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この世界はデジタル?

2019.11.05 (Tue)
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今回はこういうお題でいきます。物理学系のお話です。
さて、「この世界はデジタル的か、それともアナログ的か?」
こういう質問をされた場合、みなさんはどのように答えられるでしょうか。
うーん、これについての正しい答えはない気がします。

この世にはデジタルなものもアナログなものも、両方あるのは
時計を見ればすぐにわかりますよね。さらに、どっちが便利かというのも
難しいでしょう。デジタル時計は一瞬見ただけで時刻がわかりますが、
例えば、ある設定時間までの残り時間などは、頭の中で引き算をしなくては
なりません。互いに長所と短所があるんですね。

ちなみに自分は、腕時計はアナログ、自宅の部屋の壁時計もアナログ、
事務所の壁時計はデジタルで、機能でというよりデザインで選びました。
これは自分だけじゃなく、そういう人は多いんじゃないかな。
ではまず、デジタルとアナログ、それぞれの意味を
ネット辞書で確認してみたいと思います。

マックス・プランク
dsf (2)

デジタルは、「離散的である(とびとびの値しかない)」
アナログは、「連続的である(ずっとつながっている)」このように
記述されている場合が多いですね。で、当ブログでたびたび取り上げている
量子力学の世界、これについては、デジタル的であるとする研究者が
一般的には多数だと思われます。

量子力学の誕生が、鉄鋼業と深い関係があると言えば、意外に思われる
方もおられるかもしれません。「鉄血」という語をご存知でしょうか。
プロイセンの政治家ビスマルクは、その演説から鉄血宰相と呼ばれましたが、
鉄の生産量は、その国の国力を表す重要な指標でした。

鉄血宰相ビスマルク
dsf (2)

19世紀末のドイツでは、鉄鋼業の発展をうけて、溶鉱炉を効率的に
管理することが求められました。ですが、炉内の温度を正確に
測れる温度計は存在しません。ただ、熟練した製鉄職人は、
炉の中の炎(光)の色を見れば、だいたいの温度がわかりました。
当時から、光の色と温度には深い関係があることが知られていたんです。

現在の知識では、熱せられた物体は、加えられた熱エネルギーで
物体を構成する電子などが振動し、その振動に応じた波長の電磁波を
出しているということがわかっています。もし、物体の色から
温度を割り出す数式ができれば便利ですよね。しかし、当時の水準では、
物体の表面の光の反射がからんで、正確な式をつくるのが難しかった。

そこで、絶対に光を反射せず、すべて吸収する架空の物質「黒体」を
想定して、それから数学的に光と温度の計算をすればいいという
アイデアが出され、多くの科学者がこの問題に取り組みました。
その中の一人が、ベルリン大学教授のマックス・プランクです。

プランク定数の式
dsf (1)

プランクはすべての測定結果にあてはまる式を、どうにか考えだした
んですが、なぜ数字が合致するかの理由がわからない。しかもその式では、
物体が放射するエネルギーは、とびとびの離散的な値しか
とれなかったんです。この結果にはプランク自身がとまどいました。
彼は、この世界をアナログなものと考えていたからです。

ですが、結果は結果です。数値がとびとびになるための比例定数
「プランク定数」が発見されたことになります。これはきわめて
小さい値で、現在、6.62607015×10-34J・s(ジュール秒)
とされています。この発見によって、量子力学の第一歩が
踏み出されたとする研究者が多いですね。

物体の出すエネルギーの値がとびとびになる理由
もちろんプランクが式を立てた当時はこのことはわからなかった

dsf (3)

プランク定数の式は簡単で、「E=hv」。Eはエネルギー、
vは、その物体の固有振動数(周波数)、hがプランク定数です。
その後、量子力学が大発展するのを見て、「もしかしたらパパは
たいへんなものを発見したのかもしれない」と、プランクは
自分の息子に語ったというエピソードが残っています。

さて、ここからはややSF的な話になります。プランクの黒体輻射の式を
変形すると、「プランク時間」5.391×10-44s(秒)、
「プランク長さ」1.616×10−35 m が求められます。
これはそれぞれ、この世にある最小の時間、最小の長さなんです。

この宇宙は一辺がプランク長さの格子でできているとする「ループ量子重力理論」
dsf (1)

わかりやすいので時間のほうで説明すると、これより短い時間は
この宇宙に存在しない。もしくは、存在したとしても原理的に
見ることができないことになります。映画のフィルムを
考えてみてください。1コマ1コマがつながって
一本の映画になっていますが、コマとコマの中間はありません。

まさにとびとびでデジタルなんですが、それと同じように、プランク時間が
連なってこの世界はできている。うーん不思議ですね。どうしてなんで
しょうか。説明の一つとして、アナログよりもデジタルのほうが
安定するため、宇宙の最初期にそうなったと言われます。
これも身近な例えで、テレビの音量調節のつまみで考えてみましょう。

dsf (4)

現在はリモコンで、11→12→13・・・とデジタルに音量が
変化していきますよね。11.7とかにはできません。それに対し、
昔のテレビは、つまみを回して無段階に音量を調節するアナログでした。
アナログのつまみは調節が難しく、回しすぎてうるさくなってしまったり、
偶然に手があたって音量が上がってしまうこともあり、不安定なんです。

さてさて、お時間がきてしまいました。最初に書いたように、
このことをもって、「この世界はデジタル的である」と言い切るのは
難しいんですが、少なくとも、「量子力学は離散的なものである」と
言うことはできると思います。では、今回はこのへんで。




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