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中国のオカルト

2019.11.29 (Fri)
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今回はこういうお題でいきます。自分は、おそらくですが、
中国は世界で最もオカルトが豊富な国なんじゃないかと思います。
その理由ははっきりしていて、歴史が古く、国土が広く、
人口が多いからです。早くから文字が使用されていたことも、
間違いなく関係があるでしょう。

実際、日本の怪異譚、奇譚の多くは中国にルーツがあるもの
なんですね。「竹取物語」とそっくりの話が四川省のほうにあるのは
ご存知かと思いますが、「浦島太郎」も中国に類話があります。
よく当ブログで取り上げる平安時代末の『今昔物語』も、
そのルーツが中国にある話は、かなりの数にのぼります。

前に書いた「うつろ舟(うつぼ舟)」の話も、もともとは中国の
ものです。うつろ船は江戸時代に入ってくり返し歴史上に現れて
きますが、内容はほぼ共通していて、浜に奇妙な形の舟が流れ着き、
中を開けると、異国風の服装、風貌の女が一人、胸に箱を
大事そうに抱えて乗っていたというものです。

伝説上の禹王
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その後は、言葉が通じないため、また舟に戻して海に流したという
結末が多いですね。現代のUFO事件でも、UFOが証拠を残して
いくことはほとんどないですが、それと同じ構図だと思われます。
最も有名なのは、読本作家の曲亭馬琴が『兎園小説』に
「虚舟の蛮女」との題で図版とともに載せたものでしょう。

ただ、前述したように馬琴以前からこの話はあり、おそらく馬琴らの
大がかりな冗談だったと思われます。江戸時代には「茶番」といって、
裕福な商人層などがやる、お金と時間をかけた一種のジョークイベントが
流行していて、その一つだったのではないかと思います。
中国の元話は、ある金持ちが娘を大事に育てていたが、

中国の道観
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年頃になって信心を始め、足繁くお寺参りをするようになった。
金持ちの主人はよいことだと思っていたが、娘の妊娠が発覚します。
そこで問いつめると、相手はなんと寺の若い僧侶だったことがわかり、
激怒した主人は、僧の首を切り、それを箱に入れて娘に持たせ、
当座の食料とともに出口のない舟に閉じ込めて川へ流すんです。

さて、陰陽師の安倍晴明は漫画の影響もあって有名になりましたが、
晴明が行った陰陽道も中国由来のものです。天文、暦、風水、
占術など、古代の日本は多くのことを中国から学んでいるんです。
今でこそ、占いなどばオカルトと思われる方が多いでしょうが、
その当時にあっては最先端科学と言っていいものだったんですね。

これも前に書きましたが、アイザック・ニュートンは17世紀から
18世紀の人ですが、錬金術や聖書に隠された未来予言の暗号の
解読などにも膨大な時間を費やしていました。科学という概念が
定まったのは、そんなに古い話ではないんです。

中国の大ヒーローである孫悟空
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奈良時代から平安時代にかけて、蠱毒(呪いの一種)、物忌み、
方違えなどが貴族の間で流行し、ある場所に出かけるときに方角が
悪いと、いったん別の方角に向かい、そこで一泊してから目的地に
向かうといったことを大真面目にやってましたが、それらも
遣唐使らが中国から持ち帰ったものです。

百鬼夜行なんかもそうですね。「百鬼夜行絵巻」に出てくる
唐傘や鍋釜、楽器などの古くなった器物の妖怪というのも、
中国由来のものです。ということで、日本のオカルトは
歴史的に中国の影響を無視することはできません。

さて、最初の話に戻って、なぜ中国には豊富なオカルトがあるのか。
一つには多民族国家ということがあげられるでしょう。
北方の民族、西方(シルクロード方面)、南方(ベトナム方面)と、
多数の民族に分かれていて、それぞれに神話や伝説を持っています。

『山海経』の妖怪
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それと、中国では死がひじょうに身近なものだったこともあるでしょう。
中国には易姓革命思想があり、一つの王朝は長くても300年ほどしか
続きません。で、王朝交代の騒乱が起きるたびにたくさんの人が死に、
人口が激減するんです。それがサイクルでくり返されます。

例えば、後漢から三国時代となったときには、当時の戸籍を調べた
研究によれば、人口はほぼ3分の1以下にまで減っています。
人命が軽かったんですね。こうして中国の人口はジグザグ状に
拡大して現代につながるんですが、人の死が多かった時代には
たくさんのオカルト話ができあがります。

あとは、中国は基本的に多神教です。中国の歴代王朝は儒教を
国教としていましたが、儒教は「道徳」を説くもので、
忠孝の徳目は為政者にとってつごうがよかった。一方で、儒教は
先祖の祀りは重視しますが、神のない宗教でもあります。ですから、
民間では道教が力を持ち、たくさんの神々が信じられました。

僵尸(キョンシー)
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関羽のような有名武将、孫悟空のような創作上の人物(猿)、
あと中国の各時代において仙人になったとされる人物はすべて
神様になっています。そして多種多様なまじないが行われていました。
映画の『霊幻道士』のシリーズはご覧になった方も多いでしょうが、
あれに出てくるような道士があちこちで活動してたんですね。

魯迅の小説『故郷』には、主人公が故郷の人々が迷信深いのを
嘆く場面が出てきます。中国は農村部が広がっていたため、
近代まで日常的にオカルトが行われていたんですが、
毛沢東の文化大革命によって断ち切られ、現在にいたるわけです。

さてさて、中国の怖い話はいくらでもあるんですが、
全体的な話をしているうちに制限字数になってしまいました。
で、あの国のすごいところは、共産主義国家となった現代でも
怖い話にはことかかないところですね。機会があればご紹介
したいと思います。では、今回はこのへんで。

関連記事 『ロシアのオカルト』 『殭屍の話』

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