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今さらハリ―・ポッター?

2019.09.16 (Mon)
英国人作家J.K.ローリングによる『ハリー・ポッターシリーズ』は、
1990年代のイギリスを舞台に魔法使いの少年と仲間たちが
繰り広げる冒険を描いたファンタジー小説で、映画化されたことからも
世界的に有名になった。

全7巻の原作小説は世界各地の言語に翻訳され、計5億冊以上を
売り上げた、「史上最も売れたシリーズ作品」としても知られている。

しかし、子供だけでなく大人にも人気のこの児童文学は、
出版されて以来オカルトや神秘主義のテーマが特定の宗教の教えに
反するとして、国際的な物議を醸し、英米だけでなくアジアでも
学校の図書館からハリポタシリーズが撤去される事態が起こっている。

(カラパイア)

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今回はこういうお題でいきます。日本ではまったくそういう話は
ありませんが、J・K・ローロングの「ハリー・ポッター」シリーズが
「よくないもの」とされるケースは、世界中にあります。
キリスト教カトリックによることが多いんですが、
イスラム教国の多くもこのシリーズを認めていません。

アラブ首長国連邦やサウジアラビアはもちろん、アジアのフィリピンや
マレーシアでも、学校図書館からシリーズが撤去されるケースが
増えているということです。まあ、私立学校であれば、
学校図書館に何を置くかは学校の方針として決めることができる
でしょうから、しかたのない面はあります。

ポーランドで焚書されるハリー・ポッター


ただ、今回のニュースはちょっと極端で、テネシー州ナッシュビルにある
ローマカトリック系の私立校「セント・エドワード・カトリックスクール」
の運営に携わるダン・リーヒル神父は、エクソシストの助言を受け、
「ハリー・ポッターの中には、悪霊を呼び起こすことができる本物の
呪いや呪文がある」という判断で、

新設する図書館にはこのシリーズを置かない決定を下しました。
いや、さすがに本物の呪文というのはないと思いますが、
ただまあ、真似して唱えてみるという子どもはいるでしょうし、
このシリーズをきっかけにして魔法の研究に入っていくなどという
生徒も、絶対いないとは言い切れないですからねえ。

ハリー・ポッターの世界には幽霊は存在します
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ローマ法王庁は、「ハリー・ポッター」シリーズに対する態度を
はっきりさせてはいません。さすがに、今の時代に焚書なんてことを言い
出せば大問題になりますから、あえてふれないようにしてるんだと思います。
ですから、対処については各教区にまかせられてるんでしょう。

また、米図書館協会(ALA)の調査によると、「禁止もしくは問題あるとされた書籍」
リストで、ハリー・ポッターシリーズは常に上位にランクインしているという
ことです。その理由は、「悪魔主義、反家族的、暴力、オカルト、宗教的観点」
といったことがあげられています。うーん、オカルトと宗教的観点はともかく、
最初の3つは自分は違うと思いますね。

ハリー・ポッターシリーズを読まれたことがある方はおわかりだと思いますが、
あの世界には、宗教というものはありませんよね。それらしきことが
出てきたのは、たしか『炎のゴブレット』だったと思いますが、
クリスマスのダンスパーティくらいじゃないでしょうか。

ダンスパーティのシーン クリスマスの飾りつけはなし
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あの場面でも、クリスマスが何かといったことは説明されませんし、
クリスマスらしい飾りつけもほとんどありませんでした。
原作でも映画でも意識的に避けられてるんです。
ハリー・ポッターの世界は、徹底的な無宗教に描かれてるんですね。

ですから、神がいない世界なのに、その敵対者である悪魔がいるはずは 
ありません。悪魔的という批判はあたらないと考えます。
では、神がいない世界では何が信じられるかというと、
優れた個人の力、個人崇拝になります。

「蛙チョコレート」というお菓子のおまけに「偉人カード」がついていて、
出てくるのが、コーネリアス・アグリッパ、マーリン(アーサー王の宮殿魔術師)
クリオドナ(古代イギリスのドルイド教の女性シャーマン)、
ダンブルドアなどで、実在の人物、伝説上の人物、まだ存命中の人物と、
ごちゃまぜになっていますが、共通点はイギリスに関係した人が多いことかな。

蛙チョコレートの偉人カード
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また、敵役であるヴォルデモートも、悪魔を信仰しているとか、
悪魔から力を借りているといったことはなく、あくまで個人として     
邪悪なんですね。その上で強い魔法の素質を持っているため、魔法界を
自分の手で牛耳ろうと考えます。そして、魔法の力を持たない
マグル(一般人)の世界にも侵入する計画を立てるわけです。

あと、隠れたテーマになっているのが、血統、血筋ということで、
両親ともマグルのハーマイオニは差別されましたし、逆に両親が優秀な
魔法使いであったハリーは尊敬される。マルフォイ家は、魔法界における
最古の純血家系の一族であることをたいへん誇りにしていました。まあ、
移民が増えたといっても、イギリスには上流階級は厳然とありますからねえ。

ハリー・ポッターでの死後の世界観ははっきりしない
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さて、キリスト教では、奇跡を起こすことができるのは神の御業による
場合だけで、それ以外の不可思議な出来事は、すべて悪魔の力によるとされます。
中世に魔女の弾圧が起きたのもこのためで、教会に魔法アレルギーがあるのは
たしかですが、上で書いたように「悪魔的」という批判はあたりません。

「反家族的」というのも変ですよね。ハリーは孤児ですが、
両親は殺される間際まで赤ちゃんのハリ―を守ったわけですし、
ロンの一家を見ても、家族愛はたいへんよく描けていると思います。
あとまあ、たしかに暴力は出てきますが、それはアメリカ映画でもいくらでも
見られるもので、最終的に正義が勝つので問題は少ないと思いますね。

分霊箱 ローリング女史はスピリチュアルに近い考えの人だと思います
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さてさて、ということで、自分が見るかぎり、ハリー・ポッターを
キリスト教、イスラム教が気に入らない原因は2つ。
一つは前述した魔法アレルギーと、もう一つは徹底した神の不在です。
しかし、キリスト教専門学校ならともかく、一般の図書館にも
文句をつけるのは傲慢な気もします。

ハリー・ポッターシリーズを読んでいつも思うのは、作者の
ローリング女史は頭がいい人だなあということで、だからこそ、
世界的ベストセラーが書けたわけですが、これほど注意深く宗教的な
要素を排除しても、やはり魔法を扱うのは問題が多いんですね。
では、今回はこのへんで。



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コメント
こんにちは。
2017年頃でしたか、バチカンのニュースレターに「幼い頃に想像の世界で妖精や魔法使いと遊んだことは誰にでもあるだろう」というコメントを載せたことを記憶していますが、あれはバチカンの公式姿勢ではなかったんですね…
文化にしろ科学にしろ、あらゆる面で教義との釣り合いをとっていかなければならないというのは、特定の宗教にコミットせずとも生活できる日本という国に暮らしているとずいぶん大変そうに見えます。
| 2019.09.20 19:42 | 編集
コメント「が載った」ですね…!
失礼しました。
| 2019.09.20 19:45 | 編集
コメントありがとうございます
バチカンそのものはハリー・ポッターなどを
あまり気にしてるというわけではないんだと思いますが
世界には過激な教区もありますからねえ
bigbossman | 2019.09.20 21:41 | 編集
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