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悪魔の話2

2019.11.07 (Thu)
日本だと、悪魔が主役になった怪談は少ないですよね。
自分(bigbossman)が思い返してみても、数えるほどしかありません。
この理由ははっきりしていて、悪魔は神の対立概念なので、
キリスト教の信者が少ないところでは、悪魔の出てきようがないんですね。
また、別の面から見れば、キリスト教は絶対神をいただく一神教です。
神は唯一であり、他の宗教はすべて間違った邪教だとされます。
ですから本来は、日本で信仰されているお釈迦様や天照大神も、
悪魔の一種と考えることもできるんです。中世の終わりころまでは、
異教徒は必ず地獄に堕ちる存在とされ、改宗がかなわなければ
攻め滅ぼしてもかまわないとまで考えられました。スペイン、
ポルトガルの南北アメリカ大陸征服がその一つの例です。

ただ、近代になって、さすがにそれではマズイですよね。
キリスト教以外の国とは貿易もできなくなってしまいます。そこで、
植民地政策が始まったんです。帝国主義という歴史は、キリスト教を
抜きにして考えることはできないんですね。もちろん、
現代では、キリスト教も他宗教への寛容性を示していますが、
本質が大きく変わったというわけでもありません。
さて、以前も登場してもらいましたが、自分の知り合いの霊能者に
Kさんという方がいます。Kさんは自分よりもだいぶ年上で、本業は
貸しビルやマンションを経営する実業家です。霊障事件などで全国を
飛び回っていますが、謝礼はもちろん、交通費も請求したことが
ありません。すべて費用は持ち出しなんです。

先日、このKさんとお会いして、日本では数少ない、悪魔がからんだ事件の
思い出話をうかがいました。今から30年ちかくも前のことです。
このときには、ローマから正式の悪魔祓い師まで来て、
かなりの大事になったそうです。ここからは会話形式で記していきます。
「1990年代のことだ。まだ人口が増えてて、あちこちに分譲住宅団地が
 できてたよな」 「ああ、はい」 「場所はボカさせてもらうが、
 温かい地方での話。丘を切り拓いて、戸数300程度の分譲団地ができた」
「緑が丘とか、そういうやつですね」 「そう。そこで悪魔の出現が起きたわけ」
「珍しいですね。うかがいます」 「真新しい家々、整った区画と道路、
 芝生が敷かれ雑草一つない公園、すぐ近くに学校、病院、大型スーパーもある」
「理想的な環境というわけですね」 「ああ、そうだ。しかも建売住宅は高額だから、

 住人は一流会社の社員、銀行員、教員、警察官などがほとんどで、
 事件が起きる可能性はきわめて少ない」
「それで」 「ところが、最初の1年目からトラブル続きだ。初年度だから、
 建売はまだ全部は埋まってなくて、戸数180程度だったが、
 家の中の湿気がひどいという苦情が、ひっきりなしに建築会社に来た」
「で?」 「その手の分譲団地は、多くても2つほどの建築会社で家を建てる。
 だから家の構造もほとんど同じ」 「はい」 「建築会社で調査したが、
 原因がわからない。もと沼地だったとかを埋め立てたわけじゃなく、
 ふつうの丘を切り崩して建てたんだし、近くには川も湖もない」
「はい」 「床下にもぐっても、乾いていて、湿気のケの字もなかったんだ」
「不思議ですね」 「苦情の内容は共通していて、とにかく台所のものが腐る」

「冷蔵庫に入れてもですか?」 「そうだ。食パンなんかは、袋を開けないで
 2日もたず、びっしり黴が生える。肉は特にひどい、冷凍庫に入れても数日で
 どろどろに溶けるんだよ。冷凍庫だぞ」 「考えられませんね」
「困り果てた建築会社は、損を承知ですべての家に床下換気扇をつけたが
 まったく効果なし」 「うーん、で?」 「次が住人の原因不明の体調不良だ。
 どこが、というわけではないが、元気が出ない、だるさ、倦怠感がある。
 しかし病院で検査しても、やや白血球数が多いくらいで、特に悪いところはない。
 白血球だって正常範囲内だ」 「霊障でもよくあるパターンですが、
 数が多いですね。住人のほとんどがそうなんでしょう」 「ああ、おかげで
 団地近くの病院はかなり繁盛したらしいが・・・そこの理事長が自殺したんだ」
「え?」 「もちろん病院の経営は健全。家庭的な理由もない。

 しかも、自殺した場所が、その団地の中央にある児童公園のブランコだ」
「・・・」 「それで堰を切ったように、団地の別の家の12歳と7歳の女の子が
 失明。これも病因不明だったが、小さい子のほうはその後回復した。
 それから1ヶ月の間に住人の自殺者が4名、これは大人」
「うわあ」 「夜中に団地内で鐘の音が聞こえるようになった。
 ゴーンというお寺の鐘じゃなく、カーンという、教会の弔いの鐘のような
 音だ。それが午前2時から4時までの間にときおり鳴るんだ」
「各家々に聞こえるんだから、かなりの音量なんでしょう」
「それが、録音した者がいたが、機械ではとらえられなかった」
「すごい話です。Kさんは建築会社から呼ばれたんですか」 「いや、
 その団地の自治会長が1年目からすでに決まってたんだが、

 その人からだよ。知り合いのそのまた知り合いみたいな感じで」
「うーん」 「ほら、当時は今とは違って、テレビでもふつうに心霊番組を
 やってたから。宜保愛子さんとか」 「ああ、なるほど、そうでした」
「現地に行って、まず団地内を歩き回ってみたんだ。戸数300程度なら、
 2時間くらいで回れる」 「どうでした?」 「一言でいうと、
 空気が腐ってた。いや、日あたりのいい場所で、建築工事にも
 手抜きは見られなかった。それなのに、吹き下ろしてくる風が生臭い」
「吹き下ろす?」 「ああ、団地の北側に350mほどの山があって、
 そのときは春だったのに、黒ぐろとしてたんだ」 「どういうことですか」
「木々の新芽が伸びてない。死んだ山と言えばいいか。
 ハゲ山ということではないが、木のほとんどは冬枯れたままでな」

「その山が原因?」 「そう思った。これは俺の手には負えないかとも」
「で、どうしました」 「そこの市の図書館に行って歴史を調べた。
 時間がかかったが、その山、戦国時代に山城があったらしい」
「戦国武将がいたんですか」 「ああ、ただ、名前を出してもわかるまい。
 領地の広さは郡以下で、その地方の名の知れた大名によって、あっという間に
 滅ぼされたんだが・・・ その城主な、スペイン人の宣教師を厚遇していて、
 キリスト教に改宗したらしいんだ。洗礼名もわかったよ。
 それと、その山、地図上の正式名ではないが、戦前まで、地域の住人には
 だえもん山と呼ばれていた」 「・・・デーモンですね」 「そうだ。
 近づいてはいけない、入ってはならないという言い伝えが長くあったみたいだ」
「で、次にどうしました?」 「嫌だったが、山へ登った」

「そうこなくちゃ」 「喜んでるな。俺でも恐ろしかったんだぞ。道は古い
 登山路があって、草木が茂ってないからなんとか登れたが、
 一歩進むごとに肩が重くなって、心臓の鼓動が早くなった」
「ヤバイですね」 「ああ、きわめて悪いものがあると思った。
 高さ300mだから、ふつうは頂上まで1時間ほどなのが、4時間かかって
 やっと中腹。ヒマラヤ登山なみだよ。で、8合目あたりに岩屋があった。
 ぽっかりと人が入れるほどの穴が開いてたんだ」 「人工物?」 「ごく最近、
 入り口をふさいだ大岩が崩れた跡があった。団地の造成工事が原因だろう」
「入ったんですか?」 「ああ、俺は懐中電灯など一式、つねに持ってるからね」
「で?」 「入ったとたんに吐いたよ」 「う」 「ひとしきり胃液を
 吐いてから奥へ進んだ。人一人、頭を下げてしか通れない通路が、

 30mほど進むと急に広くなった」 「それで?」 「真ん中に朽ちた井戸があって、
 まわりに古い人骨がいくつもあった。ほとんどが女子供だと思った。
 殺されたのか、自害したのかはわからなかった。でな、岩屋の床は岩盤だが、
 ほこりを払ってみると刻み目が出てきた。井戸を中心にした五芒星の形の。
 あと溶けた蝋」 「・・・」 「井戸は深くて、照らしても底が見えない。
 それで一番怖かったのが、横壁にべったりと緑色の粘液がついていたこと。
 何者かが井戸から這い出てきたんだ。硫黄の臭いもした」 「うう」 
「これは無理だ。そう考えて逃げ出し、すぐに公安警察、ローマ法王庁大使館に
 連絡したよ。すったもんだあったが、事情が理解されると動きは早かった。
 バチカンから枢機卿一人と高位の司教、司祭が総勢20人も来た・・・
 すまんが、こっからの詳細は、いくらbigbossmanでも話せない。禁じられてる」

「わかります」 「2ヶ月ほどで悪魔は封じられたが、司祭が2人殉職した。
 その後、岩屋の調査が行われ、いろいろなことが判明した。
 その井戸は近くで出てきた陶器から、まさに戦国時代のもの。
 それと、岩屋の奥に山頂へ出る抜け道があった。埋まってて通れはしなかったが。
 ここからは推論だ。敵に攻められたキリシタンの城主は、抜け道から岩屋に
 逃げ込み、どうして方法を知ったかわからないが、悪魔を召喚した。
 女子供は城主の奥方や側室、その子供。数が多いから重臣の家族もいたのかも
 しれん」 「うーん、つくづくすごい話です。で、城主の遺骨は?」
「見つからなかった。男らしき大柄な遺骨は一体あったものの、まとってた布片から、
 外国人宣教師と見られている。あとな、その井戸だが、一般的な現代工法では
 まるで届かないほどに深いことがわかったんだよ」 「・・・」

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