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中国の幽霊

2019.01.13 (Sun)
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今回はこういうお題でいきます。なんか最近、中国の話が続きますが、
特に他意はありません。2016年、リメイクされたアメリカ映画、
『ゴーストバスターズ』が、中国で公開を禁じられて話題となりました。
理由は、「幽霊が出ているから」です。

共産党の一党独裁下の中国では、思想統制があります。
それにはいろんな内容が含まれるんですが、その一つに、
「幽霊の話を流布することの禁止」があるんです。ですから、
中国国内でつくられる映画やテレビドラマでも、当然、幽霊は禁止です。

理由としては、「幽霊話は、人間の心理をおかしくしたり、
幻覚を起こしたり、夢に働きかけたりするから」という、
まあ、これだけ見れば納得できそうな気もする内容です。ですが、
『ゴーストバスターズ』は本格的ホラーではなく、コメディですよね。
でも、それでも原則に照らして禁止されてしまうんです。

では、中国にホラー映画はないかというと、あることはあります。
ストーリーの最初のほうで、幽霊らしきものが出てきたりもするんですが、
最後の謎解きで、それは生きた人間が扮装していたものだったり、
心理的な錯覚だったことが種明かしされてしまう作品が多いんです。
ですから、厳密にはサスペンス映画、スリラー映画なんですね。

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これ、自分は、すごく残念なことだなあと思っています。
東洋の幽霊に対する感覚は独特で、アメリカのハリウッド製ホラーとは
かなり違っています。ジャパニーズホラーは怖いと言われて、
アメリカでも有名になりましたが、東洋のホラーには独特の怖さがあります。

このことは、韓国やタイのホラー映画にも言えます。
中国にも、才能のある映画監督はたくさんいますので、
そういう人たちが、自由に幽霊をあつかった作品をつくったら、
かなりのものができると思うのに、じつにもったいない話です。

あと、中国の映画では、超能力も禁止されているみたいですね。
以前の記事で、「キョンシー」の話をしましたが、あれは香港でつくられた
イギリス映画です。『チャイニーズ・ゴーストストーリ』もそうですね。
これからは、香港でも幽霊の映画はつくられなくなるのかもしれません。

ただ、幽霊はダメでも、「妖怪」はかまわないみたいです。
中国では『西遊記』がアニメ化されていますが、あれに出てくる
牛魔王とか白骨夫人は妖怪なんです。孫悟空は中国の一大ヒーローで
たしか北京オリンピックの広報映像にも出てきてました。

さて、中国では、1966年から、毛沢東による文化大革命が行われ、
「横掃一切牛鬼蛇神 (一切の牛鬼蛇神を一掃せよ)」のスローガンのもと、
長い歴史を持っていた精神文化の多くが、迷信として破壊されてしまいました。
現在、文化大革命は共産党によって批判されていますが、
そのときの思想統制が、幽霊などでは、いまだに続いているのかもしれません。

「人民日報」の文化大革命スローガン
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うがった見方をすれば、幽霊がいるということは、
人間には魂があり、死後の世界があるということになります。
そういう精神世界を完全に否定してしまうと、信じることができるのは
この世だけ、お金と権力だけということになってしまわないでしょうか。
ですから、現在の中国では拝金主義が横行しているわけです。

では、中国の古代の幽霊の概念はどうだったでしょうか。
4世紀晋代の『捜神記』から、17世紀の清代の『聊斎志異』まで、
ふつうに幽霊の話が出てきますし、『三国志演義』では、
死んだ関羽が幽霊になって、自分を殺した相手にとり憑いたりしています。
ああいう古典作品まで否定されてしまうんでしょうかねえ。

中国の「鬼節」(お盆)
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さて、中国では「幽霊」という言葉は一般的ではありません。
歴史的には、「鬼 キ」という語がそれにあたりますが、
ただ、「鬼」という言葉を直接口に出すのは縁起が悪いとされ、
かわりに「好兄弟」と呼ばれたりしていました。

あと、古典に出てくる中国の幽霊は、大部分が若い娘なんです。
病気で亡くなった美しい娘が、恋人とふたたび会うために幽霊となって出てくる、
「牡丹燈籠」みたいな話が多いんです。まあでも、これは日本でも、
ハゲたおっさんの幽霊なんかは出てこないのと同じなんでしょうね。

若い娘の幽霊
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さてさて、ということで、まとまらない話になってしまいましたが、
現代の中国人に幽霊の話をすると、「何をバカバカしい」みたいな顔を
されます。「夜道や墓地を一人で歩くのは怖くないか」と聞けば、
「犯罪の被害に遭うのが怖い」と返されてしまいます。

これ、自分はある種の実験みたいなものじゃないかと思ってます。
魂や地獄・極楽、人の怨念などの霊的なものを一切信じない国家が、
いったいどこへ向かっていくのか。行く末を注目していきたいですね。
では、今回はこのへんで。

dsdrt (1)




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