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椅子のオカルト

2019.10.19 (Sat)
VDS (7)
B級映画 『Killer sofa』

今回はこういうお題でいきます。椅子というと古い歴史があり、
古代ギリシア・ローマ、古代エジプト、古代中国では椅子が使われて
いました。ところが日本では、背もたれのない縁台(時代劇で街道の
茶屋とかにあるもの)はあったものの、本格的に椅子を
受容したのは明治以降なんですよね。

これ、自分は不思議だなあと思います。庶民はともかく、日本の
上流階級が中国で椅子が使われてるのを知らなかったはずはありません。
漢詩などにも出てきますし、遣唐使などの渡航者も見てきたはずですが、
なぜ、取り入れられなかったんでしょうか。

中国の椅子
VDS (3)

ネットを検索すると、日本は畳の文化だったから、という答えが
多く出てきます。中国やその他の国の多くは床が土間、あるいは
石や木の固い床であったのに対し、日本は柔らかい畳やゴザで、
靴を脱いで室内に入り、じかに座る習慣だったために
普及しなかった。うーん、でも、それだけのことなんでしょうか。

日本の工芸技術は古くから優れていましたので、椅子が作れないはずは
ないですよね。奈良時代の一時期、椅子が導入されたようですが、
結局は定着せず廃れてしまいました。たしかに一つには、椅子は室内で
使うものではないといった固定観念が、日本にはあったかもしれません。

エジプトの椅子
VDS (5)

あと、古代からの長い間の習慣で、正座やあぐらで座るほうが椅子より
楽だったので、慣れるまでいかなかったんじゃないでしょうか。江戸末期、
ロシア、プチャーチンの秘書ゴンチャロフは、著書『日本渡航記』で、
ロシア使節と幕府代表が対面したとき、ロシア人は畳に5分と座れず、
日本人は椅子に5分と座れなかったと書き残しています。

特に背もたれのある椅子の場合、帯などがじゃまになったでしょうし、
武士は刀を床に置くのが不安だったなど、すべての生活習慣が
椅子になじまなかったんでしょうね。もしかしたら、日本人の背中の
筋肉のつき方なども、椅子向きではなくなっていたのかもしれません。

峠の茶屋と縁台
VDS (4)

さて、椅子のオカルトというと、小説で『人間椅子』というのがあります。
江戸川乱歩の有名な作品なので、読まれた方も多いでしょう。
容貌が醜いため人に蔑まれていた家具職人が、有名ホテルに納入される
大きな革の椅子の中に空間をつくり、水や食料も持ち込んで
長期間その中に入るといった話です。

筋がひとひねりされていますので、未読の方のためにこれ以上の
ネタバレはやめておきますね。古代の中国には実際に人間椅子が
あったとも言われます。中に人が入るんじゃなく、太って
肉づきのいい奴隷が全身に刺青を施され、貴人の外出時などに
お供をして、休息時には地面にふせて臨時の腰掛けになる。

陣床几
VDS (2)

まあ、椅子を運搬する手間が省けるので便利ではあります。
この話を取り入れたのが、覆面作家である沼正三が書いた『家畜人ヤプー』。
日本初のマゾ小説として、天下の奇書などとも言われます。
未来の白人が支配する世界では、日本人はヤプーと呼ばれる家畜であり、

人間椅子、肉便器、乗り物など、それぞれの役割に特化した肉体に
改造されています。マゾと言っても、ムチで打たれるなどの苦痛よりも、
人体改造が一つの大きなテーマになっていて、心理的マゾヒズムの
要素が大きいものです。沼正三の正体にはさまざまな説があり、
これも一つのオカルトと言っていいかもしれません。



あとはそうですね。怖い椅子といえば、アメリカで死刑に使われた
電気椅子などもあります。前に記事に書きましたが、電気椅子は、
エジソンとテスラの電流戦争の産物としてできあがりました。
直流電源を推し進めるエジソンが、テスラの交流電源を危険なもの
であるとして、宣伝のために作ったのが交流電気椅子。

最初の電気椅子による死刑は悲惨極まりないもので、受刑者に
電気を流すと体が震え、絶叫し、頭部から煙が上がり、肉の焼ける臭いが
立ちこめて、吐き気を催した立会人が何人も部屋から逃げ出したと
されます。この結果について、「斧を使ったほうがまだましだった」とまで、
後に酷評されました。(この死刑囚は内縁の妻を手斧で殺した。)

関連記事 『エジソン対テスラの戦争』

初期の電気椅子


さて、本格的なオカルトとしては、「座ると死ぬ椅子」というのが現存します。
ご存じの方もおられるでしょう。「バズビーズ・チェア(Busby's chair)」
と呼ばれ、イギリスのノース・ヨークシャー州で、義理の父を殺害した
罪で絞首刑に処された、トーマス・バズビーの亡霊に取りつかれ
呪われていると伝えられています。1702年に死刑執行されて以来、

現在まで、その椅子に座った65人がほどなくして死亡したとされます、
原因はさまざまで、1990年、62人目の犠牲者は2時間後に風呂場で
転倒。1992年、63人目の犠牲者は1時間後に自動車事故。1995年、
64人目の犠牲者は30分もしないうちにエレベーターから落ちる。
2000年、65人目の犠牲者は時間の記載はないが、野犬に襲われ死亡。

「バズビーズ・チェア」とその他の怪しい展示物
VDS (1)

まあこんな感じです。英文サイトにはいろいろと出てきてますので、
興味を持たれた方は検索してみてください。この椅子は、
「バズビー・ストゥープ・イン」というパブの名物になっていましたが、
あまりに危険ということで、現在は北ヨークシャーにあるサークス博物館
(民家レベルの建物)で、座れないように吊り下げて展示されています。

さてさて、椅子のオカルト、けっこうあるもんですね。
最初に書いたことと関連しますが、西欧では愛用の椅子を持っている人は
多く、生涯の長い時間をその上で過ごすため、人格が乗り移ったような
感覚があるんだと思います。では、今回はこのへんで。

VDS (6)



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