FC2ブログ

AI小説について

2019.06.13 (Thu)
ssss (3)

数年前、「AIが書いた小説が星新一賞の一次審査を通過した」
という報道がなされた。星新一賞は日本経済新聞社が主催する公募文学賞で、
「人間以外(人工知能等)」からの応募も認められている。
そして、第3回(2016年)において一次審査を通過した作品のなかには、
「人間が書いていない」ものがあったという。
(現代ビジネス)

今回は科学ニュースからこのお題でいきますが、前にもじつは
似たような記事を書いてますので、そちらをお読みになった方は
スルーされたほうがいいかもしれません。上記のニュースは、
松原仁・公立はこだて未来大学教授のプロジェクトが作成した短編、
『コンピュータが小説を書く日』のことですね。

第3回の星新一賞に応募して、一次審査は通過したものの、
受賞にはいたっていません。ネット上に掲載されていますので、
興味を持たれた方は参照されてください。自分が読んだ感想は、
正直、受賞するにはまだまだだなあというものでした。

クリックで拡大できます
ssss (5)

あと、この作品は厳密には「コンピュータ(AI)が書いた」とは
言いにくいものです。確かに文章はコンピュータが作成していますが、
そのもとになるストーリーは、人間が考えているからです。
ですから、あえて言えば人間とコンピュータの
合作ということになるでしょうか。

もっとも、研究プロジェクトの目的は「コンピュータに、意味のとおる
ある程度の長さの文章を書かせる」ことであって、
「コンピュータに小説を書かせる」ことではありません。
ですから、それについてはかなり達成されたと言えるでしょう。

さて、こっからは自分の考えですが、「小説を書く」とした場合、
3つのプロセスが必要だと思います。① 小説を書くための動機を持つ 
② 小説のアイデア、ストーリーを得る ③ 実際に文章を作成する
他にもあるでしょうが、話をわかりやすくするため、これで論じていきます。

③はだいぶ進化してきています。ですが、技術的な部分については、
小説よりも絵画のほうが進んでるんじゃないかな。
自分も画像加工ソフトを使って、趣味で絵を描いたりしていますが、
その進化はめざましく、年々できることが増えてきています。

ssss (4)

ただ、①と②については難しいですね。理由は簡単、
コンピュータは人間ではないので、人格がないからです。
小説を書く動機というのは、社会的動機と文学的動機とに分けられる
かと思います。社会的動機というのは例えば、

「俺は小説を書いて芥川賞をとり、今まで馬鹿にしたやつらを
見返してやる」とか「俺は流行作家になって、ガバガバ金を稼いでやる」
まあ、出版不況と言われて久しいので、小説で大金を得るのは
昔に比べてきわめて難しくなっていますが、それはともかく、
人間でないコンピュータが、こういう考えをいだくはずはありませんね。

文学的動機は、これは②ともかぶってくるんですが、
「人類に普遍の原理を思いついたから、それを小説にしよう」
「すばらしいシーンが頭に浮かんだ、それをメインに小説を書こう」
こんな感じです。でも、これも現状ではコンピュータには無理です。

AIが描いた肖像画 4900万円で落札
ssss (6)

自ら発想することができないんですね。例えば、天気予報や株式状況の
データをもとに自動で文章をつくる。これならできます。
あとは、人間のほうで、悲しい小説、笑う小説、感動する小説、
読んだ人が怒る小説を書け、とコンピュータに命ずることもできます。

ちなみに、これは余談ですが、悲しい小説と笑う小説で比較すると、
笑う小説をコンピュータに書かせるほうがはるかに難しいそうです。
まあ、悲しい話の場合、難病の少女とかを主人公にして、
次々に不幸が襲ってきて最後には死んでしまう・・・

そういう材料をコンピュータに与えれば、それなりにできそうです。
ひところ「難病もの映画」というのが流行しましたよね。
あんな感じになると思います。ステロタイプになってしまいますが、
しかたがありません。それに対して、笑う小説というのは本当に難しい。
ギャグを考えるのは高度な知的作業なんです。

ほとんどが画像ソフトで描かれている漫画『コブラ』
ssss (1)

さて、ここまで読まれた方には、自分が何を言いたいのかおわかりでしょう。
結局、コンピュータがすべて自力で小説を書くためには、
人間とほぼ同等の感情を持つ必要があると思うんです。でも、
そうなるまでには数々のハードルがあり、数十年単位でかかりそうですし、
また、機械に感情をもたせるのがいいことかどうかもわかりません。

優れた小説を書くためには、感性による面が大きいんですが、
これは現在のコンピュータには難しい部分です。チェスや将棋などでは
コンピュータは人間を超えましたが、将棋は図形的な要素を含んだ
計算であり、そういう数的処理はコンピュータは得意です。

さてさて、では実際にコンピュータに小説が書けたとして、
コンピュータは小説家として認められるのか。現在の法律では、
もちろんコンピュータに人権はありません、したがって著作権もないと
いうことになります。ですから原稿料は入ってこない。当面は、
さっき話に出た画像加工ソフトのような使い方になるんじゃないかな。

漫画家さんの中にも、コンピュータで絵を描いている人は
大勢いますよね。あれと同じように、人間がテーマやシーンを入力し、
それにそってコンピュータが文章をつむぐ。派生した収入は
コンピュータを操作する人間が得ることになります。これはライターを
やっている自分にもありがたいことです。では、今回はこのへんで。

関連記事 『シンギュラリティって何?』

ssss (2)



関連記事
スポンサーサイト




トラックバックURL
http://scoby.blog.fc2.com/tb.php/2021-4c47fef0
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する