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ビオ・ヒューマンはできる?

2018.11.11 (Sun)
事故や病気などで切断した手足を再生できるようになるかもしれない。
新たな研究によって、カエルではあるが手足の再生に成功したというのである。
英「Daily Star」が今月7日付で報じた。
成体のアフリカツメガエルの四肢を切断すると、通常は棒のような軟骨組織にしか
ならない。だが、そんな常識を覆す新たな研究結果が発表された。

米タフツ大学の生物学者セリア・エレーラ・リンコン氏らが今月6日付で
専門誌「Cell Reports」に発表した論文によると、
アフリカツメガエルの後ろ足を切断した直後、その場所に24時間、
バイオリアクターを装着するだけで、足の再生を一部ではあるが誘導できることが
確認できたというのである。
(Rakutennews)

nshdyeri (1)

今回はこういうお題でいきます。これもよくわからないニュースです。
バイオリアクターがどういうものなのか、一読してもまったく理解できませんでした。
最初から関係ない話になりますが、日本の科学記事、
特に海外からのニュースって、すごくわかりにくいんですよね。

何でかというと、記者が勉強不足でレベルが低いせいです。
元記事の内容をちゃんと理解しないまま、ただ適当に翻訳だけしてるものが多く、
あいまいで、何を言ってるか伝わらないことがよくあるんです。
これも、英語の元記事にあたらなくてはなりませんでした(怒)。

アフリカツメガエル
nshdyeri (3)

一言でいうと、この実験は、iPS細胞などの幹細胞とは関係ない話みたいですね。
アフリカツメガエルの足を切って、下図のような装置(バイオリアクター)を
その切断部分に装着すると、中に含まれているプロゲストロンという
ステロイドホルモンの一種が切断された部分の組織に働いて、
組織の修復や再生を効率よく促進するということのようです。

バイオリアクターを用いた足の再生 この画像も海外記事からとりました
nshdyeri (2)

もともと持っているカエルの再生能力を利用するわけですね。
ですが、切断された足は完全に元に戻るわけではなく、指のない
ヒレのような形になりました。この研究は人間の再生医療にも応用できると
研究者たちは言っているようですが、カエルでこのレベルなら、
人間に使えるまでには大きな壁がいくつもありそうです。

さて、ここからは記事の内容から離れます。
体の組織がどのくらいまで再生できるかどうか、
それは、その種の持っている遺伝子で最初から決まってるみたいですね。
例えば、プラナリアという扁形動物は、体をバラバラにしても、それぞれの部分から
再生します。つまり、1つの命を3つに切れば、3つの命ができるということです。

プラナリアの分割・再生のイメージ
nshdyeri (4)

これは不思議ですよねえ。この点が注目されて、プラナリアは各国の機関で
ひっちゃきに研究されています。それから、尾のある両生類は高い再生能力を
持ち、イモリやサンショウウオは、足を切っても完全に再生します。
カエルの場合は、同じ両生類ですが、尾のあるオタマジャクシの期間は、
足を失っても再生しますが、成体のカエルではできません。

爬虫類のトカゲの場合、足の再生はできません。尾の再生はできますが、
一生で1回だけのものが多く、尾の中にある骨は新しくはできないんです。
それから人間の場合、もちろん手足の再生はできないんですが、
胎児のときには、欠けた指がもと通りになって産まれたという例がありますね。

イモリの再生能力
nshdyeri (1)

さて、組織の再生には、未分化、分化、脱分化ということが関係してきます。
人間の場合でも、受精卵は未分化の状態です。これは体のどういう組織にでも
なれる能力を持っているということです。
このとき、細胞分裂の速度はたいへん速いんですね。

それが、ある時期を境にして分化が始まります。この細胞は筋肉になる、
この細胞は血管になるというように、なれるものが決まってきます。
人間の場合、いったん分化した細胞が未分化の状態に戻ることはありません。
ところが、イモリなどの場合は、足が切断されるという刺激に対して、
分化した細胞が未分化に戻ります。これを脱分化と言います。

ここでちょっと余談。癌の場合、悪性度ということが言われます。
一般的には、癌細胞が未分化なほど悪性度が高い。これはわかりますよね。
分化した細胞をつくるには時間がかかりますが、未分化の、
あるいは分化度の低い癌細胞は、どんどん増殖して、あっという間に大きくなり、
また、体液の流れに乗って、あちこちに転移してしまうんですね。

で、人間が手足を失ったなどの場合の再生医療では、この未分化、分化、
脱分化を制御できるかどうかが鍵になります。iPS細胞の場合は、
さまざまな種類の細胞に分化できる分化万能性と、分裂増殖を経ても、
それを維持できる自己複製能の両方をあわせ持っているんです。
ですが、iPS細胞は癌化することが大きな問題点となっています。

iPS細胞
nshdyeri (2)

イモリなどの細胞は、再生のときにきわめて速いスピードで増殖しても癌化しません。
ところが人間のiPS細胞では、高い確率で癌化が起きる。
これを克服することが、大きな研究の課題となっているんです。
難しい問題ですよね。人間は進化の過程で、再生する能力を捨ててしまっています。
そのように遺伝子でプログラムされているので、無理にやろうとすると癌化する。

さて、少しオカルト話をします。ビオ・ヒューマンという言葉をご存知でしょうか。
これを知ってる方はかなりのオカルト通ですよ。こんな内容です。
「1960年代に旧東ドイツと旧ソ連が共同で設立した生物兵器研究所、
ゾンネンシャインで創造されたとされる不死身の人間が『ビオ・ヒューマン』。

もともと京都大とヘルシンキ大が共同研究で造り出した『死なない線虫』
のテクノロジーを応用し、さらに高い再生能力を持たせることで、
ケガなどによる死をも克服した。1980年に作られた第1号の再生能力は、
切断された手足が再生するばかりか、手足の方からも本体が再生するという
驚異の人間。1984年までに5体造られ、各国に分配されたという。」

まあ、何の証拠もない与太話なんですが、興味深い部分もあります。
手足を切断すると、手足のほうからも再生するというところです。
これ、最初のほうで出てきたプラナリアと同じですよね。ただ切断するだけで、
いくつもの生命を創り出すことができるわけです。
これなんか、「生命とは何か?」を考える上で大きなヒントになると思います。

さてさて、最初のニュースからだいぶ離れてしまいました。
自分は、この記事の研究そのものにケチをつけているわけではありません。
再生医療に期待されている方は大勢いますので、
研究の伸展に期待したいところです。では、今回はこのへんで。




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