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江戸川柳は難しい

2019.06.11 (Tue)
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江戸の長屋

今回はこういうお題でいきます。ほとんどオカルトとは関係ない
話ですが、最後のほうで少しだけ出したいと思います。
前にも少し書きましたが、自分は鳥山石燕の妖怪画を研究していまして、
あの絵のそれぞれは、何か洒落や隠された意味が込められた
判じ物になっていて、なかなか謎解きできない。

これはなんでかと考えると、自分に江戸の知識がないからなんですね。
それで悔しいなと思いまして、少し江戸学の勉強をしてるんです。
といっても、市民講座を受けたり、大学の聴講生になったりとか、
そういうことではなく、まあ、本屋に行って、
江戸時代に関する新書が目につけば買うくらいです。

江戸古川柳というのがありますよね。連歌の前句付けが独立したもので、
俳句と同じ五・七・五ですが、季語はありません。
季語がないので自然をよんだ句は少なく、世相や風俗が題材になって
いるものがほとんどですが、これが難解なんですねえ。

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一度読んだだけではまったく意味がつかめず、謎解きをしなくては
ならないものが多く、石燕の妖怪画と共通点があるんです。
江戸当時の商売や物の値段、作法やしきたり、それから、吉原遊廓などの
色ごとに関するもの、時事的な事件、それらについての知識が必要です。

例えば現在でも、少しだけ流行した言葉とか、一発屋で
消えた芸人なんかは、もし100年後にそれをよんだ川柳が
残っていたとしても、おそらく未来の人はすぐには意味がつかめないと
思います。同じことが、現代から見た江戸古川柳にも言えるわけです。

さて、ではここからは、少し難解句をご紹介していきたいと思います。
「こりゃ喜助 小便所までは 何里ある」
まず理解は不可能ですが、ヒントは吉原をよんだもので、
喜助というのは、遊郭で雑用をしている老人のことらしいです。

江戸の職業 リサイクルが発達していました
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これはふられた男のことですね。首尾よく遊女と布団に入ったのはいいが、
女は小便に行くと言い残して逃げてしまう。よほど嫌われたんでしょう。
それで残された男がしびれをきらして、小間使いの爺さんを呼んだ。
・・・まあ、ふられたことがわからないほどの野暮ってことなんでしょう。

これもまず無理ですが、少し考えてみてください。
「大家から 鉄砲玉が 十五くる」 ヒントは15という数です。
江戸の町人はほとんどが長屋に住んでいて、「大家といえば親も同然」と
言われていました。で、大家は家賃を取るかわりに、
住人の世話をなにくれと焼いたものです。

正月には餅、十五夜には団子を配るなどしましたが、大家にも金がない。
そこで月見団子が、当時の丸い鉄砲玉くらいの大きさになった・・・
わかんないですよねえ。次も大家と店子もので、
「店中の 尻で大家は 餅をつき」わかったらすごいです。

吉原の花魁
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ヒントは、尻=ウンコです。江戸の長屋は共同井戸、共同便所でしたが、
長屋の住人が出したものは、権利として大家が下肥取りに売っていました。
野菜栽培などの肥料として使われるんですね。で、大晦日にその
支払いをもらって、大家がやっと正月の餅つきができる。
あと、「尻もち」と言葉が掛けてありますね。

『南総里見八犬伝』を書いた宝井馬琴は、何でも日記につけていましたが、
自宅の下肥の代金にナス250本をもらい、「一人50本なのに
足りないぞ」と文句をつけています。すると下肥取りが、
「15歳以下は一人と数えません」と言い返す。
・・・落語みたいですが、本当にあった話です。

あとは職業ですね。江戸には多種多様な職業があって、これをよんだ
ものもわからない。「焼接屋 夫婦喧嘩の わけを聞き」
さあどうでしょう。焼継屋というのは割れた瀬戸物を鉛ガラスで
接着する仕事で、街中を流していました。

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で、ある長屋の家で夫婦喧嘩があって茶碗を投げて割れた。しかたなく、
その仲裁をしようとするところなんですね。次は世相・事件に関するもの。
「お妾の おつな病は 寝小便」小便組という詐欺行為があって、
田舎侍や大店の商家に妾に入った女が、わざと毎晩寝小便をして
暇を出され、支度金をだまし取る手口で評判になりました。

おっと、まだいくらでもあるんですが、そろそろ字数が尽きてきたので、
オカルト川柳に移ります。「幽霊に なると平家も 源氏なり」
これはわかりやすいでしょう。平家は赤旗が軍の印でしたが、
幽霊になると白装束なので、白旗がシンボルだった源氏と変わらない。

「幽霊は みな俗名で あらわれる」 『四谷怪談』のお岩さんというのは
もちろん俗名で、戒名で出てくることはない。成仏していないからですね。
「幽霊に 応挙画筆の 水を向け」これは足のない幽霊画を描いたと
言われる円山応挙のところに幽霊が出たので、
絵筆に使う水を手向けがわりにしたということでしょう。

さてさて、ということで、自分が難しいなあと思った川柳の
ほんの一部だけですがご紹介してみました。なかなか面白いと思いませんか。
江戸学って深いんです。いつ石燕の絵までたどりつけるかわかりません。
では、今回はこのへんで。

関連記事 『江戸の隠居パワー』

幽霊画
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