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奴隷とお金の話

2019.01.31 (Thu)
安寿と厨子王の像
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今回はこういうお題でいきます。前に「金(きん)のオカルト」という
項を書きましたが、あれは金属の話でした。それに対し、
今回はお金、つまりマネーの話になります。マネーの怖い話って
いっぱいあるのはおわかりですよね。
ある意味、幽霊よりもずっと怖いものです。

わずか数千円の金額で人が殺されたりしますから。
ただまあ、あまり現実的な生々しい話はしないようにしたいと考えてます。
さて、日本で通貨として、少しずつ貨幣が使われるようになったのは、
7世紀、律令時代あたりからというのが定説です。

それ以前は物々交換の社会でしたが、古い時代においては鉄や貝殻、
鏡などの威信財、あるいは種籾や米が、交易の中心となっていたと考えられます。
『三国志』魏志倭人伝には、対馬国の記述として、
「無良田食海物自活 乗船南北市糴」と出てきます。

「よい田がないので、海産物を食べて生活している。船で南北に交易している」
おそらくですが、海産物を物々交換で米に代えるなどもあったと思われます。
その後、古墳時代に入り、米、塩、布などが貨幣のかわりをはたしていて、
こういうのを物品貨幣と言います。

さて、同じく魏志倭人伝には、卑弥呼が魏に使者を派遣し、
朝貢品を献じていますが、その中に「男生口四人 女生口六人」が含まれ、
この「生口」というのは、奴隷のことだと考えられます。(異論もあります。)
弥生後期ころの日本には、奴隷がいたと考えて間違いないでしょう。

生口は、戦争での捕虜、犯罪を犯したものなどが考えられますが、
それ以外にも、交易品としての生口がいたんじゃないかと思います。
当時の一つのクニの人口は、吉野ヶ里遺跡から推定すると、
2000人~4000人程度と見ることができます。

で、もしある集落が、天候による不作などで食べるものがなくなった場合、
交易品として、人間を出すしかなかったんじゃないでしょうか。
もちろん、塩や海産物、玉製や銅製の加工品など、
季節にかかわらず交易に出せる特産品を持っている集落は別ですが。

奴隷市場
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世界の歴史を考えてみても、貨幣を持たない物々交換社会では、
人間は重要な交易品でした。アラブでは奴隷が布などと交換されましたし、
メソアメリカでは、カカオ豆100粒で奴隷一人が買えたそうです。
その手のことが日本で ないはずはないんですが、
古代史で、あんまりこういう議論をする人がいないんですね。

日本の考古学は、世界的に見ても精密な学問内容を展開してますが、
宗教的な面、経済的な面が弱いと自分は考えてます。
なかなか、古代の交易の実態も明らかになってきません。
古墳時代から律令時代に入ると、人口のおよそ5%ほどが賤民とされ、
公奴婢(くぬひ)は官有の奴隷、私奴婢(しぬひ)は私有の奴隷で、

どちらも財産として売買の対象となりました。これが中世に入ると、
飢饉や天災などで食えなくなった人が人身売買の対象にされ、
家族や自分自身をも奴隷として売ったという記録が残っています。
いわゆる借金奴隷です。森鴎外が書いた『安寿と厨子王』
のようなことが、普通にあったわけです。

「歴史的に日本には奴隷制度はなかった」などと言う人がいますが、
けっしてそんなことはなく、物を知らないとしか言いようがありません。
戦国時代には各地で乱戦が起こり、戦いに負けた側の領民の多くが奴隷とされました。
一説には、人口の半数程度が奴隷的な身分になったと言われます。

織田信長は、ポルトガルやスペインの宣教師を優遇しましたが、
秀吉の代になって、バテレン追放令が出されました。
これは、ポルトガルの宣教師が仲介者となって、大量の日本人を買いつけて
国外に輸出していることを知り、秀吉が激怒したためです。

ポルトガルの貿易商
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さて、江戸時代になっても人身売買は続きました。
これはオカルトとも関係があるんですが、農村部では、子どもの間引きが行われ、
それがもとになって、「累ヶ淵」という怪談ができました。
女の子の場合は、ある程度まで育ててから人買いに売ることもあり、
多くは遊郭で育てられました。ここでも怖い話はいろいろあります。

葛飾北斎「花魁と禿」
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こういうことは、第2次世界大戦後も、しばらくの間続いていました。
現在、東南アジアで子どもの人身売買が問題になっていますが、
日本でそれがなくなったのも、そんな古い話ではないんです。
童謡の「花いちもんめ」や「通りゃんせ」は、
人買いに売られる子どものことを歌ったものだ、なんて話もありますよね。



さてさて、日韓の間で「慰安婦問題」が争点となって久しいですが、
いわゆる慰安婦には日本人もいましたし、日本国内でも、もちろん朝鮮内でも
人身売買は普通に行われていました。朝鮮人慰安婦のほとんどは、
親から人買いに売られた人たちです。

ですから、その手の人身売買全体が問題化するのならわかりますが、
朝日新聞が、戦争時の朝鮮人慰安婦だけに焦点をあてて取り上げたのは、
自分は、きわめて恣意的で不自然なことだと考えます。
あれ、奴隷の話をしているうち、お金の怖い話までいきませんでした。
では、今回はこのへんで。

昭和初期、東北地方
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