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絶対正確な時計の話

2019.06.30 (Sun)
ssssd (1)

1972年の6月30日、国際標準時局の決定によって、初めての
うるう秒の挿入が実施されました。うるう秒とは、原子時計によって
決定される国際原子時(TAI)と、地球の自転を基準とした世界時
(UT1)のずれを調整するために挿入される秒のことで、

通常は存在しない「6月30日の23時59分60秒(日本時間では
7月1日の8時59分60秒)」を挿入することで1日の長さを
1秒だけ長くする調整が行われました。1972年以来、27回の調整が
実施されており、直近では2017年1月1日にうるう秒の挿入が
行われています。
(現代ビジネス)

今回は科学ニュースからこの話題でいきます。これ、難しいんですよねえ。
自分もよくわからないまま書いている部分もありますので、
もし間違い等がありましたら、コメントでご指摘いただけたら幸いです。
最初のほうは退屈ですが、ガマンして読んでいただけたら、
後半はなかなか面白い内容になりますよ。

クリックで拡大できます
ssssd (5)

まず、みなさんが使っている「秒」という概念なんですが、
これがすごく難しい。昔から、地球の自転をもとにして1日という
時間の単位が決められてきました。1日の長さ(LOD Length of Day)
を24等分したものが1時間、さらにそれを60等分して1分、
その60分の1が1秒。これを「世界時(UT1)」といいます。

つまり、1日は「24時間☓60分☓60秒=86400秒」です。
逆にいえば、1秒は1日の86400分の1になります。
ただ、地球の自転は時期によるブレがあります。ですから、どこか
基準を決めなくてはなりません。そこで1956年に、1900年の
1月1日の1日の長さの1/86400を1秒と定めました。

さて、1960年代に入って、セシウム原子の周波数が研究され始め、
セシウム133原子と、1日の長さをもとにした1秒との関係を調べて
みたところ、1秒が「9192631770周期」にあたるという
数値が得られ、1967年に「国際原子時 (TAI) 」における秒の長さが
決まったんです。まあ、ここまではわかりやすいですね。

ssssd (4)

で、上記したように地球の自転にはズレがありますので、
どこかで修正が必要になってきます。平均すると1~2年で、
国際原子時と世界時には1秒程度のずれが生じることになり、
これを調整するために、うるう秒が挿入されることになるわけです。
ちなみに、「うるう年、うるう月」とはまったく関係ない話です。

引用ニュースのように、これまで27回の修正が行われました。
うるう秒で補正した時刻を「協定世界時(UTC)」と呼び、
これが全世界共通の標準時刻になっています。日本では、
うるう秒の挿入があるときには総務省から発表されます。

では、次にうるう秒が挿入されるのはいつかというと、これは
わからないんです。規定では、地球の自転と原子時計での時刻が
0.9秒以上ズレそうなときに、修正をかけることになっています。
前回が2017年ということなので、そろそろなのかもしれません。

セシウム原子時計
ssssd (2)

さて、ここまで、数字のたくさん出てくる退屈な内容じゃなかったか
と思いますが、そろそろ本題に入っていきます。まず最初の疑問ですが、
セシウムをはじめとする原子時計ってズレないんでしょうか。
これはズレます。現在の最も精密な原子時計でも、3000万年に
1秒程度のズレが生じることがわかっています。

まあ、この世に絶対正確な測定はなく、誤差は必ずあるので
当然なんですが、それとは別に「固有時」というものがあります。
もうおわかりかと思いますが、相対性理論からきているものですね。
アインシュタインは相対性理論発表のとき、
「私は全宇宙に時計を置いた」と述べています。

もし、みなさんが生まれたとき、誕生祝いとして「絶対正確な時計」を
もらったとします。そんなものは実際にはないので思考実験です。
で、みなさんの家の壁にも、やはり別の絶対正確な時計がかかっている
とします。さて、みなさんが20歳になったとき、自分の時計と
家にある時計はどのくらいズレているでしょうか。

ssssd (6)

これはみなさんが、どこに住み、どんな仕事をし、
どのように移動を行ってきたかによって異なるんですね。
相対性理論では、重力が大きいところに住んでいる場合は
時計が遅れます。逆に、みなさんがもし気球のようなものの中で、
高い空の上で生活していた場合、重力場の影響が小さいので時計は進む。

もう一つ、相対性理論では、速度の速いものに乗っていた場合、
時間が遅れることになっています。つまり地球では、時計は重力と
速度の影響をうける。この好例が、カーナビなどに使われているGPSです。
GPS衛星の高度は約20000kmなので、地球重力の影響が
小さいことから、地上よりも時間の進み方が早くなります。

その一方、GPS衛星の軌道速度は秒速約4kmと高速であるため、
特殊相対論によって時間の進み方が遅くなるという、正反対の影響を受ける
わけです。結果的に、GPS衛星での時間の進み方は1日あたり
0.0000286秒ほど遅くなります。なんだ、そんな小さい数字と
思われるかもしれませんが、相対性理論による補正を行わないと、
GPS情報は1日で約10kmものズレが生じてしまうんです。

ウラシマ効果
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さて、同時に生まれた双子のそれぞれが、誕生祝いに同じ絶対正確な時計を
渡されたら、という思考実験から出てきたのが「ウラシマ効果」です。
双子の一人は宇宙飛行士になり、光速に近い速度で宇宙をかけめぐって
帰ってきた。そうすると地球に残っていた兄弟よりずっと若く見えます。

2人の固有時が違っているためですね。まあ、双子の例を持ち出さなくても、
みなさんが生まれてからどんな場所に住んでいたか、何回飛行機に
乗ったかなどで、ごくごくごくごくごくわずかではありますが、みなさんが
持っている時計の時間と、実家の時計とのズレが生じていきます。

もっと言えば、このズレは、みなさんの体重の増減や、早足で歩くなど、
あらゆることで起きるんです。例えば、みなさんが朝、いつもより勢いよく
ベッドから起き上がった、靴を軽いスニーカーから重いブーツに変えた、
宴会で食べ過ぎた、ゴルフをやってカートに乗らなかったなどなど・・・

さてさて、この固有時の影響は、原子時計であっても逃れることはできません。
もしみなさんの固有時を計る絶対正確な時計があったとしたら、
(一般的な時計では誤差のほうがはるかに大きい)そこには、
みなさんの生きてきた歴史が、時間という情報に変換されて記録されることに
なります。まさに時間はそのまま人生なんですね。では、今回はこのへんで。



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