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ブラックホール観測!

2019.04.11 (Thu)
日本時間の2019年4月10日夜、国立天文台を含む世界16の国と
地域の研究機関が共同で記者会見を開き、ブラックホールの「穴」
の撮影に成功したことを発表しました。撮影されたのは、
おとめ座にある楕円銀河「M87」の中心にある巨大ブラックホールです。

(現代ビジネス)

gtyui (5)

今回はこのお題でいきます。科学ニュースサイトを見ると、
どこもすべてこの話題でもちきりなので、当ブログでも取り上げないわけには
いきません。なるべく間違えないよう、わかりやすく書きたいと思います。
さて、まずこのブラックホールですが、どこにあるんでしょう?

これは、おとめ座にある楕円銀河、M(Messier)87の中心部分です。
(ウルトラマンの故郷はM78星雲、ちょっと違います)
地球からの距離は、約5500万光年と計算されています。
このブラックホールの質量は、太陽の約65億個分。さらに、
大きさは直径380億キロにわたり、時計回りに回転しているそうです。

Messier87
gtyui (1)

じつは地球からもっと近いところにも、ブラックホールの候補(いて座A)
があるんですが、今回観測されたブラックホールはそれよりもはるかに重く、
また、周囲をとりまくガスの移動する状態が観測に向いていたんですね。
じゃあ、これまではどうして観測できなかったんでしょうか?

簡単に言うと、電波望遠鏡の力が足りなかったからです。今回の観測は、
国際協力ブロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」
が行ったものです。米国のマサチューセッツ工科大学とハーバード大学を中心に、
ドイツやオランダなどの欧州、また日本や台湾などのアジア、
そしてメキシコやチリも参加する、たいへん国際的なプロジェクトです。

世界各地にある8つの電波望遠鏡を結合させて出力をあげたものを使用し、
ハッブル宇宙望遠鏡の2000倍の解像度があり、
あんまり意味ないですが、人間の視力に換算すると300万になります。
それで、撮影に成功することができたんですね。

世界各地の8つの電波望遠鏡
gtyui (4)

次、この画像の中心の黒い穴がブラックホールなんでしょうか?
厳密にいうと違います。たんにこの画像だけを見ると、中央の穴の部分が
事象の地平線(ブラックホールの中から光をふくめ何も
脱出できなくなる面)だと思われるかもしれませんが、そうではなく、
これは「ブラックホールシャドウ」と呼ばれるものです。

ブラックホールはまったく光を出さない一方、重力で周囲のガスを集め、
そのガスが降着円盤として明るく輝きます。このような明るい円盤を背景に、
ブラックホールの光が出てこない部分が黒い影として見えるのが
ブラックホールシャドウなんですね。また、周囲のオレンジの光は、
ブラックホールに吸い込まれている超高温のプラズマガスが放つ電磁波です。

ブラックホールに近づいた電磁波は、ブラックホールに吸収されてしまいますが、
そのとき空間がゆがめられた結果、電磁波がブラックホールの周囲を
回り込むようにして縁どるため、リング状に見えるわけです。それが観測
されたということは、ブラックホールが実在する確定的な証拠になります。

さて、ここからはブラックホールについての一般的な解説です。
1915年、アインシュタインが一般相対性理論を発表しました。
そこでは、重力によって空間と時間がゆがめられる世界が、
宇宙方程式で記述されています。よく使われる例えとして、
3次元を2次元に落としたゴムマットが持ち出されます。

gtyui (2)

ゴムマットを張った上に、重い鉄球をのせるとマットがたわみます。
それが空間のゆがみなんですが、もし大きさはそれほどでもないのに、
ものすごく重いものをのせたらどうなるでしょう。
マットに穴が空きますよね。その穴がブラックホールというわけです。
中心部分は温度・圧力無限大の特異点になっています。

特異点では、あらゆる物理法則が破綻し、数式が成り立たなくなります。
この問題を生涯をかけて追求したのが、故ホーキング博士です。
では、ブラックホールの概念を最初に提唱したのは誰かというと、
ドイツの天文学者・数学者で、幼時から神童と呼ばれた
カール・シュヴァルツシルトです。

カール・シュヴァルツシルト
gtyui (3)

彼はアインシュタインの理論が発表されてすぐ、宇宙方程式を厳密に解き、
特異点の存在に言及しました。ですが、アインシュタインは、
それはあくまで数学的なもので、実際には存在しないと考えました。
シュヴァルツシルトがどう考えていたかはよくわかりません。というのは、
論文発表の4ヶ月後、第一次世界大戦の従軍中に病死してしまったからです。

これ、前にも少し書いたんですが、人間の想像力は数学に追いつかないんですね。
数学的に存在が示されても、人間の側で「そんなバカなことがあるはずがない!」
と切り捨ててしまったのが、後になって観測で証明されたというケースは、
この他にも、量子力学などでもいろいろあるんです。

関連記事 『数学には勝てない』

どうしても人間は常識に支配されてしまうんですが、じつはこの世界は、
人間の想像力を超えた形で成り立っているわけです。これなんか、
自分は素人ですが、物理学、天文学が面白いなあと思う部分です。
さて、ブラックホールでは空間と同時に時間もゆがみます。

gtyui (1)

それについても書こうと思ったんですが、残念ながら余白がなくなってきて
しまいました。いつかまたふれる機会もあると思います。ブラックホール内では、
時間についてもたいへんに奇妙な現象が起き、最近提唱されている
ホログラフィック理論にまでつながっていく話なんです。

さてさて、ということで、ブラックホールの直接観測という画期的な成果に
ついて見てきたわけですが、これはノーベル賞候補になるんでしょうか。
観測は誰がやっても同じになる客観的な事実なので、なりやすいとは思いますが、
自分にはよくわからないですね。では、今回はこのへんで。



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