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明治とオカルト

2019.05.07 (Tue)
今回はこういうお題でいきます。令和となってはや1週間が
過ぎましたが、みなさんは実感がありますでしょうか。
自分はどうもまだピンとこないんですが、まあ、これから書類などを作る
機会が増えてくるので、じょじょに実感していくんだろうと思います。

さて、明治維新によって、日本は近代国家への道を歩み始めるわけですが、
この時代に、現代へとつながる日本のオカルト観が固まったと
見ることもできます。まず、日本の開国が行われたことにより、
どっとばかりに西洋文明、近代科学思想が流れ込んできました。

当時の知識人は、あふれるばかりの新知識を消化するのに必死だったん
ですね。とにかく語学を勉強し、まずは西洋の書物を翻訳する
ところから近代化が始まりました。その過程で、多くの新しい漢語が
できていったんです。現在の中国や韓国でも、日本が明治期に
西洋語を訳した漢語が、言語に多く取り入れられています。

これは余談になりますが、日本がこの時期、たくさんの
西洋の名著を翻訳したことで、その後の学生は、様々な分野の
基礎となる教科書的な本を、日本語で読むことができるようになりました。
これは他の国ではなかなかみられないことなんです。

さて、西洋文明が流れ込んでくることにより、日本人の間に
科学的に思考しようとする意識が芽生え始め、それと同時に、
それまで信じられてきた俗信を、非科学的なものとして切り捨てよう
とする流れが生まれました。みなさんは、井上円了という名前を
聞かれたことがあると思います。

井上円了
っっさ (4)

仏教哲学者で、現在の東洋大学を創始したことで知られていますが、
それまで日本にはびこっていた迷信を打破するため
妖怪の研究を始め、「お化け博士」 「妖怪博士」などと呼ばれました。
彼は自然現象によって発生する人魂などを「仮怪」と呼び、
自然科学を解明することにつながると考えたんですね。

やがて、ガス灯や電灯の普及により夜の闇が照らされ、
妖怪を信じる人は少なくなりましたが、狐や狸に化かされるなどの話は
昭和の時代になるまで続いていましたし、「夜に口笛を吹くと
蛇が来る」などの民間信仰も、根強く生き残りました。

一方、妖怪や民間伝承を研究することが学問として成立すると
考えた人物もいまして、日本民俗学の創始者とされる柳田國男です。
柳田が代表作である、岩手県の民間伝承を採集した『遠野物語』
を書いたのは、明治も終わりに近づいた43年のことです。

柳田國男
っっさ (5)

この動機ですが、当時の西洋の「心霊主義」の影響を受け、
日本でも怪談ブームが起きていたのが大きな要因と考えられています。
柳田は『遠野物語』の序文で「願わくは之を語りて平地人を戦慄せしめよ」
と述べており、一種の怪談と考えていたことがわかります。

さて、柳田に影響を与えた西洋の心霊主義は、明治期の日本に
大きな事件を引き起こしています。「千里眼事件」ですね。
これについては、以前にも当ブログで取り上げていますが、
東京帝国大学の福来友吉らが、御船千鶴子など、
複数の霊能者の能力を科学的に調査しようとしたものです。

福来友吉
っっさ (2)

これが起きたのが、柳田が『遠野物語』を書いたのと同じ年です。
事件の経緯はここではくわしく書きませんが、霊能者側がはっきりした
形で能力を証明できなかったのは確かで、マスメディアによって
大きく糾弾され、研究者側は「千里眼は科学に非ず」
という最終見解を公表せざるをえませんでした。

当時は、西洋で信じられているものはとにかく日本に移入しよう
とする考えがあったんですが、この事件を契機として、
「心霊主義は科学ではない」とされたわけです。
福来は東京帝大を辞職せざるをえませんでしたが、福来はまた、
当時の催眠術研究の権威であり、その方面の著作も複数あります。

明治期、日本の心霊主義の中心的人物であった浅野和三郎
っっさ (1)

この後すぐ、明治の終わりから大正時代にかけて、
催眠術の大ブームが起き、風紀が乱されるのを恐れた政府は、
「みだりに催眠術を施した者は処罰する」という法令を定めました。
これにより、全国で催眠術興行を行っていた術者は、
看板を「霊術」と書き換えて当局の追及をかわしています。

この霊術について、あまり研究は進んでいないんですが、
催眠術に指圧、鍼灸、手かざし療法などを加えたかなり怪しいものでした。
ですから、やはり催眠術同様に昭和5年に禁令が出され、
霊術家は、治療家や新興宗教の教祖、健康法の指導者などに姿を変え、
それが現代まで続いているんです。

当時の催眠術本『魔術と催眠術』
っっさ (1)

さてさて、ということで、明治期のオカルトの流れをざっとふり返って
みましたが、霊術などは、科学とオカルトの両方にまたがる分野と
言えます。怪しいものですが、完全に否定するのも難しい。
ですから、それを商売にしようとする人物も出てきます。

こうして見てくると、現在の日本のオカルトの多くが、明治期にその種が
蒔かれたものなんです。それらは厳密には科学とは言えませんが、
だからこそ信じたいという人も多いんです。さまざまな民間療法や
パワーストーン、引き寄せの法則などがそうですね。では、今回はこのへんで。

っっさ (3)



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