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ヒーロー遺伝子って何?

2019.10.18 (Fri)
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今回はこういうお題でいきます。遺伝子生物学系の話なんですが、
できるだけ柔らかい内容にしたいと思います。さて、みなさんは、
アメコミのスーパーヒーローの中では誰がお好きです?
最近はアメコミヒーローが次々映画化されて、昔はあまりメジャーでは
なかったものも、知られるようになってきています。

さて、彼らがヒーローたるゆえんは、もちろん、普通の人間にはない
特殊な力を持っていることです。この力の源がどこからきているか
というと、じつに多種多様なんですが、あえて分類するとしたら、
大きく3つくらいに分けられるんじゃないかと思います。

まず一つ目は異人系、簡単に言えば、もともと地球人ではないという
ことです。代表格はスーパーマンで、彼は地球よりも重力の大きい
クリプトン星人であるため、電車を手で止めたり、空を飛んだりできます。
ヘルボーイとかもそうですね、魔界から来た人物で、さまざまな悪魔的な
力を身に着けています。日本ではウルトラマンがこれ。

バットモービル
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2つ目はミュータント・改造人間系。人間が変異や改造により特殊な力を
身につけた。映画の『XーMEN』に出てくるヒーローはみなこれですし、
スパイダーマンもそうですね。なぜ変異したかについては、自分から
望んだ、悪の組織に改造された、スパイダーマンのようにたまたまクモに
噛まれたなどのケースがあります。日本だと仮面ライダーが代表かな。

3つ目は、一般の人間が、鍛錬、パワースーツ、すごい車などの力で
悪に立ち向かう。アイアンマンは、自分が発明したパワースーツを
身につけてありえない力を出しますし、バットマンも普通の人間ですが、
弾丸を跳ね返すスーツ、バットモービル、格闘技の訓練などで
超人になります。あ、いけない、生物学の話だった。

すみません、つい興に乗ってしまいました。さて、「ヒーロー遺伝子」
というのは、上記のアメコミを意識してつけられた名前ですが、
正式な生物学用語ではありません。他人よりも優れた力を持っている
原因になっている遺伝子のことをそう呼ぶようです。

遺伝子ドーピング
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例えば、オリンピック出場選手の遺伝子を解析すると、
次々に共通する塩基配列部分が見つかるようになってきました。
ただ、自分の子どもをオリンピックに出たしたいがために、
遺伝子改変をすることは許されませんよね。また、遺伝子改変に
よって公平な競争が阻害されてしまいます。

では、現在、どんなケースでヒーロー遺伝子がとりざたされているかと
いうと、ずばり「病気にならない遺伝子」についてです。
これまでの基礎医学では、病気になった人を対象として、
遺伝子の解析がなされてきました。そして、多くの病気の原因となる
先天的な遺伝子の塩基配列が見つかってきています。

しかし、病気の原因がわかったとして、それが治療に結びつくか
というと、なかなか難しいんです。そこで発想を180°転換し、
ある病気について、それにかからない人の遺伝子を解析してみました。
すると、さまざまなメカニズムが判明してきて、それをもとに、
実際に薬もいくつか開発されています。

24歳で結核で亡くなった樋口一葉
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病気は、大きく分けて2つあります。感染症とそれ以外です。
医療の歴史は感染症との戦いの歴史と言ってよいでしょう。
コレラ、天然痘、チフス、結核・・・結核は、ストレプトマイシン
などの抗生剤が開発されるまでは死病で、日本でも、新選組の沖田総司、
樋口一葉、宮沢賢治などなど、これで亡くなった有名人はたくさんいますね。

感染症以外は、癌、糖尿病、高血圧など、人間の体そのものが引き起こす
病気ですが、病気にならない人の遺伝子を研究することで、
そのどちらの薬もできてるんです。例えば糖尿病。ポルトガルの主婦、
パウラさんは、おそらく数億人に一人、体内に糖分を溜めこむタンパク質を
つくらない遺伝子の持ち主で、糖のほとんどは尿として排泄されてしまう。

エイズ(HIV)ウイルス 禍々しい形をしています
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ですから、一般的な糖尿病になることはありません。
このパウラさんの体の中で起きていることを再現できないか。そう考えて
研究が進められ、2012年、糖を溜めこむタンパク質を抑える
薬が開発されて、世界90ヶ国以上で認可されました。
日本でも2014年から臨床現場で使われているんです。

次にエイズの場合。これは感染症ですね。高レベルのエイズ感染環境に
あるのに、発症しない人の存在は以前から知られていました。
研究によって、エイズウイルスは人間の体内の、ある種のタンパク質を
利用して侵入してくるのに、エイズにかからない人のそのタンパクには
先天的異常があり、ウイルスが付着できないことがわかりました。

そこで、このメカニズムを利用し、エイズウイルスと上記のタンパクとの
結合を阻害する薬が開発され、すでに実用化されています。
この他にも、心臓病にかかるおそれのない人、メンデル遺伝病などの
難病にかからない人が次々に発見され、
現在、研究が進められているところなんですね。

受精卵に対しゲノム編集を行った中国の研究者
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さてさて、薬なんてまどろっこしい、最初から遺伝を切り貼りして、
病気にかからないよう人間を改造すればいいじゃないかと思われるかも
しれません。ですが、エイズについてそれをやった、当ブログでも
取り上げた中国の研究者は、世界中から非難を受けています。
現状では、ヒトゲノムの編集は禁忌です。理由はわかりますよね。

まず、その編集された人物が一生健康で暮らせる保証がありません。
何が起きるかわかりませんし、もしその人が結婚して赤ちゃんを持ったら
その遺伝子は・・・ 一個人にとどまらず、人類全体に大影響を
与えてしまう可能性があるんです。ということで、アメコミのヒーローは、
当面、コミックや映画の中だけの存在でしょう。では、今回はこのへんで。

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