FC2ブログ

ロックと小惑星衝突

2019.07.11 (Thu)
映画『アルマゲドン』が現実にならないために。イギリスが生んだ
ロックバンドのクイーン。彼らと宇宙には、とある繋がりがあるんです。
それは、ギタリストのブライアン・メイが宇宙工学博士だということ。
彼はバンド活動のために研究を一時ストップしていましたが、

2007年に研究を再開、論文を書いて博士号を取得している、
ロック界でも珍しい学者肌の人物なのです。そのブライアン・メイが、
二重小惑星ディディモスの地球に追突する可能性と危険性、
さらには人工衛星をぶつけて、その衝突を回避しようという
試みについて語っています。
(GIZMODO)

xxxx (2)

今回は科学ニュースからこの話題でいきます。クイーンといえば、
昨年、イギリスアメリカ合作映画の『ボヘミアン・ラプソディ』が公開され、
再評価の機運が高まっているところです。ハードロック全盛の時代にあって、
メロディラインとコーラスを重視した彼らの楽曲は異色でしたね。

この映画の表題になっている「ボヘミアン・ラプソディ」の曲も、
登場時には驚きを持って迎えられました。まあ、バンドのボーカルで、
エイズで亡くなったフレディー・マーキュリーの歌唱力は突出してましたので、
こういう曲こそが、彼らにとって本領を発揮できるものだったと思います。
今回登場しているギタリストのブライアン・メイは、

乾燥した暖炉の木材を用いた完全自作のギターを使用し、ピックの代わりに
コインを使って弾いていることで知られていますが、幼いころから宇宙観測が
好きで、天体物理学の博士号を取得しています。今年の元旦、
惑星探査機をテーマとした20年ぶりのソロ曲「New Horizons」を、
NASAの管制室からリリースしました。

ブライアン・メイ 歳とったなあという感じですね
xxxx (3)

さて、今回彼が言及しているのは「ディディモス」という小惑星についてで、
「二重小惑星」と言われます。発見されたのは、たしか1996年だったか。
全長が750mほどなんですが、2003年になって、周回する170mほどの
月を持っていることが判明しました。ディディモスは、ギリシア語で双子。
月のほうは、正式名ではありませんが「ディディムーン」と呼ばれます。

メイの言葉を借りると、「ディディモスは山ほどの大きさの天体で、
さらにギザのピラミッド大の巨岩がその周囲を回転しているようなものだ」
となります。ちなみに、小惑星が衛星を持っているのは珍しいことではなく、
約200個の小惑星に衛星が発見されていて、望遠鏡で見えないものを
含めれば、もっと多いと考えられます。

さて、当ブログでは前にも、「天体衝突の恐怖」という記事を書いていますが、
ディディモスも、潜在的に地球に衝突する危険性を持った小惑星の一つで、
他にもいくつかが知られています。ただ、衝突する確率はどれも低く、
数十年のスパンで0.1%以下のものが大部分です。

ですが、もし衝突が起きれば大惨事になるのは間違いなく、
世界的に対策が研究されています。2013年にロシアのチェリャビンスクに
落ちた十数mの隕石でもケガ人が出ていますし、過去には、
1908年に起きたツングースカ大爆発、地上には落ちず空中爆発した
ようですが、その大きさは直径70m程度と推定されています。

チェリャビンスクの大隕石
xxxx (4)

また、恐竜を絶滅に追い込んだとされる約6600万年前の小惑星衝突では、
ユカタン半島に落ちたのは何桁も大きい、直径10~15kmほどの
ものだったようです。ですから、わずかな可能性であっても、世界が協力して
小惑星を監視するのは、人類の未来のためにきわめて大切なことです。

小惑星がもし計算上、地球に接近する軌道を持っていることが判明した場合、
できるだけ早い段階、小惑星が遠くにあるうちに対処できれば、それにこした
ことはありません。この意味はおわかりでしょう。遠くのものの軌道を少し
変えることで、地球に近づくまでにそのズレが大きくなっているからです。
これはみなさんが長い定規などで線を引くのとまあ同じです。

ユカタン半島の大クレーター
xxxx (1)

小惑星の軌道をずらすミッションは「Asteroid Impact and Deflection
Assessment(AIDA)」と呼ばれていて、具体的には、重量のある人工衛星を
ぶつけることで物理的に小惑星を動かします。なんだそんなもの、核攻撃で
破壊してしまえばいいと思われるかもしれませんが、そうすると、
小惑星は爆発しても、核汚染物質が固まったまま地球に接近することになります。

それはうまくないんです。また、宇宙空間は真空ですので、当然ながら
風が起きるということはなく、爆風で吹き飛ばすことはできません。
あと、真空中では離れていると熱も伝わりませんよね。
ですから、単純な玉突き攻撃が手段として考えられているわけです。

ディディモスとDART計画のイメージ
xxxx (1)

アメリカNASAが推進しているのは「Double Asteroid Redirection Test(DART)」
という計画で、2021年6月に探査衛星打ち上げ、2022年10月に目標の
ディディモスに到達。小さな月のほうを、相対速度秒速6kmで直撃する
予定になっています。この瞬間は小型の探査機によって撮影され、
衝突で軌道が変化したかは、地球上の望遠鏡から観測できると考えられています。

さて、現在、日本の探査衛星「はやぶさ2」が小惑星リュウグウに到達し、
無事に着陸に成功、そのときにできた人工クレーターも確認されました。
はやぶさ2はこの後、飛び散った周辺の土壌を採取して帰還する計画になっています。
はやぶさ2の重量は小さいですので、この着陸がリュウグウの軌道に
与える影響はほとんどないと考えられています。

「はやぶさ2」
xxxx (2)

で、このはやぶさ2のミッションも、これまで書いてきた
地球への小惑星衝突を回避するための世界的な計画の一部なんですね。
あまりニュース等では報道されませんが、はやぶさ2の運用計画については、
アメリカ、ヨーロッパとの情報共有がなされ、地球防衛軍(笑)のための
役割の一端を担っているんです。

さてさて、ということで、引用記事は、ブライアン・メイがこのあたりのことを
メディアに語ったというものなんでしょう。もしディディモスの月のほうが
地球に落ちた場合、大気摩擦で燃えてだいぶ小さくはなるでしょうが、
被害は小さくはないでしょうし、二重小惑星がまるごと落ちてきた場合、
地球規模の大災害になります。

まあ、それで人類滅亡とまではいかなくても、かなりの被害が予想され、
今から世界が協力して対策をたてておくことは重要です。
このディディモスのように危険視されている小惑星は、上で書いたように
まだ他にもいくつもあるんです。では、今回はこのへんで。

関連記事 『天体衝突の恐怖』  『ベンヌとニビル』



関連記事
スポンサーサイト




トラックバックURL
http://scoby.blog.fc2.com/tb.php/2061-ca14ed36
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する