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血を抜かれる話

2019.01.17 (Thu)
橋本と言います。ある会社で経理を担当しています。よろしくお願いします。
私、子どもの頃から、家族や近所の方から霊感があるって言われてたんです。
はい、失せ物を見つけたり、未来のことを当てたり。
そう言われるようになったのは、5歳のあたりからだと思います。
うちにくるお客さんの名字や齢を当てたんです。お客さんがうちに来て、
私が幼稚園から帰ってきてる時間だと、ごあいさつをしに行かされたんですが、
そのときに、お客さんの前に手をついて「○○様、こんにちは」って、
教えてられないのに、そういうふうに言ったんです。
そのときは、私には、特別なことをしているという感覚はなかったですね。
自然に、ほんとに自然に頭の中に浮かんできたことを口にしただけなんです。
それから、これは小学校2年のときです。

同じ学校の1年生の男の子が行方不明になったんです。
いえ、私の知らない子でしたし、家の場所もけっこう離れてました。その子は、
台風で学校が早く終わった日、家に戻ってから姿が見えなくなったんです。
その子のズックがなくなっていたので、自分から外に出たんですね。
大騒ぎになり、警察と消防でかなり広範囲を捜索しても見つからず、
2日たったときですね。学校から帰って夕飯を食べていた私が、
急に箸をとり落とし、「△△ちゃんが菜畑の地蔵様の堂にいる!」って
大声で叫びだしまして。そこは、田んぼの中にある粗末な地蔵堂なんですが、
私に霊感があるって知ってる家族が警察に知らせ、
そこを探したら、地蔵様の後ろに丸くなっている子どもを見つけたんですね。
はい、その子は衰弱してたものの、命に別状はありませんでした。

私のこと、地方版でしたけど、新聞にも載ったんですよ。
近所で評判になりましたし、親戚の中には、どこかの神社で修行させたほうが
いいんじゃないか、などと言う人もいました。ですが・・・
そういう力は、私が小学6年生になる頃には、すっかりなくなってしまったんです。
どうして、こんな話を長々としたかというと、このことが、
今、起きている出来事と関係があるんじゃないかと思うからです。
改めて、最初からお話していきますと、およそ1ヶ月くらい前ですね。
会社からの帰り、駅に向かっていたんです。時間は6時半くらいですか。
駅舎が見えたあたりで、歩いてる横から人が出てきて、
「これ、どうぞ」って何かを押しつけられたんです。はい、そのときは、
宣伝のテイッシュを配ってる人だと思いました。

で、そっちを見ると、白いローブみたいなのを着た女の人が、
通行人に混じって反対側に去っていく後ろ姿だけが目に入りました。
そのとき、少し変だなとは思ったんです、ふつうは、そういうテイッシュ配りの人って、
一ヶ所にいて、通行人に次々と配っていくものでしょう。手の中のものを見たら、
10cmうらいの、赤い布でできた巾着だったんです。けっこう高価そうに思えました。
それで、バッグに入れて、電車に乗って部屋に戻りました。
はい、アパートで一人暮らししてるんです。夕食を食べてお風呂に入り、
少しお酒を飲みながら録画してたビデオを見てたんですが、
あの巾着のことを思い出したんです。バッグから出してみました。
真っ赤な布は厚く、何か書いたりはしてませんでした。ヒモをほどいて開けると、
固い半透明のカプセルが入ってました。5cmくらいで、さらに中には、

緑の豆のようなのが見えたんです。カプセルの中央をためしにねじってみると、
固かったんですが何とか開いて、中からソファに植物の実に見えるものが落ちました。
ほら、野原を通ると、服にくっついてくる実があるじゃないですか。
ちょうどあんな大きさで、表面に毛が生えてました。指でつまもうとしたら、
チクリ、痛みを感じました。「あ、痛!」思わず放り出してしまいましたが、
指の腹にみるみる血の玉がふくらんできたので、カットバンを貼ったんです。
「何なのよ、これ!?」頭にきて、実は箸でつまんで、
巾着といっしょにゴミ箱に捨てました。その夜ですね、夢を見たんです。
いや、夢というか・・・少しずつ意識がはっきりしてきて、
目覚めた感覚がありましたが、なかなか目が開けられなかったんです。
それでもどうにか薄目を開けると、白いシーツが見えました。

私の部屋のとは違うものです。「あれ、ここどこ?」でも体が動きませんでした。
体が完全に横になってないというか、介護ベッドで、半身を斜めに起こしてるような
感覚があったんです。目に入ってくるのは自分にかかってるシーツと、
前のほうの壁。壁には色とりどりの布が垂れ下がり、
どれにも毛筆で字のようなものが書かれてましたが、私には読めませんでした。
ピーン、ピーンとゲームのような音がしていて、目の端にモニターが見えました。
あのほら、病院にある心電図なんかを記録してるやつ。
最初は、事故か急病で、私は病院に運ばれてるんだとも考えましたけど、
室内の飾りがまるで病院じゃなくて、宗教施設のように思えました。
聞こえてくる音はビーッと長くなり、カチリとドアが開く音がしました。
そっちを見ようとしたんですが、やっぱり体が動かない・・・

やがてベッドの前に、マスクをした看護師とスーツを着た年配の男性が現れ、
男性が口を開いて、「お目覚めでおられましたか、教祖様」って言ったんです。
「教祖様?」看護師が「今日もお血を抜かせていただきます」、
ベッドの脇にある点滴のスタンドの低いとこに袋をセットし、
私の胸のあたりに管をつなげようとしました。「やめて!」暴れたんですが、
やっぱり体が動かない。両方の手首が痛かったので、拘束されてたのかもしれません。
そうしてるうち、スタンドの袋にみるみる赤いものが溜まりはじめて・・・
そこで本当に目が覚めました。自分の部屋、自分のベッドです。
「ああ」安心して時計を見ると朝の5時過ぎ。指に痛みを感じました。
電気をつけて見ると、昨夜、植物のトゲが刺さったとこが腫れてたんです。
「どうしよう、会社を休んで病院に行こうか」でも、すぐに痛みは治まりました。

それで、会社には出勤したんですが、出掛けに、昨日あの実を放り込んだ
ゴミ箱の袋を丸めて大きいゴミ袋に移し、ダスターシュートに捨てたんです。
会社が終わる頃には、指の腫れは治まり、痛みはなくなっていました。
だから病院には行かなかったんですが・・・その日から、
毎晩夢を見るようになったんです。はい、あのベッドに繋がれている夢です。
ただ、その夜は血を抜かれるのではなく、輸血をされたんです。
交互だったんですね。血を抜かれ、また輸血され、血を抜かれる、不気味で、
しかもすごくリアルな夢。そのときは、誰に相談していいかわかりませんでした。
だって、夢は夢ですから。体調は、やや熱っぽい感じがすることもありましたが、
具合が悪いというほどでもなかったんです。あと、指はだんだんに治っていき、
それとともに、夢を見る回数も少なくなっていって、

ぱったりと見なくなりました。それで、一安心してたんですけど・・・
2週間ほどおいて、またあの夢の中にいました。ただ、いつものベッドでは
なかったんです。台座?のようなところに座っていて、やはり体は動きません。
私は高い場所にいるみたいで、何段も下の広間に、大勢の白いローブを着た人が
平伏していました。「ここ、どこ?」立ち上がろうとしましたが、体が引き戻され、
そのとき一斉に、平伏していた人たちが顔をあげたんです。その人たちは口々に
「教祖様!」と叫び、声をそろえてお経とも違う呪文のようなのを唱え始めました。
私はただそれを聞いているだけでしたが、だんだん頭がぼうっとしてきました。
前のほうの一人が何か四角いものを持って立ち上がり、
私のほうへと段を上ってきました。はい、それ、前に見たスーツの老人でした。
老人は私の前に来ると、うやうやしい声で、「教祖様、よくぞ復活されました」

そんなことを言って、手に持っていたものを私の顔の前に立てました。
それ、鏡だったんです。映っていたのは、宝冠みたいなのをかぶった皺だらけの老婆。
「キャーッ」大きな叫び声をあげ、そこで目を覚ましました。浴室に駆け込んで
鏡を見たら、いつもの自分だったんです。その後は、また夢は見なくなったんですが、
何かおかしいんです。妄想なのかもしれませんが、日常をずっと監視されているような
気がして。はい、電車の中、会社にいるとき、自分の部屋でもです。
部屋は、もしやカメラのようなものはないかと探したんですが、見つかりませんでした。
だから、気のせいと思い込もうとして・・・でも、一昨日の新聞をご覧になりましたか。
大きな新興宗教の女教祖が亡くなったっていう。気になってネットで検索したら、
その人、私が夢の中で鏡で見たのと同じ顔をしていたんです。怖くなって、
つてを頼ってここのことを知り、ご相談に来たんです。





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