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手のオカルト

2019.05.10 (Fri)
今回はこういうお題でいきます。手は人間にとって、かかすことが
できない体の部分ですよね。それは、もし両手がなくなってしまったら
と考えてみればわかります。日常生活のほとんどのことに
不自由してしまうでしょう。

さて、手のオカルトとして最も有名なのは「栄光の手」
なんじゃないでしょうか。かの『ハリー・ポッター』シリーズでも、
ノクターン横丁の闇の魔法道具を売る店先に飾られていました。
栄光の手はまた、「輝きの手」とも言われます。

『ハリー・ポッター』シリーズに登場する「輝きの手」


これは西洋魔術のカテゴリに入る話です。そのつくり方には諸説ありますが、
基本的には、絞首刑にされてまだぶら下がっている罪人から
その右手を切り取らなくてはならないとされます。ヨーロッパ中世の魔導書には、
中に残っている血をすべて絞り出し、塩・唐辛子・胡椒・硝石・水の混合液の
入った壺に2週間ほど漬け込むなどの制作法が書かれています。

それからさらに乾燥させた手は、屍蝋化します。そして不思議な力を持つ
ようになるんですね。特に、泥棒にとっては必須のアイテムと言われます。
栄光の手を持って目的の家に侵入し、指先に火をつける。
すると、家の中の人々を一瞬にして眠りに落とす、
あるいは全身麻痺にさせることができるとされました。

イギリス、ダービシャー州カッスルトンで発見された「栄光の手」
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実際に使用されたと言われる栄光の手が、何本か見つかっています。
ただこれ、語呂合わせからできたものだという説もあるんですね。
栄光の手は英語で「Hand of Glory」ですが、もともとの語源は、
フランス語の「main de gloire」。「マンドレイク」と言えば、
聞いたことがある方もおられるでしょう。

マンドレイクは実際にある植物で、古くから薬草として用いられましたが、
魔術や錬金術の原料として登場します。根茎が人の手足に見えるような形の
ものもあります。神経毒が根に含まれており、幻覚や幻聴を起こしたり、
死ぬ場合があるとも言われます。このマンドレイクが、フランスから
イギリスに伝わる過程で、栄光の手と誤解されて広まったのかもしれません。

魔導書に描かれた「栄光の手」
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マンドレイクにも、絞首刑になった罪人の男性が、激痛から射精した精液が
落ちた地面から生まれるとういう、似たような点があります。
この栄光の手は、19世紀のヨーロッパで大流行した心霊主義の
降霊会でも使われていたという話がありますが、
貴重なものですので、毎回用意されていたというわけでもないようです。

ただ、降霊会において、参加者の手はきわめて重要視されました。
降霊会の参加者は、お互いに手を握り合わせることが多かったんですが、
これはパワーを高めるためと説明されました。また、霊媒師が
暗闇の中で手を使ってインチキしているのではないという
証明にもなっていたんです。

降霊会の様子
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ただ、当時の霊媒師はみな初歩的な手品をこころえていました。
膝関節を鳴らして音を出したり、膝でテーブルを持ち上げたり、
糸を足先で操って楽器を動かし、音を出したり、
握っていた手を一瞬離して、自分の両隣の人が手を握り合うように
させるなどのテクニックを持っていたんですね。

もしかしたらそのとき、栄光の手のようなものが使用された可能性があります。
また、降霊会で出現した霊の手の型をロウでとったなんて話も
残っています。1919年、フランスの心霊研究家ギュスターブ・ジュレは、
ポーランドの物理霊媒、フラネク・クルスキーをパリの研究所に招き、
エクトプラズムの物質化現象の実験を行いました。

物質化しようとするエクトプラズムの手
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当時の降霊会では、エクトプラズムを物質化させるのが流行していましたが、
人の全身が現れる場合はきわめて少なく、たいがいは顔や手足などの
身体の一部が現れることが多かったんです。そこで、溶融パラフィンロウを
円形の容器に入れ、その容器を温水の上に浮かべて溶かし、
型を取る方法を考案しました。

もし、普通の人間が薄いロウの手形を作ろうとすれば、握った手を開いたり
手を抜こうとするうちに破れてしまうはずである。
これがエクトプラズムであれば、手を抜くときに物質化を解除すれば、
薄いロウを破ることなく抜くことができると考えられたんですね。

そしてこの実験は成功し、手や足の型を取ることができたんです。
このときの手は「クルスキーの手型」と呼ばれて、エクトプラズムが実在する
証拠とされました。ただ、1997年になって、
イタリアの懐疑論者マッシモ・ポリドーロらが同様の実験で作製に成功し、
やはりトリックではなかったか、との声明を出しています。

「クルスキーの手型」
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まあ、真相はわかりません。空中浮揚など、この心霊主義の時代におきた
数々の不可思議な出来事は、もはや検証が不可能で、
ただ逸話だけが残っている状態なんです。日本でも、これらのことを
スピリチュアリズムの歴史としてまとめているサイトがあります。

さてさて、手をあつかった短編ホラー小説として、イギリスの小説家
W・W・ジェイコブズの『猿の手』はあまりに有名ですよね。
一見みすぼらしい猿の前足のミイラですが、持ち主の願い事を三つ叶えて
くれるという魔力を持っています。それをゆずり受けた一家は
ささやかな額のお金を望むのですが・・・

筋を書かなくてもみなさんご存知でしょう。この猿の手なんかも、
ここまで書いてきた栄光の手のバリエーションなのかもしれません。
手のオカルトについて、指で結ぶ印の、西洋と東洋の違いなんて
話もしようと考えてたんですが、そこまでいきませんでした。
では、今回はこのへんで。

ssssd (1)




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