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廃神社

2013.12.06 (Fri)
この間日曜の朝にジョギングをしていて丘の上にある神社に立ち寄った。
地域の人しかお参りしないよう小さなところ。参道に入る前にタオルで汗をぬぐっていたら、
80代か90代か、すごい年寄の婆さんがぶつぶつ独り言をつぶやきながら神社から出てきた。
しわでよくわからないが不機嫌な顔をしてるように思えた。
すれ違うとき俺のほうを見上げて「あんちゃここダメだよ」と言った。
ボケてるのだろうと思い、とりあわずにウエストバッグから小銭入れを出して鳥居をくぐった。

ここは初詣の時期以外は神主も常駐しておらず、境内に他の参拝者は見えなかった。
めずらしく陽気のいい日なのに境内はうす暗い感じがした。
手水鉢のほうに向かったら、いつもはかけ流しになっている山水が止まっていて、
水盤をのぞきこむと、20cm近くあるムカデが浮いていた。
「うわー」と思ったが、その近くをよけてひしゃくで水を汲み手にかけた。
これで清めたことになるのかと考えながらも表戸の閉まった社殿の鈴を鳴らし、
賽銭箱に100円玉を投げた。

すると賽銭箱から生まれたての乳児よりももっと細い手が伸びて、
空中の100円玉をはらったように見えた。硬貨は賽銭箱に入らず下に落ちた。
「ありゃ!」と少し怖くなったが、
見間違いかもしれないと思って木の階段の上の硬貨を拾おうとした。
すると伸ばした俺の手にさっきの細い手が2本、木目の間から出てきてからみついた。
びっくりして手を上にあげると、
ズルズルとひきずるような感触で15cmくらいの生き物が出てきた。
それは裸の人間の赤ちゃんと豚を混ぜ合わせたようなもので、顔はカブトムシの幼虫に似ていた。

「うわ、何だこれ、うわぁ」と叫びながら手を振り回しても、がっちりとしがみつかれて離れない。
すごい力だった。しかもそれは幼虫のような口を俺の腕の皮膚にぴとっとくっつけ、
頬にあたる部分をへこませて吸うような動きをしていた。
そのとき後ろから「兄ちゃんたいへんなことになってるね」と声がしたんで、
手を伸ばしてその生き物を体から遠ざけながら振り返ってみた。
草刈機を持った近所の人らしいおっちゃんが立っていた。

おっちゃんは「手入れすれば何とかなるかと思って来てみたが、もうダメだなここ。
ここの神主が浮気して、奥さんが自殺しちゃったんだよ、きのう。
ま、その前から賽銭の使い道なんかも怪しかったけどな」と言った。
「あーあんた、不浄なものに憑かれちゃったね。神社はダメになるとすぐだから。
それ振ってもとれないぞ。それにあんたの生気を少しずつ吸ってる」
そういえばなんとなく大きくなってきてるようにも見えたが、重さは感じなかった。

「どうしたらとれますか!」と俺が切羽詰った声で聞くと、
「んーそうだな。こっから県庁方面に向かうと護国神社があるだろ。
あそこに入ったら自然にとれるだろ。それは他の人には見えないけど、
いちおタオル巻いていったほうがいいな」
俺は礼を言うのもそこそこに、教えられたとおりにして走りだし、
10分ばかりで護国神社の前に着いた。
タオルを外してみたら、腹がさっきよりたぷたぷしていた。
そのまま参道を通って最初の鳥居をくぐったとたん、それは「ギイィ」と首を伸ばして鳴き
薄くなって消えた。

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コメント
神社系の話が好きだ。
| 2014.04.17 20:43 | 編集
コメントありがとうございます
仏教は基本的に霊魂を認めていないところが多いので扱いが難しいです
神道もそうではありますが
まだ自由度があって書きやすいです
bigbossman | 2014.04.17 23:18 | 編集
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