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アーカイブ ある掲示板の話

2019.05.03 (Fri)
今晩は。私は、外資系の会社で経理事務をやってます。
さっそく話を始めさせていただきます。
あの、みなさんはインターネットで自分の名前を検索されたことがあるでしょうか。
私は、自分の部屋にあるパソコンでネットを見ているときに。
何の気なしに自分の名前を打ち込んでみたんです。
はい、私の名前は○○○○です。名字はごくありふれたものだし、
名前のほうも珍しくはないですよね。ですからきっと、
同姓同名の人がたくさん出てくるだろうと思ってました。
そしたら予想どおり、Facebookで同姓同名の人がたくさん出てきたんです。
ああ、やっぱりこんなにいるんだな、って思いました。
あとはスポーツの大会とか、何かの会議のメンバーなんかで出てきてましたね。

でも、それらはみな別人で、私本人のものはなかったんです。
まあそうだろうな、って思いました。私はごく平凡なOLですので、
いいことでも悪いことでも名前が出るようなことは何もしてないはずです。
ただ・・・ 一つだけ、ちょっと変わったブログがあったんです。
はい、「○○○○に捧げる掲示板」っていう名前でした。
中を見てみると、リンゴとかカメなどというハンドルネームをつけた常連数人が、
ときおり集まって会話をするような内容だったんです。
投稿の数は、数日おきに5つくらいでした。読んでみたらこんな感じです。
「○○○○、昨日の夕食にカレーを作ったよ」
「うーん、もっさりしたカレーだよね。まず、タマネギ入れすぎ、
 あれだと甘くなっちゃうよね。それにカレーにジャガイモ入れるのは田舎もんだよ」

「だよね。それでできたカレーはドロドロ。あれで美味しいんだろうか?
 カレーはもっとサラッとしてなきゃダメじゃない?」
それで、その日付を見てみたら、ちょうど私がカレーをこしらえた日だったんです。
はい、カレーにはジャガイモを入れてます。ええでも、
このときは偶然だろうと思ってたんです。だって私がカレーを作ったことや、
その材料なんてわかるはずがないですから。
でも、興味をひかれまして、毎日チェックするようになったんです。
それから数日は書き込みがなく、こんなふうに再開されたんです。
「○○、昨日会社の飲み会があったみたいだね」
「会社のじゃなくて合コンじゃない」 「そう、系列の外資系の会社との合コン」
「でもぜんぜんモテなかったよね」

「うん、声かけてくれる男がいなかったから、1次会で帰っちゃった」
「スタイルもよくないし、服装もダッサイから当然でしょ」
・・・これには驚きました。はい、たしかにその前日、合コンに出席したんです。
えー、これって私のことなんだ、誰かが私の行動をブログにあげてるんだな、
って思ったんです。でも・・・会社の同僚で
そんなことをする人がいるとはちょっと考えられませんでした。
けど、合コンがあったことを知ってるのは同僚だけだし・・・
もし同僚の誰かがやってるんだとしても、そんなことをする意味がわかりません。
とにかく、そのブログから目が離せなくなり、
毎日部屋に戻ったら一番に見るようになったんです。
それで、また数日して、こんな書き込みがありました。

「○○○○のやつ、お昼休み△△さんに誘われたよ」
「んー、まあ たまたまでしょ。△△さんがこいつに気があるわけないから」
「だよね、この2人ができちゃうなんてありえないよ」
「でも男女のことってわかんないよ。もしできちゃったらどうする?」
「そのときは猿とお花を送ればいいし」
「ああ、あの方法ね。あれってよく効くよね。猿とお花」
はい、これもたしかに、その日の昼に△△という人とご飯を食べにいきました。
だから、完全に監視されてるんだって思いました。
このときは本気で、会社の同僚の誰彼を思い浮かべて、
こんなことをしてるのは誰だろうって考えたんです。
でも、やっぱり、そんなことをやりそうな人はいなくて・・・

あと、話の中で出てきた「猿と花」って何だろうとも思いました。
花はまだわかりますけど、猿を送るってどういう意味なのか・・・
それからまた数日書き込みがなく、私は会社の帰りに△△さんから食事に誘われたんです。
はい、もちろんうれしかったです。これから本格的におつき合いが始まるんだなって。
翌日、ブログを見るとたいへんな量の書き込みがありました。
「○○のやつ、△△さんとできちゃったよ」
「えーダメ、○○が幸せになるのは許せない」 「許せないよね」
「猿と花やろうよ」 「やろう」それからずっと同じ書き込みが続いてました。
「○○○○に猿と花を送ります」 「○○○○に猿と花を送ります」
・・・これと同じのが30くらいも続いたんです。
その翌日の朝です。なんというか、ものすごい鬱になってたんですよ。

はい、体調が悪いというのとは違って、鬱としかいいようばないんです。
何もする気が起きないし、ベッドから起き上がって会社に行く気にもなれない。
それどころか、自分が生きてるのが申しわけない気持ちになっちゃって・・・
なんとかスマホを取って、とりあえず会社には休むって連絡しました。
その後は食事をする気にもなれず、ずっとベッドに横になってたんですが・・・
私なんて生きる価値のないダメな人間だ、もう会社も辞めちゃおう、
ずっと部屋にこもって人に会わないようにして過ごそう、そんな気持ちになって、
胸が締めつけられるようで、布団の中で縮こまってたんです。
そしたら、ベッドの足のほうの下でカタカタ音がしました。
見ると、小さな黒いものがうずくまってたんです。
猿・・・一見猿のようにも見えましたが、体は真っ黒で、

ガリガリに痩せて、お腹だけがポコンと出ていました。それが一匹だけじゃなく、
何匹も何匹も、後ろのほうに折り重なるように詰まってたんです。
それらはみな、胸の前で両手を合わせ、一本ずつ花を持ってました。
何の花かわかりません。黄色かったので菊かもしれないです。
猿たちは、私が見ていることに気がついたみたいで、
「ギイ」と言っていっせいに立ち上がり、ベッドの上にのぼってこようとしました。
ほとんど重さは感じませんでしたが、生臭い嫌なにおいがしました。
猿たちは、私の体の上まで登ってくると、持っていた花を布団にのせ始めました。
ああ嫌だ、私は力をふりしぼってベッドから転がり落ち、
四つんばいの姿勢で、猿たちをかき分け、かき分け、
パソコンを置いてあるところまで行ったんです。

それでイスによじ登って、あのブログを開きました。そしたら・・・
「○○○○に捧げる掲示板」は、ずーっと、どこまでもどこまでも、
「○○○○に猿と花を送ります」が続いていたんです。
しかも、見ている間に書き込みはどんどん増えていってるんです。
はい、千や二千ではきかないくらいたくさん。それを見て吐き気がこみ上げてきました。
チイチイという音がして、後ろを見ると黒い猿たちが私を追って、
玉みたいになりながら近づいてきていました。
私はキーボードにすがりつくようにして、掲示板の書き込み欄に、
「猿を送るのはやめてください」と打ち込み、送信しました。
そしたら、私の書き込みの後に「見つかった」 「○○に見つかった」とすぐに出て、
「○○○○に猿と花を送ります」はぱったりと止まりました。

それと同時に、部屋の中に充満していた生臭い臭いが消え、
ふり向いてみたら、部屋いっぱいになっていた黒い猿は一匹もいなくなっていたんです。
私は、イスから降りて、床に倒れ込みました。
そのとき、あれほど落ち込んでいた気分がかなり回復しているのがわかりました。
はい、朝起きたときは、今すぐにでも死なないと申しわけないみたいだった気持ちが、
ずっと軽くなっていたんです。1時間くらいそのままでいて、
立ち上がってパソコンを見ると、ブログの書き込みは
「○○に見つかった」のところで止まったままでした。
はいそれで、いったんパソコンを切って次に立ち上げたときには、
「○○○○に捧げる掲示板」はなくなっていました。どうやっても見つからなかったんです。
ええ、今は大丈夫です。会社にも行ってますし、普通に生活しています。






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