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骨のオカルト

2019.09.18 (Wed)
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今回はこういうお題でいきますが、これ、独立した項にはなってませんが、
過去記事であちこちに書いてますので、一度読んだことがあるような
内容になるかもしれません。その点はご容赦ください。
さて、洋の東西を問わず、人骨は死の象徴として見られてきました。

どうしてかというと、昔は人間の骨はさして珍しいものではなかった
からです。松尾芭蕉に、「野ざらしを 心に風の しむ身かな」という
有名な句がありますよね。『野ざらし紀行』の序文に出てくるんですが、
「野ざらし」とは、風雨にさらされて白くなった人骨のことです。

野ざらし
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行き倒れた旅人の死骸が片づけられず、そのまま野辺で白骨化し、
多くの人々が、それを横目に通り過ぎていきます。
芭蕉も、自分もそうなるかもしれないという覚悟を持って旅に出る
わけですが、それは、実際の伊賀上野への旅であるとともに、
俳諧という芸術の道に深く分け入るための旅であるとも解釈されます。

これが現代だったら大変ですよね。もし草むらに白骨が転がってれば、
見つけた人は警察に通報して大騒ぎになります。ただ、
あまりニュースにはならないですが、工事現場などで人骨らしきものを
掘り出してしまうケースは多いんです。多くは江戸時代以前ですが、
太平洋戦争当時のものもあります。

この場合どうするかというと、警察に連絡をし、警察が鑑定をして
人骨と判明し、さらに時代がたっているので事件性はないと
判断した場合は、地元自治体の福祉課、教育委員会に引き継がれます。
たいへん面倒なことになってしまうので、発見しても埋め戻したり、

原城跡から出土した島原の乱の人骨
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そのまま破壊してしまうなんて話もありますが、実際にそのケースは
少ないでしょう。古い人骨の場合、ふつう供養などはしませんが、
それが見つかった場所に建物をつくる人は、あまりいい気持ちは
しないでしょうから、個人的にお祓いなどをすることもあって、
予定外の出費になってしまいます。

さて、日本の場合、昔の怪談をみても、骸骨が出てくる話は
多くはありません。これは理由がはっきりしていて、
骸骨だと身元がわからないからです。江戸時代までの怪談は、
基本的に因縁ものです。例えば『四谷怪談』だと、

生前、田宮岩と呼ばれた人が夫にひどいしうちをされ、その怨みで
成仏することができず、幽霊となって怪異を引き起こす。
この一連の流れが重要なんです。ですから、どこの誰ともわからない
骸骨の怪異は、幽霊ではなく妖怪に分類されることになります。
「骨女」や「狂骨」などですね。

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また、現代になって仏教の権威は失われ、戒名はいらない、墓はつくらず
散骨するという人も増えてきました。それとともに、成仏するという
感覚が希薄になり、現代の怪談は何でもありという状況になっています。
「地縛霊」は心霊写真研究家の中岡俊哉氏、「背後霊」は漫画家の
つのだじろう氏が昭和になってつくった造語です。

あとはそうですね、骸骨は前世とのかかわりで語られることも多いです。
ある貴人が原因不明の眼痛にさいなまれる。陰陽師に占わせたら、
前世で旅人だったその人物の頭蓋骨が岩の間にはさまれていて、
木の根が中に侵入してきて痛みを与えているのだ、みたいな話です。
そこで陰陽師の言った場所に人を遣わせると、実際にそのとおりだった。

沙悟浄 本来は河童ではありません
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中国の『西遊記』に出てくる沙悟浄は、首に9つの頭蓋骨をつないだ
飾りをかけていますが、あれはすべて三蔵法師の前世のものなんです。
三蔵法師は9度、天竺への取経の旅を志ざし、そのたびに同じ場所で
沙悟浄に食べられてしまってたんです(笑)。それが、孫悟空をお供に
従えたことで、10回目はついに沙悟浄も弟子になります。

関連記事 『あなめの話』 『玄奘三蔵の冒険』

さて、西欧に話を移して、骸骨はロールプレイングゲームに
スケルトンとして登場します。アンデッド(不死者)の中でも一番弱い
やられキャラです。これは当然で、骨だけだと生前の体重の
約5分の1になります。体重70kgの人なら15kg程度ですね。
ですから、剣を合わせても簡単にふっとばされてしまいます。

スケルトン


西洋でも、骸骨は死の象徴でした。西洋絵画の主題の一つに「死の舞踏」
というのがあります。大勢の骸骨が音楽に合わせて踊る姿が
描かれますが、そこには、王、教皇、修道士、若者、美少女、農奴など
あらゆる身分の人物が見てとれます。生前の財産や地位に関係なく、
死は誰にでも平等に訪れるという寓話なんです。

死の舞踏は音楽にもなっていて、リストの曲などが有名です。
もう一つ、「死と乙女」も、さまざまな画家が主題として取り上げていて、
多くは、若く美しい少女の背後に大鎌を持った死神がたたずむ構図に
なっています。つねに死はすぐそばにある、というわけです。

死の舞踏
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西洋でも日本でも、平均寿命の短い時代が長く続きました。
現在、先進国とされる国でも、平均寿命が50歳を超えたのは
20世紀に入ってからのことです。もちろん、平均寿命を大きく引き下げる    
要因は乳幼児死亡率ですが、その他、戦争や疫病の流行も大きかったんです。

さてさて、これらは、古代ローマ時代の「メメント・モリ」を継承していると
言われます。ラテン語で「死を忘れるな」といった意味で、将軍が凱旋の
パレードを行なう栄光の絶頂のときに、その役目の使用人が耳元でこの言葉を
ささやいたとされます。ただ、誤解されがちなんですが、本来の意味は、
「だから今を楽しめ」ということなんですね。では、今回はこのへんで。

死と乙女
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コメント
こんにちは。
先日、お骨をお箸でつまみましたが・・・
遺跡に乱雑に積み上がる骨を見ると、
つままれて壺に収まるのは幸せなのかも
知れないですね!
形名 | 2019.09.19 13:14 | 編集
コメントありがとうございます
自分のときには火葬より土葬がいいんですが
さすがにいろいろ無理があるので・・・
bigbossman | 2019.09.19 19:13 | 編集
骨…火葬場のスタッフさんが骨壺に収まらない骨を火箸でガンガン!ベキ!ベキベキ!!と砕いて押し込むの見た時は
「仏様を大事にするってなんだろうな…?」
と思いました。
いや、細かな破片まで刷毛で大事に集めてくれてましたけど。砕かなければ壺に入りきらないと分かっていても…なんか…痛そう(死んでますけど)。
| 2019.10.14 21:41 | 編集
コメントありがとうございます
火葬場で大きな骨が残るのは炉の仕組みとか
燃焼時間の関係もあり、自治体ごとに違うかもしれません
残った骨の粉はコンクリで固めて供養塔のようなのを
つくってるとこもありますね
bigbossman | 2019.10.14 23:15 | 編集
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