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見る話 2題

2019.06.09 (Sun)
見る、ということは、感覚器官である目がとらえた像を電気信号に変換し、
さらにそれを、脳の中での複雑な過程を経て意識が認識します。
ですから、その途中のどこかで誤作動が起きたとしても、
それほど不思議なことはないんですね。一人で見た場合は
そういう誤作動があってもおかしくはない。俗にいう、
幻覚ってやつです。ですが、複数で見た場合はそうとは言えませんよね。
まあ、集団幻覚ということもありますが、めったにあるケースではない。
そのため、複数人が同じものを見たという証言は貴重なんですが、
あんまりないんですよね。また、あったとしても幽霊とは少し
違う場合が多いんです。今回は、自分のところに集まってきた話の中から、
その手のものを2つご紹介します。

鳥を見る
私のいた中学校は、毎週の月曜日に朝の全校集会ってあったんです。
3シーズンは外で、冬季間だけは体育館で行ってました。
時間はそんなに長くはなかったです。全部で15分くらいかな。
校長先生のお話がメインでしたが、当時の校長先生は長話はされない人で、
朝だったこともあって、夏でも倒れたりする人はいなかったと思います。
それで、あれは体育館だったから冬のことですね。
私は校長先生が話をしているのをぼーっと見ていました。
話の内容は記憶ないですねえ。そしたら、始まって数分したら、
校長先生の体がふわーっと壇から浮き上がったんです。
「えっ!?」と思いました。でも、目をこすって確かめると変なんです。
校長先生の体が重なって見えるんですね。

その意味はすぐわかったっていうか、そっちが本体だと思うんですけど、
一人の校長先生は壇の上でそのまま話していて、
もう一人の校長先生がゆっくり上に向かって浮き上がっていくんです。
その体が重なって見えてた。「え、え、え?」でも、そんなことが
あれば大騒ぎになるはずだけど、まわりはみなシンとしてる。
あ、それと、浮き上がっていく校長先生は両手を羽ばたいていたんです。
校長先生は退職間際の男の先生でしたけど、下の校長先生は
真面目に話をしてるのに、浮いていく校長先生は、
なんともいえない気持ちのいいような顔をして、少しずつふわーっ
ふわーっと両手を動かして。どうなるんだろうと思って見てたら、
浮いていく校長先生の体は、ステージの上までくると、

急に鳥に変わったんですよ。人間と同じ大きさくらいある鳥。
鳳凰って言うんだと思います。あとで絵を見たらそっくりでした。
体からひらひらした房みたいなものが何本も下がってて。
それで、顔だけが校長先生。その鳥はステージの上の幕に
隠れて見えなくなっちゃったんです。ええ、不思議だというか、
他の人に見えてないなら、私の体が悪いのかと心配になりました。
だから、教室に戻って担任の先生が来るまでの時間に、
思い切って立ち上がり、「さっき、校長先生が2つに分かれて
鳥になったのを見た人、手をあげて!」ってやってみたんです。
そしたら、ほとんどのクラスメートは驚いてましたけど、
手が3本挙がったんです。男子1人、女子2人。

それで、その人たちのところに行って確認したら、
やっはり私と同じものを見てたみたいなんです。校長先生が2つに
分離して、一つは浮き上がって鳥になった・・・不思議ですよね。
その子たちも気味悪がってたから、その日の休み時間に他のクラスでも
調べてみました。そしたら、他のクラスにもいたんです。けど、
人数とかは確認できなかったです。まあこんな話で、校長先生がこの後
亡くなったとかなら納得できるかもしれませんが、そんなこともなく、
私たちが卒業のときに退職されました。今はどうしてるかわかりませんけど。
それでね、2月になってインフルエンザが小流行し、かかって休んだのが、
そのときに鳥になった校長先生を見たメンバーだったんです。
もしかしてあれ、インフルエンザの精とかだったんでしょうか。

蟹を見る

これね、うちの祖父が亡くなる前に入院したときの話です。
肺がんでした。見つかったときはもう末期で、しかも80歳を過ぎてたので、
積極的な治療はできなかったんです。幸い、骨などには転移してなくて、
大きな痛みはなかったんですが、息苦しそうでした。
病院で最期を迎えたんですが、その2週間くらい前かなあ。
私が母と見舞いに行くと、ベッドに酸素のチューブをつけて寝てた祖父が、
少しだけベッドを起こして、「さっきなあ、蟹をもらったぞ」って
言ったんです。「え、どなたからです?」母が言いました。
私たちがいないうちにお見舞いの方が来てくれたなら、
お返しとかしないといけないですから。そしたら祖父は、
「どこの人かはわからんなあ、なんせ顔がなかったから」

こんなことを言いました。でもそのときまで、祖父は頭はしっかりしてた
んです。母は驚いてましたが、話を合わせるように、
「あらそう、で、蟹は冷蔵庫の中?」そう聞きました。
そしたら祖父は、「いや、ここにあるが、見えんのか?」
そう言って、ベッドの胸あたりにある大きなものを持ち上げるそぶりを
したんです。そうですね、足を持っていたとして、
祖父の手を広げた具合から、かなり大きな蟹です。母と私は顔を見合わせ、
「あら、よかったわねえ」そう言うしかできませんでした。
祖父はまた横になったので、それ以上の話はしませんでしたが、
蟹なんてあるはずはないんです。ですけど・・・
翌週ですね、また見舞いに行きました。その頃には、

祖父の容態は悪化していて、個室に移ってたんです。
それで、入ってすぐ、部屋の中が異様な臭いがするのに気がつきました。
生臭いっていうか、生き物が腐ったような臭い。でも、祖父は最後まで
自分でトイレに歩けたから、おむつとかの臭いじゃないんです。
ちょうど看護師さんが来たんで、母が部屋の臭いの話をしたら、
看護師さんは困ったような顔で、「そうですね、嫌な臭いがします。
 でも、部屋の中をすみずみまで調べても原因がわからなくて。
 もしかしたら、何か生き物が入ってるかと考えて、
 業者さんにエアコンも見てもらったんですけど、スミマセン」
こんなことを言われたんです。その臭いは、祖父のベッドの近くが
いちばん強かったです。磯臭いような感じもしました。

そのとき、私たちが来たのがわかったのか、祖父が目を開けて、
「ああ、お前たち来たのか、臭くてたまらんから、この蟹を
 よけてくれんか」そう言って、視線を胸元の毛布に向けました。
「え、まだ蟹がいるの?」 「ああ、死んで腐ってるくせに、
 がっちり爪で毛布をはさんで、わしの力ではとれん」
でも、祖父の胸元のあたりをさわっても、もちろん何もなし。
それから、祖父が亡くなる3日前です。そのときには嫌な臭いは
ほとんどなくなってましたけど・・・まだかすかに、
あるような気もしたんです。気になったのでやはり胸元を
さわっても何もないんです。それで、祖父はその個室で亡くなったんです。
血圧が低下して親族が呼ばれ、ベッドのまわりを取り囲みました。

祖父は強い麻酔をされてて意識はなかったです。人工呼吸器などの
延命治療は、本人の希望で断っていました。やがてだんだんに
心電図の鼓動が弱くなっていって、医師が「みなさん、呼びかけて
 あげてください」みたいなことを言いました。
「お父さん」 「○○伯父さん!」いろんな声がかかり、
それからすぐ、「○時〇〇分、お亡くなりになりました」医師がそう
言ったとき、ベッドの祖父の胸の部分に、大きな蟹が浮かび上がって
見えたんです。蟹は1mちかく、生きていない抜け殻のように
思えましたが、がっちりと祖父に爪を立てていました。
でも、すぐに消えて。後になって弟に聞いてみたら「蟹、見たよ」って。
あれ、何だったんでしょう。肺がんが実体化したものなんでしょうか?





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