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血液のオカルト

2019.09.12 (Thu)
防衛医大などは大量出血した負傷者を救命する人工血液を開発した。
ウサギの実験で成功した。人工血液を素早く輸血できれば、
大けがによる死者を減らせるという。論文を米輸血学誌に発表した。

(朝日新聞)



今回はこういうお題でいきます。血液に含まれる、止血するための
血小板と体全体に酸素を運ぶ赤血球、この2つが出血で失われると
人間は死んでしまうわけですが、チームはどちらも人工的に合成しました。
リポソームという細胞膜成分で作った微小な袋に、止血成分と酸素を
運ぶ成分を詰め、人工血液にしているということです。

重篤な出血状態のウサギで試したところ、10羽中6羽が助かり、
本物の血液を輸血した場合と同程度だったということで、
実用性は高そうですが、今後の人間による治験がなかなか難し
そうですね。あと、特筆すべきなのは、血液型を問わずに
輸血できること。人工血液なので拒絶反応がないんでしょうね。

それから、常温で1年以上保存できるそうで、それだと救急車内に
大量にストックできそうです。ただまあ、これはあくまで緊急用で、
実際の血液を輸血するのにはかなわないんだろうと思います。
人工血液の開発の経緯は古く、1960年代から続けられていますが、
なかなか実用に足るものができなかったんです。続報に期待しましょう。

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さて、血液のオカルトとして最大のものは、やはり「血液型性格診断」
なんじゃないかと思います。これについては、以前くわしく書いたので、
今回は簡単にふれるだけにします。放送作家だった能見正比古氏が
1971年に出版した『血液型人間学』が大ベストセラーになり、
「A型の人は~」などと言われるようになったのは、それ以来ですね。

関連記事 『血液型占いってどうなの?』

そもそも、血液型はABO式だけではないのはご存知だと思います。
ABO式は、数ある血液型分類の一つに過ぎず、血液の中の抗原の種類は
数百あるので、その組み合わせによって、ほぼ無限に近い血液型タイプに
分けることができます。世界的にも、自分の血液型を気にするのは、
日本と、その影響を受けた韓国だけと言われてます。

なんで血液型性格診断が日本でウケるかというと、一つには、日本人の
血液型は、A、B、O、ABのそれぞれの人が一定数いるからですが、
世界はそうでもありません。ABO血液型は遺伝によるところが大きいので、
人口の95%がO型という、グアテマラのような国もあるんです。
まさか国民のほとんどが、同じような性格なわけはないですしねえ。

キリスト教の聖体拝受
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さて、ここからはオカルトに入っていきます。血液は世界の各宗教で
生命の象徴と見られてきました。まず、現在の神道では、
血は不浄のもの、穢れとして忌まれることが多いですが、
古代からそうだったかは、はっきりしません。

現在でも鹿の頭をお供えする神社もありますし、ごく古い時代の神道が
どんなものだったかはよくわからないんですが、自分としては、     
古神道の神々が獣肉を嫌っていたとは思えないんですよね。
殺生戒を持つ仏教が導入された影響なんじゃないでしょうか。

ユダヤ教では、動物の血を食することは律法で禁じられていました。
もちろん獣肉は食べましたが、その前に儀式を行って血抜きをしてたんです。
ところが、それから派生したキリスト教では、そこまで厳しい
制限はありません。まあ、もともとキリスト教は、こと細かな戒律に
縛られるユダヤ教への反発からできていったものですし。

アステカの生贄の儀式
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キリスト教の重要儀式である聖体拝受では、イエス・キリストの
血と肉に見立てたパンとぶどう酒を信者がいただくことになっています。
キリスト教圏の国でも、血のソーセージなどがふつうに食べられて
いますが、ただ、一部の宗派には輸血を拒否するものもあります。

あとはそうですね。日常的に生贄を捧げていたアステカでは、
人間の血と心臓は、太陽の運行と深い関わりがあるとされていました。
黒曜石製のナイフで生きたままの生贄から血と心臓を抜き取り
捧げないと、翌日から陽が登らないと考えられていたんです。
生贄は慢性的に不足し、確保のために戦争を起こすこともありました。

クリストファー・リーのドラキュラ
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さて、もっとオカルトらしい話にいきましょう。やはり吸血鬼が
登場しないと収まりが悪いですよね。吸血鬼伝説がどうやって
始まったかは諸説あるんですが、一つには、改葬のためなどで
掘り出された死体の一部に、腐敗や乾燥が
進んでいないものが見られたことです。

唇は赤く、頬は桃色で生きているように見える死体。まあ、埋葬時の
条件によってはそうなることもあるのかもしれません。それが、
夜になると墓場を這い出て、生命の根源である生き血を吸って
朝までは棺に戻ってくる。その証拠に、寝ている吸血鬼の心臓に
杭を打つと、真っ赤な血がほとばしり出るとされました。

生きているように見えるイタリアの少女のミイラ
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また、吸血鬼に生き血を吸われた人間も吸血鬼と化し、親玉の吸血鬼に
支配されます。これは昔は悪魔の力によるとされていたんですが、
最近のホラー映画だと印象が古臭くなります。そこで、
吸血ウイルスが伝染したためであるとか、吸血によって遺伝子に
突然変異が起きた、などと説明されるストーリーが増えてきました。

このあたりは難しいんです。アメリカでゾンビ映画が流行るのは、
土葬が多いせいもありますが、キリスト教の最後の審判のとき、
すべての死者が墓からよみがえるというイメージが強いためです。
ですから、死んでいない吸血菌感染者というのは微妙なんですよね。

「死者が歩く」(新約聖書のマタイ伝から)
resident evil

さてさて、ということで血のオカルトについて見てきましたが、
書くことはまだまだたくさんあります。
近現代の人体実験の話などにもふれたいですし、そのうち続きを
やることになると思います。では、今回はこのへんで。

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