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空中浮遊族の話

2019.09.12 (Thu)
※ やや毛色の変わった話です。

ファッション雑誌の編集をやっている塔島洋子と申します。
よろしくお願いします。お話するのは、現在、私の身に起きていることです。
・・・夢、まあ全体として夢の話なんですけど、ただの夢ではないと思うんです。
その証拠に、いろいろおかしなことが現実に身の回りに起きています。
仕事で知り合った霊能者の方にご相談したら、こちらを紹介されました。
そういう不思議なことを専門にする方々が そろっておられるということで、
命の危険があるかもしれないし、ぜひ、どういうことなのか聞いてこいと。
はい、順を追って話していきます。最初は、3週間前の金曜日でした。
その日、編集部に残って一人で仕事してたんです。翌日がお休み
でしたので、朝までかけて記事をまとめ、始発で帰る予定でした。
ええ、雑誌の編集では、そういったことは珍しくありません。

そのビル全体が出版社の所有で、いろんな編集部が入ってて、
どこかしらは校了のために徹夜で仕事してるんです。
ですから、女一人で残ってても、別に問題はありませんでした。
自分のデスクでマックを使ってました。それで午前3時頃でしたか。
さすがに眠くなってきたので、立ち上がってコーヒーメーカーのほうへ
行きました。そのとき何気なく窓を見たら、外に男の人が
立ってたんです。ありえないですよね。私の編集部は9階にあるんです。
そこは大きな強化ガラスで、人の全身がはいります。
男の人は20代後半から30歳くらい。黒っぽいスーツを着てました。
いえ、そのときははっきりは見えなかったので、これは後でわかった
ことです。その人は顔をガラスに近づけ、こぶしでガラスを叩いてました。

といっても、ガラスは厚いので音は聞こえません。私は驚き、
体が固まって動けませんでした。するとその人は、私のほうに目を向けたまま、
指でガラスに何か書いたんです。同じ場所を何度も何度もなぞり、
それからガクンと後ろにのけぞって、視界から消えたんです。
「あっ、落ちた!」と思いました。そのとき、私のアゴが何か固いものに当たり、
われに返ると、自分のデスクにいてノートパソコンの角にぶつけてたんです。
・・・居眠りをしてた、そう思いますよね。反射的に見た窓にはもちろん人の姿はなし。
夢、夢を見ていた。ただ、コーヒーメーカーのスイッチが入ってたんです。
私が入れて、デスクに戻って眠ってしまった。それしか考えられないんですが・・・
窓に近づいてみましたが、外には人が立てるような足がかりはありません。
ただ、さっき男の人が何かを指で書いてたあたりに跡が残ってるようにも

思えました。ゆがんだ星型のような。そのときはそれで終わったんです。
次が起きたのが2週間後です。私は自分の部屋にいて、
部屋は賃貸マンションの7階です。11時過ぎに仕事から戻り、
シャワーを浴びて少しお酒を飲み、ベッドに入ったのは1時過ぎくらいでしたか。
私にしては早い時間です。それで、夢を見たんです。夜空を浮遊する夢。
飛んでいるというのとは違うんです。頭を上にして、でも足は動かしてないのに
かなりの速さで進んでいく。高さは、そうですね、ほとんどのビルが
下に見えたので、100m以上かもしれません。上を見上げても、その日は
曇っていて星は見えませんでした。いえ、気分がいいものではなかったです。
何か落ち着かないような、自分が仕事をやり残してるような感じがして、
あせっていたような気がします。どこへ向かうともわからないまま、

しばらくそうやって浮遊していくと、前に男の人がいたんです。はい、その人も
浮遊してるんです。それで、以前 編集部で見た夢のことを思い出しました。
よく似てる気がしたんです。少し怖くなって、宙にとどまると、
男の人のほうから私に近づいてきて、「やあどうも、同族の塔崎と言います。
 どうやら素質が目覚めたようですね」こう言ったんです。
意味がわからないでいると、その人は私の姿をジロジロ見て、
「そのスーツ、もっと黒いほうがいいなあ。次のお給料で買いましょうよ」って。
そのとき私は、自分が仕事用のグレーのスーツを着ているのに気がつきました。
男の人は私の横に立って腕をつかむと、「集会があります。急ぎましょう」
そう言った途端、一気に急上昇しました。高さは、そうですね、
遠くにスカイツリーの上部が見えたので600m?

それくらいまで上がると、今度は水平にぐんぐんスピードをあげ、
東京湾の上に出たんです。めくるめくような速さでした。月が雲間から出て
明るく、海の波は穏やかで、たくさん・・・30人くらいでしょうか。私たちと同じ
高さで浮遊している人たちが見えてきました。男も女もいましたが、
年齢はみな私と同じ20代後半くらいでした。夢、なんでしょうが・・・
すごいリアルだったんです。海には船が行ききしており、その明かりで海面が
光っているのまでわかりました。近づいていくと、その人たちは
大きな輪をつくっていて、中心に年配者らしい男性がいました。
らしい、というのは、その人だけ、黒いローブに黒い頭巾のようなのを
かぶっていたからです。ローブの上からでも恰幅のいいのがわかりました。
私たちは輪の中に加わり、男の人、塔崎さんが中央の人に、

「遅くなりましたが、新人を連れてまいりました。第17家系の次女、
 塔島洋子です。東京に出てきて編集者になっていることが判明しまして」
頭巾の人は鷹揚にうなずき、「そうか、お前がいろいろ教えてやれ。
 もう朝まで時間がないぞ、さっそくみな とりに行け、散れ!」
朗々とした声でそう言い、みなが一斉に港へと向かって飛び去っていったんです。  
塔崎さんが、「さあ、急ぐよ。もう飛ぶことには慣れただろう」
私の手を離して飛び去っていったので、不安になった私は後を追いかけました。
立ったままの状態で飛ぶのは安定しないように思われるでしょうが、
じつは私、中学のときに陸上部で短距離走をやっていたんです。
足は動いてないですが、そのときのことを思い出しました。
といっても、中学生が走るのとは比べようがないスピードで、

あたりの景色がぐにゃんとゆがむんです。塔崎さんの背中を追いかけて
飛び続けていると、下に街が見えてきました。川崎大師がありましたので、
都内ではありません。だんだん高度が下がっていき、
塔崎さんは10階建ての団地の屋上に立っていました。
かなり大規模な団地で、同じ建物が20近くあったと思います。
「ここで待っていよう」 「何を待つんですか」 「夢を見ている人だよ」
「え?」 こう話してすぐ、塔崎さんはふわりと飛び降り、空中を飛んでいる
光るものを両手でつかまえて戻ってきたんです。バレーボールほどの
大きさで、小さな光るつぶがたくさん集まってできていました。
「それは?」 「だから夢を見ている人。その中でも、魂のほとんどが
 出てきている人だよ。最近は生霊と言うらしい」

「どうするんですか?」 「体内にとり込むのさ」塔崎さんはそう言って、
その光る球に口をつけてチュウチュウ吸い始めたんです。
あの、例えは変ですが、ヤシの実に穴を開けて中身を飲んでいる人の
ようで、すごくおいしそうな、恍惚とした表情をしていました。
それ見て、「ああ、いいな、私もほしい」と思ったんです。
球はだんだんに光を失い、大きさが小さくなっていってフッと消えました。
「ほしいかい、まだいくつもあるからとってきたら」
宙空を見ると、たしかに、うすい光りのもの、強く輝いているもの、
いくつか飛んでいるのがあったんです。それらの動きは遅く、簡単に
つかまえることができそうでした。でも、私が屋上から足を踏み出すと、
不意に姿勢が崩れ、ぐるんと足が上になって宙吊りになってしまったんです。

塔崎さんが急いで私に近づき、片足をつかんで、「今夜はここまでか。
 宗家にお目どおりがかなったし、急いでもしょうがない。
 初めてで体力が続かないだろう」塔崎さんは私の足を離し、
私は浮遊する力を失って、何度か回転しながら落ちていったんです。
ドスン、という衝撃があり、私は自分の部屋のベッドの上にいました。
夢・・・夢だと思うしかないんですが、トレーナーで寝たはずなのに、
仕事用のスーツを着てたんです。夢の中でのものと同じで、
あちこちしわになってました。電気をつけ、バタバタという音が聞こえたので、
リビングキッチンに出てみると、ベランダのサッシが大きく開いていて、
カーテンが風で揺れていたんです。・・・こんな話なんですけど、また次が
起きそうな気がするんです。それで、最初に話したように こちらに・・・
 

 


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