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小さい墓の話

2019.10.23 (Wed)
無職 木村晃吉さんの話
じゃあ話していきます。わたしは、3年前にJRを退職しまして、
現在は無職というか、隠居の身です。一軒家に妻と2人で暮らして
おります。10日ばかり前のことですね。妻が、家の裏をノラ猫が
通ってオシッコをするので何とかならないかって訴えまして。
家の裏というのは、わたしの家はブロック塀で四方を囲んでて、
建物と塀の間に、人ひとりが通れるくらいのスペースがあるんです。
雑草が生えないように、下はコンクリで固めてます。
猫くらいいいじゃないかと思いましたが、どうせヒマですので、
ホームセンターに行って猫よけシートというのを買ってきました。
ほら、プラスチック製のトゲがたくさんついてて、猫が嫌がるって
やつです。裏に回りまして、通路の幅に切ったやつを

敷いていったんです。正直、どれほどの効果があるかはわかりません
でしたが、妻に言われて何もしないわけにもいかなくて。
それでね、家を建てたのはもう40年も前なんですが、
土地がもともとヤチと言われたところで、湿気が多かったんです。
そこで、少し床下を高くしまして、あちこちに換気口をつくって
湿気を逃すようにしてたんですよ。シートを敷いていく途中の、
その換気口の一つが外れてて、ふとね、床下はどうなってるだろうと、
のぞき込んでみたんです。そしたら、その穴から30cmくらい奥に
何かがある。四角いものです。まあ、ほっとけばよかったんですが、
気になったので、中に戻って懐中電灯を持ってきて照らしてみたんです。
そしたら、下の土が両手ですくったくらい盛り上がってて、

その上に板が立ててあり、何か書いてある。板は10cmないくらい
でしたね。はうような姿勢になり、手を伸ばしてつかんでみたら、
板はけっこう深く土にささってましたが、取り出すことができました。
たぶんカマボコの板かなんかです。そこにマジックで字が書いてまして、
「○○○の墓」。「〇〇○」の部分は漢字3文字なんだけど、
そこは埋まってなかったので、かすれてしまって読めなかったんです。
土の中にあった「の墓」の部分はわかりました。何だこれ?
子どもの字だと思いました。わたしには2人息子がいたんですが、
一人は中2のときに踏切事故で亡くなっているんです。
20年くらい前のことです。・・・夜中に家を抜け出して踏切で
電車に跳ねられた。当時はわたしも妻もショックでしたよ。

ましてほら、わたしはJR職員でしたから。警察が事情を聞きに来まして、
自殺じゃないかって見てたみたいですが、家には遺書もないし、
自殺する動機なんてなかったはずです。その週末、はじめて野球部の
レギュラーとして試合に出るって張り切ってたんですよ。
結局、事故ということになりましたが、夜中に抜け出した理由も
わかりません。そんなことをする子じゃなかったんです。
それに・・・車が立ち往生したってわけじゃなく、息子は歩きで、
電車が通る直前に飛び込まないと、轢かれるなんてありえないですよね。
いまだに釈然としてません。それでね、亡くなったのは2人の息子の
兄のほうです。弟は現在、30歳過ぎで、就職して家庭を持ってます。
で、その板を見たとき、息子のどちらかが、子どもの頃に小動物でも

埋めたんだろうと思ったんです。縁日で買ったカメとかいろいろ
飼ってましたからね。ただ、気にはなりました、板になんて書いてあるのか。
それで、夜になって息子のところに電話してみたんです。
床下に何かの墓みたいなのがあって、板が立ってた。
何か漢字で墓って書いてあるが、お前おぼえてるか?って。
そしたら息子は少し考えてましたが、突然「ああっ!」って言いまして。
「それね、兄さんだと思う。列車事故の少し前に、小人の中国人を
 殺しちゃった、どうしようって言ってたんだよ。ずっと忘れてたけど、
 今言われて思い出した。兄ちゃん、すごいあせってて、
 殺したのはわざとじゃない、遊びのつもりだった。やつらの仲間に
 知られたら仕返しされる、みたいなことを言ってた記憶がある」

こんな話をしたんです。でもねえ、小人の中国人なんているわけがない
じゃないですか。妙な話だなあと思いました。むろん、そのことが息子の
死と関係があるとは考えなかったんですが・・・気にはなりますよね。
それで翌日、土盛りを掘り返してみたんです。手が届かないのが
難儀でしたが、スコップを使って何度か土をすくうと、赤いものが
出てきたんです。古い布で、かなり腐ってましたが、暗い色調の赤、黄、
緑の中国服のミニチュアのようなもの。でね、その下に骨があったんです。
そうですね、全長が7~8cmくらいでしょうか。小人の骨?
いや、それはわかりません。たしかに人間の骨にはよく似てましたが、
頭蓋骨がなかったんです。いや、どうしたもんか困ってます。
警察に持っていっても、トカゲとかリスの骨だと思われるんじゃないですか。

食品卸会社勤務 木村昇輝さんの話
はい、親父から電話がありまして、兄が亡くなった当時のことを思い出し
ましたよ。僕と兄は一つ違いで、中学の同じ野球部だったんです。
僕と違って兄は勉強ができたし、野球も上手かったんです。
2年生なのにショートでレギュラーになるって喜んでた矢先にあの
事故が起きたんです。いや、もちろん大ショックでした。
自殺する理由なんて思いつかない。ただね、親父から電話があって
当時のことを思い出したんです。あのとき兄に「兄ちゃん、レギュラーすごいね、
 ヒット打ってよ」とかしゃべったら、兄は笑って「小人と取り引きしたんだ」
みたいなことを言って。もちろん冗談だと思ってましたよ。
それから2日後の夜、兄が僕の部屋に来て「板ないか?」って聞いてきたんです。
かなりあせった様子をしてました。「どうしたの?」って聞くと、

「間違って小人を殺してしまった。あいつら仲間がいるから死体を埋めて
 祀らないと」みたいなことを言って。冗談の続きにしては真剣な顔でした。
大きな板じゃなくてもいいみたいだったので、「母ちゃんが台所にとってある
 カマボコの板じゃダメ?」って言ったら、「ああそうか」って。
それで9時ころかな、僕の部屋に来て「埋めてくるから、母ちゃんが来たら
 庭にいるって言え」って言って出てったんです。そのときのことを
よく思い出してみたんですが、手に新聞紙でぐるぐる巻きにしたものを
持ってた気がします。いや、何かはわからないけど、端から赤いものが
出てたような気も。なにぶん20年も前のことですからね、たしかに
そうだったとは言えません。その次の日の夜です。夜中に一人で家を出た兄が、
踏切事故に遭ったのは。いや、どういうことなのかは見当もつきません。

主婦 木村陽子さんの話
はい、主人が「骨が埋まってた」って言って、小さいバケツに入れたのを
持ってきて私に見せたんですよ。いえ、気味が悪いので、ちらっと見ただけですが、
ガイコツのおもちゃってあるじゃないですか。ヒモで吊るして操るやつ。
あれにそっくりなものが赤い布といっしょに入ってました。
ネズミとか、それくらいの大きさのものです。それで、「そんなもの捨てちゃい
 なさいよ。家の中に入れないでね」そう言いました。
主人は「これな、○○が埋めたらしいんだよ。踏切で亡くなる直前に」と。
はい、さきほど主人が話したように、○○は、私どもの亡くなった長男です。
このときは、「この人、事故から何十年もたって、何言ってるんだろう」
って思いました。もしかしてボケが始まったんじゃないかとも。
主人は、「警察とかに持っていっても不審がられるだけだろうから、

 △△大で調べてもらおうと思う」△△大は主人が出た地元の国立大学で、
家からほど近いとこにあり、主人とは学部が違いますが、考古学ではけっこう
有名らしいんです。それで、そのバケツは生ゴミバケツのフタを流用して、
外の芝生の上の物干し台の近くに置いてあったんです。翌日ですね、
私が洗濯物を干そうと思ってそこへ行ったら、フタが開いて横に落ちてました。
拾って、バケツの中を見ないようにしてもとにもどそうとしたら、
中からばっと何かが飛び出したんです。驚いて座り込んでしまいました。
それ、赤と黄色の中国服のようなのを着た小人だと思ったんです、それも2人。
小人はそれぞれ小脇に白い束を抱えてて、あっという間に私の横を走り抜け、
家の裏のほうへ回って見えなくなってしまいました。今でも信じられません。
おそるおそるバケツの中を見たら、あの骨はすっかりなくなってたんです。




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