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ゴリラの死生観は

2019.08.16 (Fri)
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独特なフォームの手話を習得したゴリラとして有名になり、
ロビン・ウィリアムズやレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリー
などのセレブが会いに来ることでも知られていたココが死亡した。
ニシローランドゴリラのココが,米国時間6月19日に46歳で
永眠したと、ゴリラ財団が公表した。

同財団の声明にはこのように記されている。「ココは全ゴリラの親善大使として、
異種間の交流と共感の象徴として、何百万という人間の心に感動を与えました。
彼女は生涯愛され、今後も人々の記憶に残るでしょう」
(朝日新聞デジタル)

今回はこのお題でいきます。アメリカで、いや、もしかしたら世界で
最も有名な雌のゴリラ、ココが亡くなったというニュースですね。
46歳ということです。眠ったまま亡くなったとニュースにはありますが、
死因は書かれていません。老衰なんでしょうか。

ニシローランドゴリラの寿命は野生では30~40歳、
飼育下では50歳前後だと考えられているので、
まあ、大往生ということなのかもしれません。このゴリラのココがなんで
有名になったかというと、手話を覚えて人間と意思の疎通ができたからです。

生後3ヶ月で病気にかかっているとき、ココは発達心理学の研究者の
フランシーヌ・パターソン博士と出会い、手話を教わることになります。
2012年の時点で、使うことの出来る手話は2000語以上になり、
嘘やジョークを言う事もあったとされます。

ココとパターソン博士


これは有名になりますよね。金髪の女性学者とゴリラのツーショットは
絵になりますから。ココは数の概念を理解していたともされ、
虫歯になったときに、痛みの強さを1から10までの数字でどのくらい?
と聞かれると、9から10と答えたとも言われます。

ただ、これらの報告には批判もあります。ココが用いていた手話は、
アメリカの障害者が使用している体系的なものではなく、
パターソン博士との間でしか通じない独自のものが多いんですね。
ですから、ココが言ったとされる内容の中には、
パターソン博士による恣意的な解釈が含まれている可能性があります。
その点についてはご注意ください。

さて、では、ココのエピソードをもとに「動物はどのような死生観を持っているのか」
について考えていきたいと思います。1983年のクリスマス、
パターソン博士がココに、猫が出てくる絵本を読み聞かせていると、
ココは手話で、猫がほしいと博士に訴えました。

そこで最初、ぬいぐるみのネコを与えたが、ココは気に入らず、
手話でくり返し「悲しい」と訴えました。そこで、その年のココの誕生日に、
小さな子猫たちを連れてきて、ココに一匹選ばせました。
ココは灰色と白の混ざった子猫を選び、その猫は「ポール」と名づけられました。
ココはまるで自分の子どものようにボールをかわいがって世話をし、
赤ちゃんを抱くように連れて歩き、一時期、授乳しようとさえしました。

ココとポール


ところが、残念なことにポールは、研究所の外で、車に轢かれて死んで
しまったんですね。研究者たちは、そのことをココに手話で伝えました。すると、
ココは悲しそうになにかを訴えるような鳴き声をあげ始め、それは、
ゴリラが嫌なことがあったときの声でした。それを聞いたパターソン博士ら
研究者もココといっしょに泣いたそうです。

ここまでのところ、ココは「死」といことについて理解しているように見えます。
では、他の研究ではどうでしょうか。チンパンジーについては、
さまざまな事例が残っています。例えば、イギリスの霊長類学者、
ジェーン・グドールの研究では、母親を亡くしたオスのチンパンジーが、
悲しみのあまり、じょじょに鬱状態になって食事をとらなくなり、

やがて衰弱して死んでいく様子が克明に記録されています。
ただ、これだけだと、残された子どものチンパンジーが悲しんでいるのは、
「母親がいなくなった」からで、必ずしも「死」というものを
理解しているとまでは言えないような気がします。

また、英オックスフォード大学のドラ・ビロ率いる研究チームが、
アフリカのギニア・ボッソウ周辺の森林にあるチンパンジーコミュニティーで
行ったも研究では、子どものチンパンジーが死亡した場合、
母親のチンパンジーは、遺体を数週間から数か月にわたって持ち運びました。

ミイラ化した子どもを背中に乗せて運ぶチンパンジー


持ち運んでいる間に遺体はミイラ化してしまいますが、
母親は強烈な腐敗臭にもめげず、まるで遺体が生きているかのようにあつかい、
どこへ行くにも持ち運んでいたが、やがて、母親は徐々に遺体を手放すようになり、
他のチンパンジーが遺体をさわることを許すようになったそうです。

うーん、この例でも、どこまで「死」が意識されてるのかはわかりにくいですね。
ココの話にもどって、パターソン博士がココに、手話で「ゴリラはいつ死ぬのか?」
と聞いたところ、「年をとり 病気で」と答え、
「そのとき何を感じるのか?」という質問には、「眠る」とだけ答えたそうです。

また、「死んだゴリラはどこへ行くのか」と聞くと、
「苦痛のない 穴に さようなら (comfortable hole bye)」と答えました。
別の機会に「何がココを不安にさせるの?」と聞くと、
「埋める 穴 (stop hole)」と答えたこともあるそうです。

さてさて、これが本当だとしたら、ココは「死」を理解しているように思えます。
ココはテレビを見ていましたので、「死」が「穴」と結びついているのは、
埋葬の場面を見たことがあるのかもしれません。今ごろは、
心配や苦しみのない穴の中で安らかに過ごしているでしょうか。

ゴリラやチンパンジーは、人間と違って宗教を持たないでしょうから、
神、来世、天国、輪廻などの概念がなく、死というものをシンプルに捉えて
いるように思えます。もしかしたら、まだ宗教が発生していないころの人類も、
そんな感じだったのかもしれませんね。では、今回はこのへんで。





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