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コールセンターの話

2019.04.26 (Fri)
アーカイブ92

以前といっても、もう10年ほど前ですけど、コールセンターでアルバイトを
していたときの体験をお話します。ほんとうは思い出すのも嫌なんですけど、
納得がいかない部分があって、気にもなるんです。
それで、もしかして こちらで解決していただけるかもしれないと思いまして。
当時、私は短大を卒業したばかりだったんですが、
就職がうまくいかず、アルバイトで生活していたんです。
それで、友だちの紹介でそのコールセンターで働くことになりまして。
業務の内容はインプットといって、お客様からの電話を主にお受けするんです。
はい、こちらから電話をかけるのはアウトプットと言いますが、
それはやったことはありません。そのコールセンターは、
家庭教師派遣と学習教材の会社の委託でしたので、解約などの電話が多かったですね。

それで、ご存知かもしれませんが、イタズラ電話がすごくたくさんあるんです。
そうですね、そこの場合は、電話番号が子どもの目に触れやすいので、
子どものイタズラは多かったです。あと、ワン切りや無言電話。
無言の場合はしばらく待って、こちらから切りますので楽ですけど。
大人の場合は、いわゆる「変態電話」も多かったです。
あの・・・放送禁止用語を連発する人や、こちらの下着の色とかスリーサイズを
聞いてくる人なんかも。それから、変わったところでは、
寿司50人前をわざと注文する人や、聖書をえんえんと読みあげる人とか・・・
でも、私は神経が図太いほうでしたので、そういうのはそんなに気にならなかったんです。
対応としては、まず「この通話は録音されており、あなたの番号も記録されている」
ということをやんわりと丁寧に通告します。

それでもやめない場合は、男性のイタズラ対応スタッフに代わってもらうんですが、
こちらが代わりますと言って保留すると、向こうでも男性が出ると思って、
その間にたいがいは切れるんです。そんなでしたから、
イタズラへの応対も慣れたつもりだったんですが・・・ ある日、夜のシフトのときに、
私がとった電話で男性の方が出まして、ひとしきり教材関係の話をされ、
それからふっと間があって、「ところで占いって信じますか?」みたいに言われ、
「いいえ、あまり」と答えたんです。そしたら「じゃあ、あんたの名前を占ってみようか。
 ちょっと待ってね」それからガサゴソという音がして、
「ああ、わかったよ。あんたの名字は○○、下のほうは□□でしょ。
 違いますか?」それ、ばっちりあたってたんです。まさか、と思いました。だって、
コールセンターは回線がたくさんあるので、誰が電話を取るかはわからないはずです。

私がそこに勤めてることを知ってる知り合いが、冗談でかけてきてるのかとも考えましたが、
心あたりがなかったんです。声は・・・まだ若い、20代から30代くらいだと思いました。
もちろん聞き覚えはありません。私が言葉に詰まっていると、
「どう合ってるでしょ。じゃあ次、住所を占うよ。あんたの住所は・・・・・・・」
これもぴったり正解で、当時私が住んでいたアパートのものだったんです。
「え、何で、どうして?」と思いました。
電話は「これも正解だよね。じや、今日はこんくらいで。またかけるから」
そう言って向こうから切ったんです。頭がくらくらとしたんですが、
1人で考えてもダメだと思って、すぐSV(スーパーバイザー)さんに相談したんです。
そしたら「それ、ストーカーかもしれないな。向こうの番号はチェックされてるから、
 何度もかかってくるようだったら、君につながないようにする。
 
 それと、もし今後も何かあるようだったら、警察に相談したほうがいいかもしれない」
そんなふうにアドバイスされました。それから、2週間ほどは何事もなかったんですが、
ある日 夕方ころに取った電話が、またその人からだったんです。
ええ、声もそうだし、雰囲気で「ああ、あのときの人だ」ってすぐわかりました。
そのときは教材の話はせず、最初から自分で「もしもし、この間の占いのもんだよ。
 ああ、他の人と代わらないで。すぐ終わるから」一方的にそう言うと、
続けて「あんた、昨日の夜、部屋に彼氏が来たでしょ」って。
はい、当時 彼氏がいまして、たしかに前の晩は私の部屋に泊まりにきてたんです。
「あんたの彼、かっこいいね。結婚考えてるの? それと、
 あんたが飼ってる猫もかわいいねえ。これも占いで出たけど、猫の名前はチコだよね」
そこで、やはり向こうから電話を切ってしまいました。

これで本格的に怖くなりました。占いでそんなことがわかるわけはないですよね。
これはやっぱりストーカーだ、どっかから部屋を監視されてるんだ、って思ったんです。
私が住んでいるアパートの住人の顔も思い浮かべてみたんですが、
そういうことをしそうな人は思いつきませんでした。
もちろんこのときもSVさんに話しました。そしたら「向こうの番号をチェックして、
 ブラックリストに入れる。最初からイタズラ応対のスタッフに回るようにするよ。
 それと、やっぱり警察に連絡だな、これは」こんなふうに言われました。
それで少し安心したんですが、でも、翌日になって
「向こうの電話番号ね、公衆電話からだった。だからこっちからはどうにもできない。
 また別の公衆電話からかけるかもしれないから。
 ただ、次も君が取る確率は低いはずだと思うけど」って知らされたんです。

はい、警察には相談に行きました。けど、相手が誰なのかもわかりませんし、
調書はとられましたけど、警察ではその段階でできることはないようでした。
・・・それからまた3週間ほどして、その人からの電話を私がとってしまったんです。
「ほら、またあんたにつながった。こっちは公衆電話からだけど、
 何時何分何秒にかければあんたに回線がまわるか、占いでわかるんだよ。
 あ、切ったり代わったりしないで。俺、これから自殺するんだ、今かけてるのが、
 △△にあるいのちの電話ってやつ」・・・△△というのは有名な自殺の名所でした。
私は頭が麻痺したみたいになって、何か言い返すことも、
電話を切ることもできなかったんです。
「それでね、1人で死ぬのは寂しいから、あんたの猫ね、チコ連れてきてある。
 いっしょに死のうと思って」 え、まさか!!!と思いました。

チコは私が仕事にきている間、部屋から出られないようにしてあるんです。
「ググッ、グギャニャッ」みたいな声が電話の向こうから聞こえてきました。
「待って、嘘でしょ! やめて!!」思わず電話口で叫んでしまいました。
「じゃあもう死ぬから。まずチコに先に行ってもらう。・・・ギニャーッ!!」
猫らしき悲鳴が聞こえて、これは間違いなくチコの声だって思ったんです。
私は呆然として、ヘッドホンをつけたままデスクに倒れ込み、
頭をぶつけてゴンという大きな音を立ててしまったんです。
それに気づいたスタッフや上司が駆けつけてくれました。
そのときには電話はもう切れてたんです。抱え起こされた私が事情を説明すると、
上司がその場で警察を呼んでくれたんです。はい、上司と警官2人とで、
自分のアパートの部屋に行きました。

ドアを開けてチコが出てきたときには、ほっとして泣き出してしまいました。
ああ、あの電話で聞いた猫みたいな声はチコじゃなかったんだ・・・
それで、そのときのことがあまりにショックだったので、
コールセンターのバイトはやめることにしたんです。
あと、警察のアドバイスもあって、そのアパートはひき払うことにしました。
ええ、彼氏がいいって言ってくれたので、
彼の部屋でいっしょに住むことにしたんです。ただ、彼のところはペット禁止でしたので、
残念でしたけどチコは実家に預けることにして・・・最後のなごりを惜しもうと
チコを抱き上げたんです。そしたら・・・チコの白いお腹に、
それまで気づかなかった字のようなものがあるのが見えました。
毛ではっきりしませんでしたが、黒マジックか何かで「占いおとこ」って・・・





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