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菌のオカルト

2019.11.03 (Sun)
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ペスト医師

今回はこういうお題でいきます。菌といっても、キノコ類の話ではなく、
主に細菌について書いていきます。さて、細菌はオカルトと深い関係が
あります。理由はおわかりでしょう。細菌感染症は死をもたらすことが
多いからですね。そして、死から逃れる、あるいは死を受容するために
発生したオカルトは多いんです。

前に「医療のオカルト」という記事を書きましたが、医療の歴史は
感染症との戦いの歴史と言ってもいいと思います。
ペスト、コレラ、チフス、結核、天然痘、マラリア、梅毒・・・
感染症は、人類の歴史上、多くの人命を奪ってきました。
その中には、さまざまな有名人も含まれます。

関連記事 『医療のオカルト』

逆に言えば、感染症以外の病気に対しては、医療はずっと無力でした。
癌をはじめ、心臓、肝臓、腎臓など、人間の体そのものに起因する
病気は、症状を和らげる対処療法ていどしかできなかったんですね。
安静にしておいて、治る人は治るし、治らない人は治らない。
西洋医学が急速に進歩したのは、この100年くらいのことです。

ペスト菌 日本の北里柴三郎も発見者の一人
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さて、ここでクイズ。上で書いた感染症、「ペスト、コレラ、チフス、結核、
天然痘、マラリア、梅毒」のうち、細菌感染症ではないのが2つあります。
おわかりでしょうか。答えは「天然痘」と「マラリア」。天然痘の原因は
天然痘ウイルス、マラリアはマラリア原虫がひき起こします。
あと、インフルエンザもウイルスなのはご存知と思います。

細菌とウイルスの違いは、一般的に「細菌は生物、ウイルスは非生物」と
されることが多いですね。細菌には細胞があり、エネルギー代謝を
行い、自己増殖できます。これに対し、ウイルスには細胞はなく、
エネルギー代謝はできず、単体では自力で増殖できません。
ただし、ウイルスが生命かどうかには議論があります。

ペスト絵画 ヨーロッパには多種多様にあります
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さて、西欧で最も恐られていたのは、感染症の中でも「ペスト」でしょう。
致死率が高く、1週間ほどの潜伏期間をへた後、発症すると数日で
死亡する場合がほとんどです。しかも感染率も高い。
恐れられないわけはありませんし、これを題材にした文学作品、
またオカルトもさまざまに生まれています。

ヨーロッパで14世紀に大流行したペストは、中央アジアからイタリアに
運ばれた毛皮についていた数匹のノミが媒介したと考えられています。
それがあっという間に広がり、北部イタリアはほぼ全滅、当時の
ヨーロッパ人口の3分の2に近い2千万~3千万人が死亡したと
みられます。この流行は世界的で、全世界の死亡者は8千5百万人ほど。

これも以前、記事に取り上げていますが、あの「大予言」で有名な
ノストラダムスは、若い頃にペスト医師をしていました。
ペスト専門医は感染の危険があるため、若くまだ未熟な医者が
治療にあたることが多かったんですが、そこで一定の成果をあげれば、
医師としての名を高めることができます。

関連記事 『ペストと薔薇』

若き日のノストラダムスの勇姿(笑)
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ノストラダムスが長期間ペスト流行地域にいたのに発症しなかったのは、
免疫ができていたためとも言われます。上の図がノストラダムスの
医師としての姿ですが、これは鳥の扮装をしているわけではなく、
このクチバシの中には、当時感染を防ぐと信じられていたハーブ、
バラの花びら、アヘンチンキなどが入っていました。

あと、みなさんはシェークスピアの悲劇の代表作の一つ、
『ロミオとジュリエット』はお読みになられたでしょうか。
ロンドンでペストが流行していた16世紀が舞台で、原作では、
ジュリエットの手紙を持った使者がペスト流行のために隔離されて
しまったことが、ロミオの死につながっていくんですね。

「黒死病」 薬草をふりかけているところでしょうか
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それから、エドガー・アラン・ポーの『赤死病の仮面』も、寓話的ですが、
ペストを意識して書かれたものです。ペスト感染者の1割程度は
敗血症を起こし、そのために皮膚のあちこちに出血斑ができ、
手足が壊死し、全身が黒いあざだらけになって死亡するため、
別名「黒死病」と呼ばれました。

あ、ペストのことを書いているうちに終わってしまいそうです。
例えば、結核も抗生物質発見以前はまず助からない病気で、
やはりさまざまな文学に取り上げられていますが、
ペストとの違いは、比較的長い病期があることです。
感染がすぐに死亡にはつながらないんですね。

結核菌
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日本では、明治3年、政府が人肉の売買を禁じる布告を出しています。
人肉は、肺病(結核)、らい菌によって起きるハンセン病の
妙薬とされ、闇で流通していたんです。作家の長谷川時雨は、
明治中期のこととして、「これは肺病の霊薬だよ」と、
人間の脳を焼いたものを入れた紙包みを見せられた話を書いています。

結核もハンセン病も、当時の医学では治療不能な病気であり、
それが、人肉などの普通では手に入りにくいものが薬になるという
民間信仰、オカルトへとつながっていくわけです。現在でも、
転移再発した癌を治すのは難しく、そのためにネットには
さまざまなオカルト食品やサプリがあふれています。

「少年人肉切り事件(野口男三郎事件)」の裁判の様子
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自分は、◯◯水という、原価数百円程度のエキス入りの水を
ペットボトル1本数万円で売っている業者を知っていますが、
新興宗教などとも深い関わりのある、詐欺師といえる人物で、
さまざまな反社会的事件を引き起こしながら世を渡っています。

関連記事 『看護師の話』

さてさて、最後は本題とやや関係ない話になってしまいました。
この他、コレラや、ウイルス感染症ですが天然痘にも
さまざまなオカルトがあるんですが、それはまた項を改めて
書くことにしたいと思います。では、今回はこのへんで。

関連記事 『ココリツトリって何?』

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