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時間妄想

2019.03.21 (Thu)
モスクワ物理工科大学、イリノイ州のアルゴンヌ国立研究所、
スイス連邦工科大学らの研究チームが、量子コンピュータを用いて
時間の逆行現象を起こす実験をおこなった。
「時間の逆行」というと、光速を超える方法を思い浮かべるかもしれないが、
今回用いられたのはこれとは違った方法だ。

研究チームは、物理学の基本原理である「熱力学第二法則」から外れた
現象を量子スケールで作り出したのだ。複雑系から単純系へと移行させる
ことを可能にするアルゴリズムによって、量子情報の基本単位である
3量子ビットを、数分の1秒前の状態に戻した。実験では、2量子ビットで
約85%で、3量子ビットで約50%の確率で、同現象が発生したとのこと。

(TECHABLE)

sdert (3)

今回は科学ニュースからこういうお題でいきます。
この記事だけではどういうことか理解できなかったので、英文の
元ニュースの周辺をあたってみましたが、プログラムのアルゴリズムによって、
量子のエントロピーが減少したように見える現象を、
コンピュータ内で起こしたということのようです。

まあ、「マックスウエルの悪魔」のようなことを行ったわけですが、
これはあくまでシミュレーションであって、
実際に時間が逆行するということではありません。世界的にも、
高い評価がこの実験に与えられているわけでもないようです。

マックスウエルの悪魔 気体を動きの速い分子と遅い分子に分ける 速い分子のいるほうが温度が高くなるsdert (1)

さて、時間は物理量の一つなんですが、これほどわからないものは
ないんですね。宇宙空間に対する知識はどんどん広がっているのに、
時間についてのわれわれの知見は、ほとんど増えません。
「時間そのもの」を対象にした実験というのも、
あんまり聞いたことがないですよね。

世界の名だたる物理学者がわからないものを、自分がわかるはずはないので、
ここからの内容はすべて自分の妄想です。それこそ、
「時間のムダ」をしたくない方は、読まれないほうがいいかもしれません。
何から書いていきましょうか。まず、時間には方向性があると、
普通は考えられています。過去から未来に向かう「時間の矢」とも言われます。

われわれは、その方向性に逆らって、現在から過去へと戻ることはできません。
これ、どうしてなんでしょうか。その説明の一つは、
「時間はエントロピーと深い関係があるから」というものです。
エントロピーは難しい概念ですが、「乱雑さの度合い」を表す物理量と
考えることができると思います。

sdert (5)

ビーカーに入った水に赤いインクの玉を落としました。まだインクが水に
混ざっていないときは、「エントロピーが低い」状態です。
これが時間の経過とともに、だんだんにインクと水が混じり合っていきます。
そうすると「エントロピーが高い」状態になります。そして、
いったん混ざって赤くなった水は、自然にもとに戻ることはありません。

「覆水盆に返らず」ということわざが昔からありますが、これは、
「孤立系内のエントロピーは時間と共に増大する」
と言いかえることができると思います。われわれが過去に戻れないのは、
高エントロピー状態から、低エントロピー状態に、
物事を変化させることができないからだということになります。

sdert (2)

上記引用の実験は、これを意識してのものなのは間違いありません。
ですが、「時間とエントロピーには相関関係がある」
という確たる根拠もないんですね。もしかしたら、エントロピーとは
まったく関係がなく、絶対的な時間が流れている可能性もあります。

また、時間に方向性があることを、宇宙論のビッグバンと関連づけて説明する
考え方もあります。われわれの宇宙は、温度圧力無限大の特異点から始まり、
インフレーションであっという間に膨張したというのが、
現在の宇宙論の定説です。で、このときに時間も始まった。

ですから、宇宙が膨張し続けている間は、時間は過去から未来に流れる
というわけです。でもこれ、ほんとうにそうなんでしょうか。
じゃあ、もし仮に、宇宙が膨張から収縮に転じたら、
時間は未来から過去に流れることになるのか。

sdert (4)

みなさん、そんなことってあると思いますか? 考えにくいですよね。
世界の科学者の間でも、そうはならないだろうという意見が多いようです。
ただし、時間と空間は切り離せない関係にあるのは確かです。
アインシュタインは相対性理論で、「時空連続体」という概念を提唱しました。

地球から太陽まで、光の速さで約8分です。ですから、われわれが今見ている
太陽は8分前のもので、逆もまた同じ。もし太陽上から地球を見たら、
それは8分前の過去の地球ということになります。
空間が隔たることは、時間も隔たるということなんです。
そしてその相関は、光よりも速いものがないと崩れません。



さて、ここからは少しオカルトがかった話になりますが、
われわれが「時間の矢」があると感じるのは、人間をふくむ知的生命体は、
時間を過去から未来という形でしか認識できないからだ、という議論があります。
つまり、人間の意識が過去・現在・未来という区分を作り出している。

この話も難しいですよね。じつは時間は過去から未来まで存在しているが、
人間はそのうちの「現在」しか認識することができない、という論もあって、
興味を持たれた方は、前に「ブロック宇宙論って何?」という記事を
書いていますので、そちらを参照されてください。

関連記事 『ブロック宇宙論って何?』

さてさて、あっという間に余白がなくなってきました、
ここで少し話を変えて、みなさんは『ファニーゲーム』というオーストリア映画
をご覧になったでしょうか。2人の青年が、ある家族の家に侵入してきて、
子どもを含む一家を惨殺してしまうという暴力的な内容なんですが、
一ヶ所、驚異的なシーンがあります。

途中で奥さんが反撃して青年の一人を殺すんですが、残った一人があわてて
その家のテレビリモコンを探し、操作すると、キュルキュルと、
青年が殺される前まで時間が巻き戻ってしまうんですね。最初見て、
これにはあっと驚きました。ということで、今回はこのへんで。

『ファニーゲーム』
sdert (1)



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