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アストロバイオロジーて何?

2019.07.29 (Mon)
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今回はこういうお題でいきます。当ブログでたびたびお伝えしている
宇宙の話の一環です。「アストロバイオロジー Astrobiology」の定義は、
まだはっきりしたものはないんですが、「地球に限らず、広く宇宙全体での
生命体について考察し、生物生存の実態や生物現象のより普遍的な仕組み、
生命の起源などを明らかにしようとする学問」

こんな感じで説明されることが多いですね。ここで、何を気取って
横文字言葉にしてるんだよ、「宇宙生物学」と言えばいいじゃないか、
こういう意見が聞こえてきそうですが、これには理由があるんです。
日本では、1970年代ころから宇宙生物学という言葉はありました。

ですが、これは地球の生物、小さなものではバクテリアやウイルス、
大きなものではチンパンジーなどを宇宙空間に持ち出した場合、
どのようなふるまいをするかについて研究する学問分野をそう呼んで
たんです。ですが、アストロバイオジーはもっと幅広い概念ですので、
混同をさけるために、あえて横文字言葉を使う場合が多いんですね。

ソ連の宇宙犬ライカ 始めから帰還は考えられていませんでした
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さて、世界でアストロバイオロジーという考え方が出てきたのは、
そう古い話ではありません。1990年代の半ばころのことです。
この時期に、宇宙に関しての大きな出来事が2つあったんです。
一つは、これはご存知の方も多いと思いますが、1996年、
アメリカのNASAが、火星由来の生命痕跡を発見したと発表したことです。

南極大陸で採取された火星起源の隕石の破片の内部から、
細菌のような生命体の化石らしきものが確認され、地球外生命の痕跡では
ないかとされました。下の画像がそれですが、たしかに、線虫などのように
見えないことはありません。この隕石は、正式名ではないですが、
南極の地名をとって「アランヒルズ隕石」と呼ばれることが多いですね。

アランヒルズ隕石の生物のように見える構造
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この隕石は、NASAによれば、約36億年前に火星で溶岩から生成された岩石で、
1300万~1600万年前に小惑星が火星に衝突した際、
破片として宇宙空間に飛散。そして1000万年以上にわたって宇宙空間を
漂流した後、約1万3000年前に地球に落下したと推定されています。

年代は放射年代測定を用いて推定され、また、どうして火星から来たと言えるかは、
隕石内部のガス成分の分析によるようです。でもこれ、発表の直後から
世界で異論が噴出しました。まず、確実に生命体由来のものであるという
証拠がありません。内部構造はなく、ただ、形が似ているだけなんです。



激しい議論の応酬が続きましたが、後に、隕石が気圏に突入した際に
生じる衝撃波によっても、このような形の金属構造が
できることがわかり、いまだ結論は出ていないものの、
生命体ではないという方向に形勢は傾きつつあるようです。ただ、
この出来事によって宇宙生命体の存在についての期待感は高まりました。

さて、もう一つは、1995年に初めて太陽系外惑星が発見されたことです。
これってけっこう意外に思いませんか。地球は太陽系の惑星の一つです。
太陽系には他にも、水星、金星、火星・・・と8個の惑星があります。
ですから、宇宙にはたくさんの惑星があるだろうと考えるのは自然ですよね。

恒星ー惑星ー衛星
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みなさんが目にする夜空の星は恒星です。自分自身が光を出して輝いている。
ところが、惑星の場合、自身の光はないわけですら、
それまでの天文観測技術では見ることができなかったんです。
1995年になって、やっとジュネーブ天文台が初めての太陽系外惑星を発見。

その後、分光法などの発達で、2019年7月現在、4096個の太陽系外惑星が
確認されています。恒星は燃えているわけですから、生命がいるとは考えにくい。
(まあ、プラズマ生命体などもあるのかもしれませんが)
それに対し、惑星は冷えていて、大気や水があるものも多いでしょう。ですから、
このことも宇宙の生命について考える機運が高まる契機となったんです。

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ちなみに、太陽系外衛星は、候補はあるもののまだ未発見です。
この2つのことから、NASAは宇宙探査に生命の存在を関連させて進める方針を
確立し、その基礎となる学問としてアストロバイオロジーができたんですね。
この分野での日本の対応は遅れていましたが、

2015年、東京都三鷹市の国立天文台内に、「自然科学研究機構
アストロバイオロジーセンター」が開設されました。また、小惑星探査機
「はやぶさ」 「はやぶさ2」の試みも、小惑星から物質を地球に
持ち帰り、生命由来のものを探すという目的もあるんです。

さてさて、ここまでアストロバイオロジーがどうやって始まったかについて
説明してきましたが、これはきわめて学際的な分野です。天文学、
生物学だけでなく、地学、惑星、海洋、化学、情報科学など、
さまざまな分野の研究者の協力が必要です。その理由はおわかりですよね。

熱水噴出孔の生物群


宇宙では、必ずしも地球のような環境の星だけに生命体がいるとは
かぎらないからです。地球内でも、深海底の熱水噴出孔からは、
嫌気性、耐熱性、硫化水素を代謝に用いる生物が発見されています。
広い宇宙には、われわれの想像もつかないような形の
生命が存在しないとはかぎりません。

あ、もうこんなに長くなってしまいました。ほんとうはアストロバイオロジーの
目的や、当面の研究課題についても書くつもりでしたが、
それはまた次の機会にゆずることにします。まあ、なんにしても
夢のある話ですので、進展を期待しましょう。では、今回はこのへんで。

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