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精子トレーニングって何?

2019.11.12 (Tue)
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今回はこういうお題でいきます。生物学の内容ですね。
自分は、ダーウインの進化論は大筋で正しいと思ってますし、
世界の趨勢もそうだと思います。キリスト教の聖書原理主義団体の
中には、進化論に対抗する勢力もありますが、
ローマ・カトリックは進化論をほぼ認めています。

進化論は多面的な考え方なので、ひとことで言うのは難しいですが、
「生物の進化は突然変異と適者生存によって起こる」としても、
そう大きな異論は出ないのではないかと思います。
進化論以前には、ジャン・バティスト・ラマルクによる、
「獲得形質の遺伝」という考え方が存在しました。

これは過去記事で書いていますが、「キリンが高い場所の葉を
食べようと首を伸ばす動作を続けているうちに長くなり、
その長い首は子孫にも遺伝する」というものです。
これに対し、ダーウインは「突然変異で首の長いキリンが生まれ、
それが環境に適合していたので生き残った」と説明します。

精子の構造
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近年、遺伝子DNA配列の解析が進み、ダーウインの論が正しいことは
立証されたと考えてよいでしょう。遺伝子のDNA塩基配列が
勝手に変わることはありえないからですね。
ですが、「獲得形質の遺伝」が完全に否定されたかというと、
必ずしもそうとは言えないようなんです。

「DNAスイッチ」という言葉を聞かれたことがあるでしょうか。
NHKのテレビ番組、『NHKスペシャル 人体』で使用されて有名になり
ましたが、学術的には「エピジェネティクス epigenetics]と
言うようです。一般的には、「DNA塩基配列の変化を伴わない

ジャン・バティスト・ラマルク
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細胞分裂後も継承される遺伝子発現あるいは細胞表現型の変化」
を研究する学問分野です。この説明は言葉が難しいですね。
人間の体は、遺伝子情報をもとにさまざまなタンパク質をつくり、
体内の各部でそれらが働いて生命活動を行っています。

ところが遺伝子の中には、ふだんは眠っていて、スイッチが入って
初めて動き出すものがあることがわかってきました。
そのしくみを研究するのがエピジェネティクスと考えていいでしょう。
現在、このような遺伝子のスイッチングのメカニズムを
調べる研究が、世界中で進められています。

この考え方が学会の主流でしたが・・・
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そして、癌化や老化など、遺伝子の配列の変化を伴わない
後天的な現象の多くが、この遺伝子のスイッチングに関係している
ことが明らかになってきたんです。かなりのことが解明していますが、
では、DNAスイッチングは、世代を超えて受け継がれるんでしょうか。

これについての結論はまだ出ていません。ただ、
もし立証されるようなら、ノーベル賞級の成果になると思われます。
さて、精子トレーニングの話にうつります。この研究を行っているのは、
世界の名門、ノーベル賞学者を10人以上輩出している
デンマークのコペンハーゲン大学。

生理学のロマン・バレス教授は、「メタボの予防」が研究テーマで、
近々子どもをもうける予定の若い男性を募集し、
毎日1時間の有酸素運動(バイクを漕ぐなど)を6週間にわたって
続けてもらう。まあ、メタボは完全に解消しなくてもいいんですが、
DNAスイッチが入ることが重要です。

「精子トレーニング」をする男性
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精子の遺伝子に含まれる「メタボに関連するDNAスイッチ」。これが
入ったままの状態にして受精させる。では、はたして生まれてくる
子どもは、メタボになりにくい体質になっているのかどうか。
大変興味深いですよね。みなさんはどう思われますか。

最初の話に戻って、「獲得形質の遺伝」という学説は、西欧の
学会での激しい対立の後に葬り去られました。過去記事に
書いているとおり、資料の捏造や研究者の自殺などがあったんです。
ですから、この分野に手を出すのは研究者にとっては危険で、
経歴に傷がつきかねません。

これまでは、受精に備えて、精子の中の遺伝子スイッチはすべて
リセットされると考えられてきましたが、もしそうではなかったとしたら?
バレス教授は、通常体型の男性10名、メタボ男性10名から
精子を採取し、詳しく分析した結果、リセットされてないと
見られるDNAスイッチが2つ見つかったと報告しています。

ただし、そのことが即、獲得形質の遺伝につながるかはわかりません。
また、もし彼らの赤ちゃんのDNAスイッチが生まれつきオンだった
としても、それだけでは仮説の証明にはならないでしょう。
かなり長期的スパンの研究になると思われます。

DNAスイッチが入るしくみ
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あと、ここでは、精子のことだけを取り上げていますが、
卵子はどうかというと、女性の卵子は生まれたときからすでに
ほとんどできています。それが毎月、規則正しく排卵される。
ですから、トレーニングのしようがないんです。

さてさて、面白い話だなあと思います。自分はもう精子トレーニングを
しようとしても、子づくりの時期は終わっているので
どうしようもないんですが、これを読まれてやってみようと
考えられた方もいるかもしれませんね。では、今回はこのへんで。

関連記事 『ラマルクの子孫たち』

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