FC2ブログ

ドッペルゲンガーの話 2題

2019.09.20 (Fri)
オカルトフアンの方ならご存知だと思いますが、ドッペルゲンガーは
ドイツ語ですね。日本語では「自己像幻視」と訳されますが、
こちらの言葉はほとんど見たことがありません。
基本的に、ドッペルゲンガーを見るのは本人だけなんですが、
最近の怪談では、自分の知らないところで他人がもう一人の自分を
目撃した場合も、ドッペルゲンガーと呼ばれたりするようです。
ドッペルゲンガーは死の予兆であり、これを見た人はごく近いうちに
亡くなるとされます。アメリカ大統領エイブラハム・リンカーンが
見たという話は有名ですし、日本では芥川龍之介が見たと言われますね。
ただ、リンカーンはともかく、つねに大量の睡眠薬を常用していた
芥川の場合は、幻覚であっても不思議はない気がします。

では、ドッペルゲンガーとは何なのか? これはもちろんわかりませんが、
ジークムント・フロイトが発見した「無意識」がその正体ではないか、
とはよく言われます。ドッペルゲンガーを見たとされる人は、
たいへんなストレス環境下にあることが多く、自分の精神から
無意識が分離してしまったという解釈です。ですから、
他人には見えないわけです。あとまあ、日本でも、姿形がそっくりの
人物が2人出てきて、互いに自分が本物だと主張するような話があり、
古典の説話集にも載ってますが、この場合、一方は狐狸が化けている
ケースが多いようです。ドッペルゲンガーとはちょっと違いますね。
さて、今回は、自分のところに集まってきた話の中から
それに関したものをご紹介したいと思います。

IT企業勤務 村田洋次さんの話
じゃあ話していきますけど、これ、全部夢かもしれないんですよ。
何も不思議なことはなくて、ただ全部、僕が見た夢というか幻覚というか、
そういうものなのかもしれません。それでもかまわないんですよね。
あれは、つい3日前の話でもあり、10年も前のことでもあるんです。
え、意味がわからないって? そうでしょうね。
僕自身がわかってないですから。うちは経理ソフトを開発をする
会社なんです。まあ、IT企業はブラックと言われることが多いけど、
たしかに残業は多かったです。週に20時間はあったと思います。
ただ、すべてがサービスではなく、ある程度まで残業代は出てました。
それと、強制させられるわけじゃなくて、仕事が興に乗ってくると
やめられなくなるって面もあったんです。

さっき言ったように、3日前です。その日もね、残業になりまして、
10時ころまではたくさん人が残ってましたが、みなぼつぼつ帰り出して、
オフィスに僕一人だけになったんです。うちの会社は貸しビルの玄関に
警備員が24時間常駐してますので、いくら遅くなっても
問題はありません。で、午前2時を過ぎた頃でした。
もう少しで仕事の目処がつきそうなので、朝までやろうと思ってたんです。
ブースになってるデスクを離れてコーヒーメーカーのとこまで行きましたが、
その日は朝から胃の調子がよくなかったんで、給湯室にある冷蔵庫から
ヨーグルトを出しました。で、ブースに戻ってきたら人が座っる背中が
見えたんです。最初、場所を間違えたかと思ったんですけど、
自分以外残ってる人はいないはず。そこで怖くなりました。

あとね、うちは服装はカジュアルでもOKなんだけど、その人の着てる
ポロシャツが僕と同じだったんです。髪型も同じ。
後じさりしてブースから出ようとしたら、その人はくるっとイスを
回してこっちを見ました。やっぱり・・・自分だったんです。
いつも鏡で見る自分の顔。無精髭が生えて目の下に隈ができてました。
「・・・」声にならない声をあげた僕に向かって、もう一人の自分が、
「お前なあ、こんなことしてたら死ぬぞ」そう言ったんです。
はい、声も自分の声です。逃げ出そうとしましたが、そのとき急に、
今まで感じたことがないような激痛が胃にあったんです。
思わず手で押さえ、吐き気がこみ上げてきて膝をついたところ
までは覚えてるんですが、そこで失神しちゃったんです。

次に気がついたら、病院のベッドにいました。脇にいたのは
会社の直属の上司一人だけ。これは後で聞いたことだけど、
俺が倒れてるのを発見したのが巡回に来た警備員で、
そのまま救急車を呼んでくれ、病院では出血性の胃潰瘍という
診断がついて、とりあえず内視鏡で出血を止めたということでした。
上司は、お前の実家には連絡してあると言って、ほっとしたような
顔で帰っていき、その後、母親が来て看病してくれて、
20日ほどで退院しました。それで、入院してる間にいろいろ考えて、
会社を辞めたんですよ。命あっての物ダネじゃないですか。
田舎に帰って少しのんびりして、それから何か仕事しなくちゃと
思って、アフィリまとめってのを始めたんです。

いろんな記事をまとめてネットにアップし、その広告収入で
食っていくっていう。いや、最初はほんとボツボツとしかお金は入って
こなかったんです。それでも少しずつ仕事を拡大してって、
ホームページ作りやネットシステムの管理なんかもやるようになってね。
軌道に乗り、人を何人か雇い、オフィスを借りて本格的に会社として
始めました。実家のある田舎だと、そういうのやってるとこ少なかったんです。
それでね、規模は小さいとはいえ、一国一城の主じゃないですか。
面白かったんですよ。無我夢中で突っ走り始め、会社のビルができ、
結婚して子どもも産まれました。で、10年たったころです。
ウエブだけじゃ何かのときに困ると思って、別事業を立ち上げたんです。
始めはセフティーネットのつもりだったんですが・・・ そっちで大きな穴が

開いちゃったんです。もう従業員は50人近くなってましたので、
会社はつぶせない。資金繰りに奔走しました。でね、ヘトヘトになって
夜に会社に戻ったんですよ。遅い時間なので誰も残ってなくて、社長室に入ると、
イスに僕が座ってたんです。そのときにすぐ、10年前のことを思い出したんです。
もう一人の僕は、真っ青な顔にうすら笑いを浮かべてました。「お前、
こりないやつだな。でも、もう終わりだよ」その瞬間、気分が悪くなって床に倒れ、
強く頭を打って・・・ で、気がついたら病院です。不思議なことに、前のIT会社の
上司がいたんです、10年たってるのに当時のままで。僕もね、まだ若い自分で。
えっ、あの10年間は全部夢なのか・・・信じられませんでしたが、
そうだったんですよ。ただ一つ、前と違ったのは、診断が胃潰瘍じゃなく、
末期の胃癌だったことです。腹膜全体に散らばってて、余命半年なんだそうです。

タレント事務所勤務 内田幸治さんの話
俺ね、仕事はうちの会社に所属してるタレントさんのマネージャーやってるんです。
ものすごく忙しいし、公私の区別もありません。タレントさんの送り迎えから、
スケジュール管理、売り込みから何から、1日14、5時間は働いてます。
まあでもね、忙しいのはある意味、幸せなことだと思うようにしてました。
だってそれは、自分が担当してるタレントさんが売れたってことですから。
その日も、社用車でタレントさんを自宅まで送り届け、社に戻ってから
帰宅でしたが、まだぎりぎり終電が残ってました。で、疲れ切って
ホームのベンチにへたり込んでたら、ふーっと体から、何かが抜け出すような
気がしたんです。思わず目をつぶってから開けると、すぐ目の前に背中が
見えたんです。俺の背中だってひと目でわかりました。
特徴のあるコート着てましたから。そのもう一人の俺は、どんどん線路のほうに

歩いていき、俺自身はそれ見てるだけで体が動かないんです。
金縛り・・・というんでしょうか。初めて経験しました。そのうちに、
列車が入るっていうアナウンスがあって、もう一人の俺はホームの端ぎりぎりに
立ったんです。ああ、あいつ飛び込むんだな、他人事のように思いました、
自分なのにね。電車が来て、そいつは不格好に宙を舞い、でも、電車が
ブレーキを掛けることもなかったし、アナウンスもありません。やっぱり実体じゃ
ないんだ。そう思ったとき、ずらっと並んだ駅のベンチの下から、黒い犬のような
ものが何十匹とすごい速さで飛び出してきて、停車してる電車の下に入って
いったんです。そのうちの一匹が近くを通ったとき、幼稚園児くらいの大きさだけど、
大人の顔をしていて、裸で腹が出てるのがわかりました。餓鬼って言うんでしょうか。
飛び込んだもう一人の俺を食うんだな、そう考えたとき、体が動いたんですよ。





関連記事
スポンサーサイト




トラックバックURL
http://scoby.blog.fc2.com/tb.php/2143-229851b4
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する