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ホテルの怖い話

2018.11.27 (Tue)
今回は、自分(bigbosman)が、ある酒席で、とあるホテルの支配人をしている
Kさんからお聞きした話です。Kさんは50代後半、高卒と同時にホテル業界に入り、
ベルボーイから叩き上げで現在の地位まで昇りつめた方です。
そういう経歴だから、ほんとにホテル業の隅から隅まで知りつくしてるんですね。
「あ、どうも、bigbossmanと申します。ホテル業界に長くおられるそうですが、
 怖い話なんてあるもんでしょうか?」
「日教組の大会の会場になったときは、右翼がたくさん来て怖かったです」
「・・・それはそうでしょうね。ただ、今お聞きしてるのは、オカルトというか、
 心霊系の怖い話なんですが」 「ああ、なるほど。まあ、ないことはないです」
「ぜひ、お聞かせ願えませんか」 「ええ、かまいませんよ。まずですね、
 大きなホテルになると、年間の延べ宿泊者数が10万人を超えるところもあります」

「はい」 「ですから、ほとんど地方の大きな市レベルの人口があると言ってもいい」
「そうですよね」 「何が言いたいかおわかりでしょう。一般の人が想像するより、
 はるかにたくさんの人がホテル内で亡くなっているんです」
「ああ」 「まあでも、厳密にはホテル内で亡くなったことにはならない場合が多い」
「というと?」 「例えばね、部屋の中で白目をむいて倒れてる人がいて、
 どう見ても生きてるとは思えなくても、われわれが死亡判定するわけじゃないですよね」
「はい」 「救急搬送された先の病院の医師が死亡判定するので、
 亡くなった場所はその病院になります」 「ははあ、ホテルで救急車を呼ぶんですか?」
「もちろん。ただ、裏口に車をつけてもらいますけど」 
「そうでしょうね。で、ホテルで亡くなった人がいた場合、お祓いとかするもんですか?」
「うーん、観光地の温泉ホテルとか、日本旅館の事情はわかりませんけど、

 普通のシテイホテルではするところはないですよ。お祓いって、神職に来ていただくと
 かなりの謝礼が必要でしょ。そんなの経理上の説明ができませんから」
「え、じゃあ、すぐ翌日とかに別のお客さんを入れるんですか」
「・・・まあ、部屋が汚れて、特殊清掃が必要とかでなければね」 「ははあ」
「ただね、私が知ってるホテルの中には、そういう社員がいるところはあります」
「そういう社員って?」 「お祓いを専門にやる係ですよ。神職の免状を持った」
「ああ」 「それなら、社員に対して給料を支払うわけですから、何の問題もない」
「なるほどねえ。あと、部屋に御札を貼ったりするんですか?」
「ははは、いやあ、お客さんの中には、ホテルの部屋に入ったら、
 まず御札を探すって方はいますよ。ほら、飾ってある絵の額縁の中を見たりして」
「で?」 「でも、大きなホテルではまずそんなことはしません。

 ただ、ビジネスホテル、ラブホテルとかはわからないですね。
 デリヘルを呼べるようなホテルだと、いろんな事件が起きるんです。
 窃盗やら殺人なんかもね。そういうところだと、もしかしたらやってるかも」 
「具体的にKさんが体験された話ってありますか?」 「いくつかはあります」
「ぜひ、お聞かせください」 「ありきたりですよ」 「お願いします」
「20年以上前に、フロント業務をしていたときです。夜のシフトだったんですが、
 ある部屋から、何度も内線電話がかかってくるんです」 「はい」
「でも、出てみると無言で切れてしまう。しかもね、履歴が残るはずなのに、
 何もないんです。これはおかしいと思うでしょ」 「はい。そういう場合って、
 部屋にカメラとかつけてないんですか」 「いや、それは法律で禁じられています。
 でね、そのときはまだ、お祓い担当の社員が残ってたので、内線に出てもらって」

「はい」 「そしたら、これはマズイかもしれませんって言うんです。
 電話の先が冷たくて死の気配がするって。その人は、体中に鳥肌が出てましたよ」
「で?」 「2人でその部屋に行ってノックしましたが応答はない。
 施錠されてたんで、マスターで開けようとしたんですが開かない。
 で、お祓い係は、ドアノブを握ったとたんにブルブルと震えだしましてね。
 何が起きてたのかおわかりでしょう」 「なんとなくは」
「ホテルのドアって、ほとんどが内開きなんです。これは、外開きにすると、
 災害等の避難で廊下が通りにくくなるためです。で、もう一人呼んできて、
 力ずくでドアを押したんですよ。そしたらやっぱりというか、お客さんが、
 内側のノブにネクタイをひっかけて、座った状態で首を吊ってました」
「ああ」 「でね、それだと警察を呼ばなくてはならないんですけど、

 検死の結果、死亡時間は4時間以上前で、事件性はなし。つまり自殺。
 ですから、その部屋から内線電話をかけられるはずはないんですよ」
「はい」 「そのときはさすがに、念入りにお祓いをやって、
 その後は特におかしなことはなかったです」 「それから?」
「うーん、あとね、ある有名テーマパーク近辺のホテルにいたときです」
「それ、もしかして耳の大きいネズミさんのいる?」 「まあそうです。
 そのときは、最上階の展望レストランでボーイをやってまして。そしたら、
 お客さんからときどき苦情があったんです」 「どんな?」
「窓の外を子どもが飛んでるって」 「ええ!? ご覧になったんですか?」
「いや、見てません。けどね、時間もバラバラの別々のお客さんの言うことが、
 ほとんど一致してました」 「どんな?」 

「トレーナーに半ズボンの、8歳くらいの男の子が、顔に満面の笑みをうかべながら
 窓の外をすーっと上にのぼっていったって」 「ははあ」
「しかも、見た人は全員が、その子は手に、あのネズミの風船を持ってたって言うんです」
「うーん、それは幽霊なんでしょうか?」 「そこはわからないですけど、
 もしそういうことがあるなら、何十万人とテーマパークに来てる子どもたちの、
 夢が形になったものじゃないかって、そのときは思いました」
「・・・なるほどねえ、ロマンのあるお話です。他には?」 
「これは、私が現場に出てたキャリアの最後のほうなんですが、
 そこは地方都市でしたけど、明治から続いてる由緒あるホテルで」 「はい」
「もちろん経営者はかわってるし、建物も1度建て直しをしてますし、
 その後も、耐震工事などで何度も改修されてる」 「はい」

「そのホテルで、迷子になるお客さんが何人かいたんです。
 私が勤めていた期間内でも3人おられました。これは大人の話です」 「はい」
「迷子になったお客さんは全員、地下の駐車場に続く階段のところでへたりこんでるのが
 見つかったんです。でね、その3人ともが、エレベーターでおかしな階に
 降りたって言われて」 「おかしな階?」 「ええ、廊下や部屋のドアが黒い木でできてて、
 ピカピカに光ってる階だったって。でもね、そのホテルのドアはすべて鉄製です」
「そうですよね」 「間違えたと思って、エレベーターに乗り直そうとしたら、
 エレベーターそのものがなくなってた。それで、怖くなって うろうろしてるうち、
 立派な木の階段があったので降りていくと、音楽が聞こえてきて、
 大広間のようなところへ続く通路に出た。広間のドアが開いていて、
 そこまで行って中をのぞくと、オーケストラの裏側にいたんだそうです」

「で?」 「楽団の向こうでは、燕尾服とか、すごく古めかしい洋装の男女が、
 ワルツを踊ってたんだそうです。見ていると、自分が場違いな気分になってきて、
 その場を離れ、さらにあっちこっち歩き回ってるうちに
 めまいがして座り込んでしまい、気がついたら駐車場の近くにいた」
「ははあ、何となくわかりました。それ、昔の、明治時代のホテルの幽霊なんですね」
「たぶんそうだと思います。私が思うに、個人の幽霊はあるとしても、
 そんなに力を持ってはいない。ですけど、多くの人のあこがれとか、
 楽しかった記憶っていうのは、形になって残る場合があるんじゃないかって」
「ああ、わかりますよ。大きな神社なんかもそうです。神様はいるんですけど、
 それよりも、たくさんの参拝客がお参りした念の集まりのほうが大きくて
 パワーがあるとか。いや、貴重なお話、ありがとうございました」
 

 


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