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記憶術あれこれ

2018.11.22 (Thu)
イギリス・ローハンプトン大学の研究者は、被験者114名に、
女性がバッグを盗まれる場面を映したビデオを観せ、その内容に関する
質問に答えてもらうという実験を行なった。

実験では、ビデオを視聴してもらったあとで、被験者を3グループに分け、
10メートル「前に歩く」か「後ろに歩く」、あるいは「じっと立っている」
のうちのいずれかの指示を与えた。それからビデオに関する問題を出題すると、
後ろ歩きグループは、ほかのグループよりも2問分だけ
正答率が高いという結果になった。
(カラパイア)



今回はこういうお題でいきますが、なかなか科学ニュースにいいのがなくて、
あんまり面白い内容にはなりそうもないです。
さて、これは行動心理学の実験かなと思いますが、ここのところ、
心理学に対する学術界の風あたりはよくないですよね。

それは、2015年、科学誌「science」に、過去の心理学の研究論文100
について追試を行った結果、その実験結果を再現することができたのは、
39%だけだったという、かなり衝撃的な論文が発表されたからです。
つまり、60%以上の実験には再現性がなかったということで、
再現性は、その研究が科学的であるかどうかを決定する重要な指標です。

dfrt (5)

実験の再現性が最も低いのが心理学、次が医学と言われます。
これは理解できますね。どちらも研究対象を人間にしている場合が多いんですが、
人間には個人差がありますし、また実験時の環境によっても結果が左右されます。
例えば、ふだんは低いのに、病院で血圧を測ると、
緊張して数値が上がってしまうなどのことです。

じゃあ、実験の信頼性を高めるにはどうすればいいんでしょうか。
一般的には、実験の回数を多くするという方法がとられますが、
これもなかなか難しいんですよね。被験者数を10000人に増やせば、
114人よりは信頼性が高いと言えそうですが、予算と時間の問題が出てきます。

かといって、特定の114人に同じ実験をくり返すと、
その被験者たちは、研究者グループがどういう結果を望んでいるかを
無意識に読み取ってしまい、「前に歩く」ときよりも「後ろに歩く」ときに
より集中して記憶しようとする傾向があるんですね。

ただまあ、自分はこの実験結果にケチをつけているわけではなくて、
こういうことは実際にあるんじゃないかなあと、経験からも考えてます。
まず、前に歩くことは普通ですが、後ろに歩くには、いつもは使わない筋肉を
使いますし、目から入ってくる視覚情報も違ってきます。

dfrt (1)

ですから、脳がふだんよりも活性化するのは間違いないと思いますね。
それと、昔から、記憶と空間は深い関係があると言われています。
例えば、記憶術の一つとして、「ロキ法(場所法)」
というのがあるのをご存知でしょうか。

10個の英単語を暗記しなくてはならないとします。このとき、
一つの机に向かって10単語を暗記するより、10個の単語をそれぞれ紙に書いて
別々の部屋に置き、移動しながら暗記したほうが、
記憶する効率が高いという実験結果があるんですね。

「そんな、家には10部屋もない」と言われそうですけど、なにも部屋でなくても、
ある単語はソファの上、別の単語は電子レンジの上とかでもいいわけです。
移動をすることで、英単語の本来の意味にプラスして、
別のイメージがつけ加えられ、覚えやすくなるということでしょう。

歴史年号の暗記法で、「1492(石国)見つけたコロンブス」なんてのが
ありますが、それと似ているかもしれません。空間の話とは少し外れますが、
自分は学生時代、英単語を暗記するときに、ノートの英単語の横に、
それの簡単なイラストを書いたりしていました。

dfrt (4)

単語がappleだったら、リンゴの絵を書くということです。
これ、一見時間がかかって非効率そうですが、ただ丸暗記するよりも
結果はよかったような気がします。記憶する内容が、
手を動かすという別の行為に結びついていると、
かえって想起しやすくなるんじゃないでしょうか。

それと、記憶にかぎらず、発想においても、動き回ることの有効性を示した
実験もありますね。自分もいちおう文筆業のはしくれですので、
原稿を書いていて文章に詰まったときには、用がなくてもトイレに行ったり、
事務所の外に出て空気を吸ったりすることがあります。
そうすると、いい言い回しが出てくのは何度も経験しています。

dfrt (3)

作家の筒井康隆氏はジャズが好きで、自分でもピアノ、ドラム、クラリネットを
演奏しましたが、氏のエッセイの中で、SFの原稿を書いていて引っかかると、
ピアノを鳴らしたり、ドラムを叩いたり、風呂に入ったり、
そのくり返しの中で、少しずつ作品ができあがっていくと書いておられました。

さて、日本の会社やお役所は、同じ部屋に部員が机を並べて、
上司がその働き方を監視しているという形が多かったですよね。たしかに、
単純作業や人海戦術的な作業には、そのほうが効率はいいでしょう。
ですが、これからは、そういう仕事はどんどんAIにとって代わられてしまいます。

クリエイティブな仕事がまず生き残ることになります。その場合、
上で書いたように、自分の好きなことを自由に間にはさみながら仕事を進めて
いったほうが、効率はいいんじゃないかと思います。極端なことを言えば、
途中でエロサイトでポルノを見たっていいじゃないですか。

さてさて、もう字数が尽きてしまいそうです。心配していましたが、
けっこう書く内容がありました。暗記も、ただ漫然と行うのではなく、
自分なりの記憶術を開発していくのが重要だということですが、
それには才能も必要なんだろうと思いますね。では、今回はこのへんで。

dfrt (2)




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