FC2ブログ

「ステラ賞」って何?

2018.11.03 (Sat)
gdgdgd (4)

今回は、こういうお題でいきます。あまりオカルトとは関係ない話ですので、
スルー推奨かもしれません。当ブログでは、これまでにも、
「イグノーベル賞」や「ダーウイン賞」について取りあげていますが、
まあ、賞シリーズの一環ですかね。

「ダーウイン賞」というのは、「その年に最も馬鹿げた死に方をした、
子孫のいない人物」に与えられる賞でした。劣悪な遺伝子を世界に残さないことで、
人類の進化に貢献したという、ブラックユーモアなんですね。それに対し、
今回ご紹介するステラ賞は、もう少しジャーナリスティックな意味の強いものです。

「その年に起こされた、最も馬鹿げた訴訟」に与えられます。
これ、アメリカのジャーナリスト、ランディ・カッシンガムという人が、
新聞のコラム上で発表してるんですが、始めた動機は、
アメリカが行き過ぎた訴訟社会であり、常識ではありえないような裁判が毎年、
多数起こされていることへの皮肉・批判です。

受賞例について、いくつか見てみましょう。「2002年受賞、バート姉妹」
3姉妹は、母の命を救おうとするところを見せられ精神的苦痛を受けたとして、
治療にあたった医師を訴えた。・・・おそらく、心臓マッサージや、
AEDの使用のことを言ってるんだろうと思いますが、これはさすがに、
訴えられた医師は災難以外の何物でもないでしょう。

「2005年、ローラ」 2人のマジシャンに対し、
「マジシャンは物理法則を無視している。これは『神の力』を使っているに違いない。
自分は神であり、2人は自分から力を奪っているはずだ」として、
マジックの秘密を教えるか、2人の生涯賃金の10%を自分に払うように訴えた。
「2006年、アラン・ヘッカード」 マイケル・ジョーダンと似ているため
頻繁に間違われ、名誉毀損と精神的苦痛を負ったとして、ジョーダンと
スポンサー企業のナイキを訴えた。・・・まあ、こんな感じです。

さて、ここでステラ賞の「ステラ」とは何かというと、女性の名前です。
1994年、ステラ・リーベック(当時79歳)は、マクドナルドのドライブスルーで、
朝食セットを購入、駐車場で停車しているときにコーヒーを膝の間にはさみ、
フタを開けようとしたとき、誤ってカップが傾いてしまい、
コーヒーがすべてステラの膝にこぼれて火傷をしました。

裁判に臨むステラ・リーベック
gdgdgd (3)

ステラは7日間の入院して皮膚移植手術し、その後2年間の通院が必要でした。
そこで、ステラとその家族は、「コーヒーの熱さは異常であり、この点について
マクドナルドは是正すべき義務がある」として、民事訴訟を起こしました。
裁判は紆余曲折ありましたが、結果的に、ステラは64万ドル(6500万円ほど)
の和解金を勝ち取ることができたんですね。

この判決には、消費者への注意喚起を怠ったという、企業に対する懲罰的な意味合いも
あります。これ以降、米国マクドナルドはコーヒーカップに「HOT! HOT! HOT!」と、
すべてのドライブ・スルー店舗には「Coffee, tea, and hot chocolate are VERY HOT!」
という注意書きをそれぞれ表示するようになり、スターバックスなどの同業者も追従して、
コーヒーカップや紙パックに注意書きを入れるようになりました。

gdgdgd (1)

このエピソードは、アメリカがいかに行き過ぎた訴訟社会であるかを表すものとして、
あちこちで語られるようになりました。ただ、馬鹿げた裁判が起きる要因は
複雑なんですよね。まず、よく言われるのは、アメリカには弁護士が多く、
その中には、全国的に名前が知れわたった「スター弁護士」がいるということです。

O・J・シンプソン
gdgdgd (2)

みなさんご存じないでしょうから、具体的な名前はあげませんが、彼らはまさに、
「白を黒にし、不可能を可能にする男たち」なんです。「O・J・シンプソン事件」
というのをご記憶でしょうか。上のステラの事件が起きたのと同じ1994年、
元プロフットボール選手で俳優のO・J・シンプソンが、
元妻とその友人の2人を殺害したとして訴えられたものです。

ここでシンプソンは、有名弁護士を何人も集めた「ドリームチーム」を雇い入れ、
状況証拠は圧倒的に不利で、しかも逃亡しているのにもかかわらず、
無罪を勝ちえることができました。このときの弁護費報酬は、
当時の日本円にして5億円以上だったと言われています。

無罪を勝ちえたシンプソンとドリームチーム
gdgdgd (2)

次に、要因の2つ目は、アメリカの裁判が陪審員制度であることですね。
上記のシンプソン事件では、シンプソンが黒人であったため、
人種問題が大きく取り上げられました。そこで、まず弁護団と検察側で、
陪審員の選定にをめぐっての最初の戦いがあり、弁護団は12人の陪審員のうち
9人を黒人にすることができたんです。これでもう勝ったも同然。

それから、3つ目の要因として、アメリカがディベート社会であることがあげられます。
相手を言い負かしたほうが勝ち、という意識が強いんです。シンプソン事件では、
「チューバッカ弁論」という手法が用いられました。これは、
「論点のすり替えを多用して聞き手を混乱させ、自分が望む結論へ誘導する弁論」
のことで、チューバッカは映画の『スターウォーズ』に登場する異星人です。

さて、日本ではまずこういった裁判は起きません。「訴訟沙汰」という言葉がありますが、
他人と裁判で争う自体が世間様に恥ずかしい、という認識が日本社会にはあるでしょう。
そうなる前に「和をもって話し合いで解決」することが望ましいんですね。それにもし、
日本でこの手の訴訟を起こすと「お前、そんなに金欲しいのか!」とバッシングされます。

また、日本は、貧富の差が大きくなったとはいえ、まだまだ中間層の多い、
均質な社会であると言えます。ですが、アメリカは違います。
自分は住んでいたことがあるんでわかるんですが、白人と黒人、ヒスパニック、東洋人・・
それに同じ白人でも富裕層と貧困層で、住んでいる場所が違いますし、
根深い対立意識があります。その中で闘う手段の一つが訴訟であり、裁判なんです。
ですから、アメリカでの「馬鹿げた訴訟」は、今後もあれこれ出てくると思われます。

さてさて、ということで、今回は「ステラ賞」の概要を説明しました。
ただし「濡れた飼い猫を乾かそうとして電子レンジに入れ、死んだので家電会社を訴えた」
さすがにこれは都市伝説です。アメリカの電子レンジに「猫等を入れないで!」という
注意書きはなかったですよ。では、今回はこのへんで。

gdgdgd (1)




関連記事
スポンサーサイト

トラックバックURL
http://scoby.blog.fc2.com/tb.php/1649-d8e0762e
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する