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「輪廻転生」って何?

2019.07.10 (Wed)
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今回はこういうお題できます。カテゴリはオカルト論かな。
みなさんは、輪廻転生、もっと簡単にいえば「生まれ変わり」ということが
あると思われますか? 普段から意識されているという人は
あまりいないんじゃないかと思います。かといって、
天国(極楽)や地獄を頭から信じる人も日本人には少ないでしょう。

アンケートを取れば、おそらく「わからない」が第一位になると思いますし、
「死後の世界なんてない」という回答もけっこうあるんじゃないかな。
最近はスピリチュアルブームと言われ、輪廻の話もあちこちで聞かれるようには
なりましたが、まだまだ日本人には身近な概念ではないと思います。
(日本では、仏教と儒教からきた祖霊信仰が多数派)

ガンジス川での沐浴 現地人は口をゆすいだりしていますが、日本人がやると感染症で死ぬ可能性があります


さて、では、この輪廻転生の概念のルーツはいったいどこにあるんでしょうか。
これは大きく、古代ギリシア哲学由来のものと、古代インド宗教に始まった
ものの2つがあると考えられています。プラトンはたしか輪廻を
説いてましたよね。それ以外にも、輪廻転生の思想は世界の各地に見られますが、
本項では、そのうちのインド宗教系の話をしていきます。

前15世紀ころ、古代アーリア人がインドに侵入し、先住民を駆逐して
定住生活を始めました。その自然神信仰から、ヴェーダという口承の聖典が
生まれ、多神教であるバラモン教が形成されていきます。バラモン教は、
現在のヒンドゥー教の前身と考えてまず問題ないでしょう。

カースト(ヴァルナ)制度
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最初のころの輪廻思想は、たいへん素朴な発想から生まれたものです。
死んだ人間は月に向かい、雨となって地に戻り、植物に吸収されて穀類となり、
それを食べた男の精子となって、女の胎内に注ぎ込まれて胎児となり、
そして再び誕生する・・・という食物連鎖のような考え方だったんですが、

それに「因果」という概念が加わって、だんだん複雑化していきます。
人が悪い行い、あるいは善い行いをすると転生に影響を与えてしまう。
悪い行いをした者は、苦しみの多い来世に生まれる。
善いことをした者はその逆です。この行いのことを「業(カルマ)」と言います。
そうしてカースト制度ができあがっていくんです。

カーストはご存知だと思いますが、いちおう説明すると、バラモン(司祭)が
最上位で、クシャトリヤ(王族)、ヴァイシャ(庶民)、シュードラ(奴隷)の四姓制です。
これらのカーストは階級ごとに細分化され、また、カーストに収まらない
人々は最下層のパンチャマ(不可触賤民)とされました。ですから、
輪廻思想は、階級制度を肯定するためのものとしても使われたわけです。

多神教であるバラモン教と現在のヒンドゥー教
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因果や業を認めると、「現世の苦しみは前世での悪行によるものであり、
どうやっても逃れることができない」ということになりますよね。
ですから、バラモン教のウパニシャッド哲学では、輪廻転生はだんだんに
よくないもの、苦しみを生み出すものと考えられるようになっていきます。

この果てしなく続く輪廻転生の鎖から開放されることが「解脱」です。
解脱するためには、宇宙の真理との一体化が必要です。
宇宙の根本真理である「梵(ブラフマン)」と、個人の本質である
「我(アートマン)」は同一であると悟ることにより、解脱への道が開けます。
このことを「梵我一如 ぼんがいちにょ」といいます。

このあたりの考え方が出てきたのが、前10世紀以後のことですね。
では、具体的にどうすれば解脱することができるのか。これにはさまざまな
方法論が唱えられました。ある者は苦行を行って解脱しようとし、
またある者は、執着を捨てるために野に出て世捨て人になりました。
また、因果を否定する唯物論や虚無論も登場します。

ジャイナ教の始祖 マハーヴィーラ
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解脱する方法を中心にできあがったのが、マハーヴィーラが前6世紀ころに
始めたジャイナ教です。輪廻転生は「業物質」が引き起こすものであり、
それを排除するには、「殺生をしない、嘘をつかない、他人の物を取らない、
性行為をしない、私有財産を持たない」等の戒律を実践する厳しい教えで、
この考え方は、後の仏教にも大きな影響を与えています。

お釈迦様が始めた本来の仏教は、輪廻転生にはほとんど言及していません。
どちらかというと、この世で心穏やかに過ごすための生活哲学のようなもの
でした。「この世のすべてのことは他との関係によって存在している」
これを「縁起」といい、「絶対的な存在はない(無常)」と説かれます。
この真理を悟ることで「静かな安らぎの境地(涅槃)」が得られるわけです。

仏教を創始したゴータマ・シッダールタ(釈尊)
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・・・ここまで、この退屈な内容をどれくらいの方が読んでくださったでしょうか。
では、輪廻転生って本当にあるんでしょうか。オカルトではよく、
「自分の前世を思い出した子ども」みたいな話が出てきますが、
きちんと調べてみると、はっきりした証拠が得られないものばかりです。
まあ、これについては、また詳しく書く機会もあるでしょう。

さて、輪廻転生が成り立つ大前提として、肉体とは別の「霊魂」という
存在を肯定する必要があります。現代の遺伝子生物学では、
人間は(その他の生物も)遺伝子を運ぶ船に例えられます。
親から子に、子から孫に、先祖代々遺伝子が伝えられていく。
その遺伝子は、他人とはほんの少しですが異なっていて、

無神論者、反宗教主義者であるドーキンスの著書
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そのため、われわれ一人ひとりは顔形や気質、能力などの違いがあります。
魂などというものはなく、人間の意識は脳がつくり出したものであり、
肉体の死とともに消え去ってしまう。ですから、当然輪廻転生などもありえない。
そう考える人も大勢います。ちなみに、現代の遺伝子生物学の第一人者であり
「ミーム」の概念を提唱したリチャード・ドーキンスは、
徹底した無神論者として知られていますね。

さてさて、ということで、輪廻転生という考え方がどうやって生まれたのか、
インド宗教の面から見てきました。輪廻転生は実際にあるのか?
それは霊魂の存在を肯定するかどうかによるんですが、あるといえる
決定的な証拠はなく、結局は個人の考え方になってしまうんですね。
みなさんはどう思われますでしょうか。では、今回はこのへんで。

関連記事 『神と死後の世界アンケート』 『舟としての私』

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