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オオカミのオカルト

2019.09.09 (Mon)
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ニホンオオカミの剥製 体長は1m前後で中型の日本犬程度 大きな動物ではありません

明治時代に絶滅したニホンオオカミとみられる頭骨が、徳島市国府町の
民家で見つかった。リフォーム工事に携わっていた石井町石井、
大工髙木望さん(68)が神棚の奥にしまわれていた頭骨を見つけ、
家主の承諾を得て県立博物館に持ち込んだところ、

「ニホンオオカミである可能性が極めて高い」との鑑定結果が出た。
ニホンオオカミの頭骨は希少性が高く、家主は頭骨を寄託するとしている。

(徳島新聞)

今回発見されたニホンオオカミの頭骨
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今回はこういうお題でいきます。なるほど、徳島ですか。
納得できる点が多々あります。さて、オオカミのオカルトというと
まず出てくるのが、西洋で信じられていた狼男でしょう。
これについては以前に取りあげているので、今回はくわしくはふれません。
主に日本の事例について書いていきたいと思います。

意外な事実としては、狼男伝説はもともとあったんですが、
現在、ホラー小説にみられるような形は、キリスト教由来で始まってるんです。
中世ヨーロッパで、墓荒らしや魔術の使用など、特に神が赦さざる
犯したものは、「狼」と呼ばれて共同体から追放される罰を受けました。

フランスの事例ですが、当時のカトリック教会から3回目の勧告を
受けた者は「狼」と認定され、罰として7年~9年間、月明かりの夜に、
狼のような耳をつけて毛皮をまとい、吠え声を上げながら
野原でさまよわなければならないという掟があり、これがもとになって、
満月の夜に変身するなどの伝説ができあがっていったんです。

西洋の狼男のイメージ
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関連記事 『月とオカルト』

さて、日本のオオカミについてですが、すでに絶滅してしまっているため
生物学的な調査が難しいものの、最近では、犬はオオカミから派生した
一亜種と考えられることが多くなっています。
遺伝子DNAにも多くの共通点があるんですね。

日本には、北海道に住むエゾオオカミと本土のニホンオオカミがいましたが、
これは別亜種として区別されているようです。エゾオオカミは大陸系で
大型。生態も異なっていて、エゾオオカミは大きな群れをつくりましたが、
ニホンオオカミは数頭の仲間で狩りをしていました。
獲物は鹿が多かったようです。

また、オオカミとは別に「ヤマイヌ」というのが多くの古文献に出てきていて、
オオカミと同種であるとか、ヤマイヌは野生化した犬であるとする説もあって
混乱しています。現在は同種であるとする意見が強いようですが、
これは地域によっても違うんじゃないかと自分は思います。

日本神話に登場する、大和武尊の道案内をした白い狼
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さて、オオカミは日本に古くから住んでいました。で、神の使い、
眷属であるとして神聖視されることが多かったんです。この理由は、
オオカミが主に肉食であることからきていると思われます。
畑を荒らさないんですね。むしろ、害獣である鹿や狐などを
積極的に捕食してくれる、人間にとって役に立つ存在だったわけです。

ただ、中にはオオカミに人間が襲われるといった事例もありました。
神としての狼は「真神(まがみ)」、または「大口真神(おおくちのまがみ)」
などと呼ばれました。真神という名がついた理由は、奈良県の飛鳥に
真神原という地があり、そこに棲む老狼が多くの人間を襲ったので
畏れられ、神格化されたという話があります。

たくさんの人を食った大口真神
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真神は古来、猪や鹿から作物を守護するものとされ、人語を理解し、
人間の性質を見分ける力を持っていて、善人を守護し、悪人を罰するものと
して信仰されたようです。また、厄除け、特に火難や盗難から守る力が
強いといわれ、絵馬などにも描かれてきました。

さて、引用ニュースに戻って、頭骨は木箱に収められた状態で見つかり、
箱のふたの外側を紫外線カメラで見ると「狼頭入」と書かれていた
ということです。徳島県は古来から犬神信仰の強いところで、
このオオカミの頭骨も魔除け、害獣除けとして使われていたんでしょう。

オオカミの頭骨は軒から吊るされることもあり、これは主に
魔除けのまじないです。江戸末期の19世紀、コレラなど疫病の流行で、
感染を避けるためにはオオカミの頭骨がよいとされ、
また、狐憑きの治療にも使用されて、乱獲されたのが絶滅の原因の
一つになりました。オオカミの遺骸は高値で取り引きされたようです。

四国、山犬ケ嶽にあるニホンオオカミ像
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ニホンオオカミの絶滅は明治30年代、原因は、いろいろな要素が複合して
いるようですが、最も大きいのは、明治になって西洋犬が導入され、
狂犬病やジステンバーが大流行したためです。また、人為的な駆除も
ありました。まあ、当時は種の保存・保護などという概念はなく、
これはしかたのない面があったと思います。

ニホンオオカミの目撃例は現代でもありますが、どれも確証に
乏しいものです。1996年にニホンオオカミに酷似した動物が
撮影されましたが、専門家の意見は分かれました。
自分としては、もしオオカミが生き残っているのなら、ある程度の
群れがあるはずで、生存説は厳しいんじゃないかと思いますね。

さて、オオカミを眷属としているのは、埼玉県秩父市三峰にある
三峯神社で、狛犬のかわりに神社各所に狼の像がたてられていますす。
毎月17日に、お炊き上げというオオカミにご飯を供える神事が行われ、
一升の米を人の手がふれないように御櫃に入れ、
奥の院の少し下がった谷にお供えします。

三峯神社の狛狼
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祝詞を唱えながらこれを行うのは宮司だけで、誰にも姿を見られては
いけないとされます。そのときに回収する前月のお櫃に、
噛み跡が残っているなどとも言われますが、真偽はわかりません。
この神事は300年の間 続いているそうです。

さてさて、ということで、オオカミのオカルトを見てきました。
そういえば、ニホンオオカミ復活計画として、シベリアオオカミの
日本導入が計画されたこともありました。オオカミが絶滅したことで、
天敵がいなくなった鹿や猪、猿の数が増え、被害をもたらして
いるんですね。では、今回はこのへんで。

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コメント
こんにちは。

群馬県にオオカミ伝承は無いような気がしますが、埼玉県には各地に伝承がありますね。狛犬もオオカミであるケースも多い。実際の動物オオカミと関係するのか不明ですが、ヤマトタケル伝承と関係するのかも知れないですね。どこかで書いたような気もしますが、山師(鉱山師)の象徴なのかとも思います。
形名 | 2019.09.10 10:46 | 編集
コメントありがとうございます
オオカミの伝承は、マタギのような猟師集団の存在とも
関係がありそうな気がしてましたが
鉱山関係というのは考えつきませんでした
bigbossman | 2019.09.10 16:38 | 編集
こんにちは。
古代、鉱山師は「犬」と呼ばれていたようです。「犬」は 山犬=オオカミだと思います。犬自体がオオカミを飼い慣らしてイエイヌとしたのものですね。犬、山犬と呼ばれた理由は彼らが深い山の中で生活していたからでしょうが、ある種の畏れを含む蔑称なのではないかと思います。秩父ではオオカミ伝承は各地にありますが、鉱山師(銅鉱石探索)の存在と関連があると思ってます。秩父三峰神社の「ヤマトタケルが東国に出征の折に雁坂峠で道に迷ったが、山犬が現れて道案内をした」という伝承は有名ですね。おそらく、彼らが山に精通し、鉱山開発や東山道の整備に関わった事が、伝承の起源ではないかと。
形名 | 2019.09.11 14:51 | 編集
コメントありがとうございます
これはまったく知りませんでした
ヤマイヌにそういういわれがあったとはねえ
なかなか深い話だと思います
bigbossman | 2019.09.11 23:54 | 編集
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