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灯りのオカルト

2019.04.23 (Tue)
今回はこういうお題でいきます。みなさんは自宅の灯りに何を使って
おられますでしょうか。さすがにランプという人はいないでしょう。
自分のとこは、ほぼすべての照明を蛍光灯等からLFDに変えまして、
初期投資はかかりましたが、電気代は安くなりました。

さて、歴史的にみると、人類は長く天然の照明を利用してきました。
太陽光のことです。日が沈めば1日の活動が終わり、日が昇るとともに
行動を始める。じつに健康的な生活だったわけです。夜に灯りをともすのは、
何かの儀式をやるなどの特別な場合だけでした。もちろん、
冬に暖をとるために焚き火をすれば、それが灯りにもなっていました。

下図は縄文時代の「釣手土器」と呼ばれるもので、中に火を入れて
吊り下げて使用する灯火具です。用途としては、篝火として使われた、
また、火の神を祀るための儀式に使用されたなどと推測されています。
この図のものは長野県出土ですが、人面が復元されています。

SDDDR (4)

この人面は女性で、日本神話に登場する「イザナミ」ではないかとする
説があります。ご存知のように、男神イザナギと女神イザナミは結婚して
日本列島とたくさんの神々を産みましたが、最後に、火の神である
火之迦具土神(カグツチ)を産んだために陰部に火傷を負って、
イザナミは亡くなってしまいます。

イザナギとイザナミ
SDDDR (1)

そのイザナミが胎内にカグツチを宿している様子が、この土器に
表わされているというわけですが、文字のない縄文時代のことでもあり、
何とも言いがたいですね。また、下図の釣手土器の蛇状の形は、
古代に生息していたツチノコではないかという話もありますが、
たんに普通の蛇を装飾的に表現しているだけかもしれません。

SDDDR (5)

さて、灯りの歴史に戻って、縄文・弥生時代の灯りは焚き火やたいまつ、
古墳時代に入って、魚油を用いた灯りが使われていたことが確認されますが、
一般的ではありません。基本的には篝火です。奈良時代に蜜を原料とした
ロウソクがつくられ、室町時代ころに現在のロウソクに近いものになりました。
ただしロウソクは特殊な灯具で、主に仏寺で用いられていたようです。

平安時代には、宮中では主に魚油やエゴマ油を用いた灯火をともし、
清少納言の『枕草子』には、官位を任命する夜に、油をさして回っていた
燈台が倒れ、大騒ぎになったことが書かれています。
また『平家物語』では、平清盛の父である忠盛が、

白河上皇を警護して夜歩いていると、前方に小槌のようなものを持った
鬼が現れ、護衛の武士が騒いで射殺そうとしたところ、一人冷静だった
忠盛がその者を捕らえ、年老いた法師が灯籠に油を注ごうと
していたのであったことがわかります。このように、平安時代には、
灯籠、燈台などの照明器具が普及してきていたようです。

平安時代の燈台 覆いはない
SDDDR (6)

江戸時代に入って、照明器具として主に行灯が使われるように
なりました(屋外は提灯)。当時の江戸は世界的な大都市であり、
裕福な商人階級がたくさん生まれ、さまざまな文化が花開きました。
その中の一つに、好事家による「百物語」があります。

前に一度書いたことがあるんですが、正式な百物語の作法は、
L字型になった3つの部屋を用い、話をする部屋は無灯、隣の部屋も無灯、
一番奥の部屋には青い紙をはった行灯に百本の灯心を入れ、
文机の上に鏡を置きます。自分の話が終わった者は奥の部屋に行き、

灯心を1本引き抜いて鏡で自分の顔を見る。そして、百話の話が
すべて終わったときに怪異が現れます。下図は鳥山石燕が描いた
「青行燈」という妖怪ですが、百物語で使われる、
青い紙を張った行灯を象徴しているのかもしれません。

妖怪「青行燈」 江戸時代の行灯のつくりがよくわかります
SDDDR (7)

また、江戸の地には吉原があり、真夜中でも明かりが消えることのない
不夜城でした。下図はやはり鳥山石燕の「火消婆」という妖怪で、
吹消婆とも言われます。これは、ロウソクや油を浪費している
吉原の遊郭を風刺したものだという説がありますね。

妖怪「火消婆」
SDDDR (3)

さて、この後明治に入って、照明はガス灯や石油ランプが
使われるようになり、やがて電線が村々まで張りめぐらされて、
暗い夜の闇はだんだんにせばまっていき、それと同時に
数々の妖怪たちも姿を消していったんですね。

さて、最近のホラー映画で『ライト/オフ』というのがありました。
照明を消して暗くなると悪霊が現れるという趣向で、
なかなかいいアイデアだったと思いますが、オチはちょっと安易だった
かもしれません。悪霊の姿はブラックライトで見て戦うことができました。

さてさて、ということで、灯りについてのオカルトをみてきました。
電気製品の進化により、暗い闇がなくなってしまいましたが、
そのかわりというか、みなさんは照明をつけて怪談本を読んだり、
ホラー映画を見たりできるわけですね。では、今回はこのへんで。

関連記事 『好きな鳥山石燕の絵』 『火消婆』

SDDDR (2)




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