛子とロンドン塔

2018.10.31 (Wed)
地味な話題の続きです。今回はヨーロッパにおける塔の話をしたいと思います。
また、昭和の最大の霊能者であったと言われる宜保愛子氏も登場します。
さて、ヨーロッパの塔は、教会や城などの建物に付属したものが多いですね。
その他、広場の時計塔などもありますが、
もちろんこれは、機械時計が発明されて以降のものです。

ロンドン塔
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で、お城などの塔には、幽霊が出ると言われることが多いですよね。
これは、塔が、ともすれば囚人を幽閉する監獄の役割を果たしていた場合が
あるからです。塔の最上階に囚人を閉じ込め、
その下の階に見張りを配置すれば、出ることができません。

監獄の塔として有名なものには、フランス・パリ3区にあった修道院に付属する
タンブル塔があります。フランス革命時、ルイ16世一家が監禁され、
以後、監獄として使われるようになりました。あとはもちろん、
イギリスにあるロンドン塔ですね。ここは、数々の不幸な囚人を収監しており、
たくさんの幽霊話が今でも残っています。

テムズ川の岸辺に建てられた城砦で、正式名称は「女王陛下の宮殿にして要塞」。
ロンドン塔は、たんに監獄として使われるだけではなく、拷問や処刑も
行われました。現在の展示物には、甲冑や武器の他に拷問具もあります。
たくさんの王族や貴族がここで処刑されていますが、

ヘンリー8世
fgfv (4)

よく知られているのはヘンリー8世の妻たちです。16世紀のイングランド王、
ヘンリー8世は計6人の妻を持ちましたが、
当時、カトリック教会では離婚は禁止でした。そのため、
王は、妻のうちの2人をこの塔で斬首刑にしています。えーと、
2番目の王妃のアン・ブーリンと、5番目のキャサリン・ハワードだったかな。

どちらも、密通の罪だったんですが、これは王が離婚したいための、
でっちあげの冤罪だったと現在では考えられています。
ロンドン塔には、そのアン・ブーリンの首のない幽霊が出ると言われますね。
結局、離婚をめぐってヘンリー8世はローマ法王から破門され、
しかたなく、独自に英国国教会をうちたてているんです。

アン・ブーリン 処刑してしまうには もったいない美人に思えます
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ずいぶん身勝手な話ですよね。こういう歴史があるので、
イギリスではキリスト教はあまり盛んではありません。その分、魔法や幽霊などの
オカルト話を、他のヨーロッパの国々よりも信じる(というか面白がる)傾向が
強いんですね。J・K・ローリングの『ハリーポッター』シリーズも、
そういう下地のもとに書かれているんです。

あとは、15世紀、12歳で王位についたエドワード5世。
叔父によって王位を簒奪され、弟のリチャードとともにロンドン塔に幽閉されて、
いつのまにか行方不明になってしまいました。まあ、殺されたとしか考えられませんよね。
事実、17世紀の塔の改修時、木箱に入った子どもと考えられる遺骨が発見されています。
この2人とみられる子どもの幽霊の話も、ロンドン塔にはあります。

さて、宜保愛子氏はご存知でしょう。1980年代、テレビで稀代の霊能者として
取り上げられ、たくさんのレギュラー番組を持ち、
著書も多数出版されてベストセラーになっています。4歳のとき、
左目に火箸が落ち失明寸前となり、1年ほど闘病生活を送った後、
霊能力に目覚め、霊や、過去、未来のシーンが見えるようになったということです。

宜保愛子氏
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ただし、その能力について、懐疑的な噂もつねにつきまとっていました。
この宜保愛子氏が1993年、日本テレビで放映された『新たなる挑戦II』
において、ロンドン塔におもむき、ブラディ・タワーの最上階で、
天蓋つきのベッドに座った2人の男児を霊視しています。
これが、上記したエドワードとリチャードの2人だったとされます。

ですが、じつは、2人の子どもが幽閉された当時には、その階はなく、
後年に増築された場所だったんです。さらに、宜保愛子氏の霊視内容は、
夏目漱石がイギリス留学時の体験をもとに書いた小説、
『倫敦塔』の描写に酷似していることが指摘されています。

漱石の作品のその部分を引用すると、「石壁の横には、大きな寝台が横わる。
この寝台の端に二人の小児が見えて来た。一人は十三・四、
一人は十歳くらいと思われる。幼なき方は床に腰をかけて、
寝台の柱に半ば身を倚たせ、力なき両足をぶらりと
下げている。右の肱を、傾けたる顔と共に前に出して年嵩なる人の肩に懸ける。

年上なるは幼なき人の膝の上に金にて飾れる大きな書物を開げて、
そのあけてある頁の上に右の手を置く。
象牙を揉んで柔かにしたるごとく美しい手である。」 こんな感じですが、
そもそも、この漱石の描写は、フランスの画家、ポール・ドラローシュの
「塔の中の王子」という絵画から影響を受けていると言われてるんです。

下に作品を掲載しますので、比較されてみて下さい。
ただし、何もこれは、漱石が盗作しているということではなく、
絵画をモチーフに小説化したということでしょう。
宜保氏の人気はずっと続いていましたが、1995年オウム真理教事件が起こり、
それ以降テレビ出演は激減し、2003年、胃がんのため71歳で死去しています。

ポール・ドラローシュ「塔の中の王子」
fgfv (2)

さてさて、ということで「塔シリーズ、第2回目」でした。
あと、今回登場した宜保愛子氏については、自分はいろいろと裏の事情を
知ってますので、機会があれば書きたいと思います。
塔シリーズもまだ続けます。では、今回はこのへんで。

関連記事 『夏目漱石とオカルト』

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コメント
こんばんは、野崎でございます。

ある都市伝説を題材にしているものの、中々筆が進まない……ので気分転換に来ました。

ロンドン塔の話を知ったのは高校に入って、本格的にオカルトに浸り始めたことでしたね。様々な薄暗い歴史があって、怖いと同時に魅力的にも感じました。
私の地元からは離れていますが、群馬にはイギリスから移築した古城があって、ドラマのロケ地や結婚式場などに使用されています。
そんなことがあって、イギリスには微妙な親近感があったりしますしね。

ギボさんは、あの当時たくさんいた「霊視パフォーマー」達の中ではかなり親しみやすい系統の人でしたよね。
ご町内のことをなんでも知ってそうな親近感。そのあたりが人気の秘密だったんじゃないかと思います。

では、失礼します。
野崎昭彦 | 2018.11.12 19:46 | 編集
コメントありがとうございます
宜保愛子氏は「純霊能者」だったんですよね
どういうことかというと、まったくの無宗教で
自宅の霊視をする部屋には祭壇とかそういった類の小道具は
いっさいなかったそうです
現在のスピリチュアルを先取りしていた感じです
あと、霊視相談料は高かったですが
壺とかペンダントとか護符とか、そういった物を売ることもなかったです
bigbossman | 2018.11.13 07:59 | 編集
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