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怪片 9題

2019.12.04 (Wed)
1 長猫
アパートの1階に住んでる。昨日の朝、大学の授業がなかったんで
ずっと寝てて、9時過ぎに目が覚めた。窓から光がさし込んでて、
カーテンが30cmくらい開いてた。横になったまま
何気なく外を見てたら、コンクリ塀の上を猫がやってきた。
毛の長い白い猫で、ノラには見えなかった。猫は頭をふんぞり返らせて
通り過ぎ・・・なかった。カーテンのすき間から見える
その胴体が長い、長い、長い・・・いつまでも終わらない。
10秒ちかく見てたから、数mもある毛虫みたいな猫なのか?? 
ありえん!と思って立ち上がり、窓に寄ってカーテンを開けると、
その瞬間、猫はびゅんと縮んで普通の長さになった。ふり向いて
こっちを見たので、怖くなってカーテンを閉めた。

2 返事をしない
会社にバス通勤してます。バス停までは家から徒歩2分なんですが・・・
7時半過ぎに家を出て歩いていくと、3軒ななめ向かいの
横田さんの家から、白髪頭の上品な老婦人が出てきました。
手に箒とちりとりを持っていて、家の前を掃くのだろうと思いました。
私が見たのははじめてです。老婦人は、「あら、お早いですね」と
笑顔で声をかけてきましたが、無視して、前を見たままバス停まで
歩きました。礼儀知らずと思われるかもしれませんが、この老婦人、
和子さんといって、先月首を吊って亡くなってるんです。
近所なので葬式にも出ました。それとね、この和子さんに声をかけられ、
返事をしてすぐに具合が悪くなって亡くなった方が2名いることも
聞いてました。町内会で現在、大々的なお祓いを計画してるんです。

3 生霊とは
昔から霊感なるものがあります。超能力と言ったほうがいいのかも
しれません。そのあたりは専門家じゃないんでよくわからないです。
いえ、亡くなった人の幽霊というのは、生まれてから一度も
見たことはありません。私の場合、人の心の中が生霊という形で
見えるんだと思います。例えばそうですね、いつも朝、同じ駅から電車に
乗る若い夫婦に会うんです。もしかしたら同じ職場なのかもしれません。
その夫婦、昨日は険悪な雰囲気で、駅のホームでも何やら口げんか
してましたが、奥さんのほうが横を向いたとき、すっと体からもう一人の
奥さんが出てきて・・・2つに分かれたってことです。霊体の奥さんは
やや色が薄い感じで、旦那さんの背中に回ると、ドンと突き飛ばした
んですよ。旦那さんは動きませんでしたが、ふり返って後ろ見てましたね。

4 口をきく
カニを親戚からもらったんですよ。ワタリガニを河口でカニ籠を
沈めてとってきたんですね。ありがたくいただきましたが、そのままでは
泥臭いんで、たらいに張った真水に入れて泥を吐かせてました。
木の板でフタはしてたんですけどね、子どもがイタズラしたのか、
朝見たらずれてて、カニの数が一匹足りなかったんです。それが10日ほど
前のことです。探したが見つかりませんでした。女房は、ガサゴソ戸棚の奥で
音がするって言ってました。でね、今朝、起きてすぐ水を飲もうとしらた、
食器棚の下からホコリだらけのカニが出てきたんです。あ、こいつ
生きてたのか、と思ったんですが、カニは「俺は死んだぞ」としわがれた
声で言って消えたんです。食器棚の下を探したら、たしかに
だいぶ前に死んで干からびたカニが出てきました。

5 処理
俺な、ホームレスなんだよ。ずっと◯◯公園を寝場所にしてたんだが、
オリンピックが始まるってことで追い出されちまった。
でな、都内から出て、関東某市の駅前公園にすみかを変えた。
そこには先住のホームレスが30人ほどいたんで、一人ずつあいさつして
回った。そういった仁義を切るのは大切なんだよ。古くなった弁当を
くれる店とか教えてもらったが、その中の一人が、「この公園な、いいところ
 なんだが、一つだけ、人を喰うゴミ箱がいるから気をつけろ」って。
「え、ゴミ箱が人を喰う?」聞き返すと、「そうだ、金属製の大きいやつ。
 だが、動きがにぶいんで、起きてる人間を襲うことはできねえ。寝てるときが
 危ねえが、体の近くに「ゴミではありません」と書いたダンボールの札を
 置いとけば大丈夫だ、俺も先輩から教えてもらった」ってな。

6 花
市の交通局に勤めてます。でね、警察の交通課とは業務が重なるんで、
協力して仕事することもあるんです。そこで知り合った警官の一人から
聞いたんですよ、「花をなめる化け物がいます」って。ほら、交通事故の現場に、
遺族や友人が花束、ジュース缶なんかをお供えしてることがあるでしょ。
それをなめるということで、さすがに「そんなバカなことが」と思ったんですが、
こないだ見ちゃったんです。飲み会で3次会まで行って、終電はとっくに
出ちゃったんで、サウナかネトカフェにでも泊まろうと思って、街をぶらぶら
してました。夜中の2時過ぎですね。そしたら、交差点脇に花束が積まれてて、
その前になんかいる。かなり大きなガマのような形のもの。少し近づいて、
「うわ」と思って飛び離れました。人間の手足、胴体の一部、髪の毛がくっついて
カエルのような姿になったのが、舌をのばして花束をベロベロなめてたんです。

7 転送装置
あ、どうも、県営体育館に勤務してます。今は公衆電話ってほんと見なく
なったでしょう。みなスマホ持ってますからね。けど、体育館の前には
電話ボックスがあるんです。これはね、中学生とかが試合に来た帰りに、親に
連絡するためのものです。ほら、学校は携帯禁止のとこもまだ多いから。でね、
こないだ、そういう子どもたちが話してるのをたまたま聞いてたら、どうもね、
その電話ボックス、「異次元につながってる」って噂になってるみたいなんです。
まあ、その子らにしてみれば、生まれたときから電話ボックスは珍しいもの
なんでしょうけど・・・けど、この間見ちゃったんですよ。夕方の7時ころ、
見回りに出てました。そしたら電話ボックスから、背は低いけど体格のいい
人物が出てきて、すぐにサングラスをかけ、迎えに来てた高級車に乗ってどっか
行っちゃいました。それね、プーチン大統領だったんです、ええ、あのロシアの。

8 公共マナー
早朝ジョギングをしてます。5時半から6時過ぎくらいまでですね。
早起きは健康的でいいですよ。最初は眠かったけど、今は平気だし、体重も
始めてから5kgくらい減ったんです。調子よく、車のほとんどいない
道を走ってたら、前の信号機が赤になるのが見えたんで、少し手前で止まって、
シューズのひもを結び直そうとしたんです。そしたら街路樹の植え込みのとこに、
たぶん犬のだと思うけど、ウンコが落ちてるのが見えました。ノラ犬は見かける
ことがないんで、散歩でマナーの悪い飼い主が放置したんだろうか、と思ってると、
草の中から白いものがいくつか出てきたんです。小人・・・なんだけど、体全体が
白くて服を着てないように見えました。目鼻はあって3人いたと思います。そいつら、
「あーあ」とか言いながら、アイスのへらみたいなのを使って、そのウンコ
片づけ始めたんです。一人が、「罰だからしょうがねえよ」とも言ってましたね。

9 箱
これな、俺が子どものとき、小学校3年か4年のときのことだったと思う。
男のガキどもがたくさん集まって、川原で水切りをしてたんだよ。
水切りって知ってるだろ、平べったい石を投げ、水面で何度もバウンドさせて
向こう岸まで届かせるやつ。コツは、できるだけ川面と平行に投げることだ。
で、俺はそれ得意だったから、自慢しながら遊んでたんだよ。当時の川は、
護岸とかしてなくて、ゴミがたくさん浮いてた。で、四角い木の箱が流れてきたんだ。
桐の箱だったと思う。見てると、俺らの前に来て箱がぽんと壊れた。
四方の板がはじけ飛んだんだよ。中には昔の・・・平安時代とかの着物を着て、
長い帽子をかぶった15cmくらいの男の人が立ってて、扇を開いて
踊り始めたんだよ。そうだなあ、見えなくなるまで踊ってたから5分以上は。
音楽とかは聞こえなかったけど、あれは何だったんだろうな。

10 大変
こういう短い話をたくさん書くのは大変です。






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