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タバコとオカルト

2019.03.24 (Sun)
『マルタの鷹』ハンフリー・ボガート
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今回はこういうお題でいきます。みなさんはタバコを吸われるでしょうか。
自分は以前は吸ってたんですが、2年半前に大病をしまして、
それ以来、禁煙中です。いったん止めてみると、他人が吸ってる臭いに
すごく敏感になりますね。で、そのときの体調によって、
「ああ嫌だ」と思うときも、「また吸いたい」と思うときもあります。

タバコを吸う人は、以前にくらべてずいぶん少なくなりました。
喫煙率の推移を見ますと、1965年に男性で82%の人が吸ってたのが、
2018年では28%にまで減少しています。昔は、電車やバス、
病院にも灰皿があったので、隔世の感がありますね。

さて、タバコをあつかったホラー小説や映画は少ないんです。
パッと思い浮かんできません。というか、映画やテレビは、かなり前から
タバコを吸うシーンが出てきませんよね。もし出てきても、
「何だお前、まだそんなことやってるのか!?」みたいな感じで、
肯定的にあつかわれることはありません。

『The Long goodbye』


特に、ハリウッド映画は徹底してます。まあ、訴訟社会のアメリカですから、
肺癌になった人から、「あの映画の影響でタバコを吸い始めた」とか、
ありえないイチャモンをつけられる可能性も、なくはないんでしょう。
フランス映画も、今はタバコに関してはかなり厳しいですね。
その他の国の映画では、ときおり喫煙のシーンも出てきます。

さて、少しだけタバコの歴史をふり返ってみると、南米のアンデス山脈地方が
原産地で、7世紀のマヤ文明には、すでに、噛みタバコ、嗅ぎタバコ、喫煙の
どれもがあったようです。それが15世紀、コロンブスらスペイン、
ポルトガル人によって、世界にあっという間に広がりました。

クリストファー・コロンブス
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これは間違いのない歴史なんですが、このときタバコといっしょに
性病の梅毒も世界に広まったという話があります。
ただ、こちらはタバコと違って議論があります。
日本には16世紀、豊臣秀吉の時代、ポルトガル商人によってもたらされた
と考えられています。わずか100年で日本まで到達したわけです。

ちなみに、これは鉄砲の伝来と同時期なんですが、その後、
日本の現在までの、タバコと鉄砲を原因とする死亡者数を比較すると、
タバコによる死者のほうが圧倒的に多いというような話もあります。
これなんかも、なかなか面白い視点だと思います。

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江戸時代に入って、タバコには何度も幕府からの禁令が出ています。
まず一番には、失火の原因になるということです。江戸の町は木と紙でできて
ましたから、火は大敵です。また、農民に対しても、タバコの作付は
米作りの妨げになるとして禁じられたんですが、すべてなし崩しになって
しまいました。それだけ中毒性が強いということですね。

さて、この日本へのタバコの伝来を小説にしたのが、
芥川龍之介の『煙草と悪魔』です。原稿用紙数枚の短い話で、有名なので
ご存知の方も多いと思います。いちおう簡単にご紹介すると、
宣教師フランシスコ・ザビエルの後について、悪魔が日本にやってきました。

悪魔は畑を借り、耳の中から取り出した種を蒔いて熱心に世話を始めた。
やがてその植物は紫のきれいな花を咲かせた。
そこへ牛商人が通りかかり、悪魔に花の名を尋ねました。
悪魔は、「それは教えられないが、一つ賭けをしないか。
もしお前がこの名を当てられたら、何でも望むものをやろう」

芥川龍之介
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商人が承知すると、悪魔は恐ろしい正体を現し「そのかわり、当てられない
場合はお前の魂をもらう」。この後、商人は知恵を絞って植物の名を当て、
悪魔からその植物を得ます。一見、悪魔が敗北したように見えますが、
実は悪魔の本当のねらいは、日本にタバコという害悪を広めることであった・・・

だいたいこんなお話です。芥川龍之介は超の字がつくヘビースモーカーで、
当時の、両切りでニコチンもタールも今とは比較にならないほどきつい
ゴールデンバットを、1日180本も吸っていたそうです。9箱ということですね。
自殺しなかったら、何らかの肺疾患になっていた可能性が高いでしょう。

さて、ここまででだいぶ字数を使ってしまいました。もともと、喫煙は
宗教・神事と深い関係があります。マヤ文明などでは、儀式のときにタバコを吸い、
コカの葉を噛み、カカオ(チョコレート)を飲んでいたようです。
アルゼンチンで発見された、インカ文明の子どものミイラはからは、
大量のコカの成分が発見されています。

インカの生贄少女のミイラ
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このミイラは生贄として生き埋めにされたんですが、恐怖心をまぎらわせ、
神への信仰を高めるために、薬漬けにされていたようです。
このように、タバコをはじめとする植物アルカロイドは、
幻覚、幻視、変性意識を獲得するための手段だったんですね。

さてさて、タバコの健康への害が立証されたのは20世紀の後半です。
それまで、タバコと健康の関連性は、それほど考えられていませんでした。
宮沢賢治の父親が書いた文章に、「賢治が隠れてタバコを再開した。
結核が再発したに違いない」というものが残っています。

宮沢賢治


当時は、タバコは結核の薬になるという認識があったんでしょう。
やはり隔世の感があります。あと、賢治の作品には、狐が出てくるものが
数編ありますが、狐や狸に化かされないためには、
タバコをふかして煙を吹きつけるとよい、なんて話もありますね。
では、今回はこのへんで。

パイプタバコを吸うマヤの神
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