FC2ブログ

3人の鞍馬天狗

2020.01.11 (Sat)
regte (6)

今回はこういうお題でいきます。この話のカテゴリは難しいですね。
妖怪談義と怖い日本史が混ざったような感じですが、
いちおう妖怪のほうに入れておきます。みなさんは鞍馬山に
行かれたことがあるでしょうか。自分はついこの間、仕事で
訪問しましたが、お土産として天狗の面が売られてるんですよね。

鞍馬山の名前は、馬の鞍に似た形だからということだと思いますが、
夜に真っ暗になるところから「暗部山 くらぶやま」と呼ばれ、
それが「くらま」に転じたという説があります。鞍馬山には
鞍馬寺があって、あそこは、魔王が本尊になっている
日本のお寺の中でもたいへんめずらしいところです。

金星人サナート・クマラはニュー・エイジ思想でも有名


「くらま」という名前の由来として、もう一つ、太古の昔に
サナート・クマラと呼ばれる大魔王が天空から降り立ったため、
「クマラ」が「くらま」になったとする説もあるんです。
サナート・クマラは、サンスクリット語で「永遠の若者」。

ヒンドゥー教の神の一人で、1850年前に金星から飛来した
などとも言われます。このサナート・クマラが永遠の命を持って
今でも生きており、鞍馬山に伝わる伝説の天狗、鞍馬山僧正坊と
同一視されています。で、これについて、ロマンあふれる
話があるんですね。自分のような妖怪研究者にとっては、

鞍馬寺にある金星からの隕石とされる石


「天狗=隕石」というのは基本知識の一つです。現在考えられている
天狗の姿は、山伏の格好をした鼻の長い大男ですが、もともと
天狗という言葉は中国から来たもので、文字どおり
「天を走る狗(いぬ)」なんです。中国の古書『山海経』には、
犬とも猫ともつかない動物が天狗として出てきます。

大気圏に落ちてきた隕石は、空気との摩擦を起こして燃え、
ときには爆発を起こします。中国では、この現象を天を走る狗に
見立てたわけですが、日本に入ってきてかなり違うものに
なってしまいました。これにはいろいろな理由がありますが、
今回はくわしくふれません。

『山海経』に出てくる「天狗」 日本のものとはまったく違います
regte (4)

鞍馬寺の本殿正面には石が祀られていて、これは金星から落ちてきた
隕石だと説明されています。本当かどうかはわかりませんが、
古代に鞍馬山に隕石が落ち、それがもとになってサナート・クマラの
伝承につながったのだとしたら、ロマンのある話ですね。
このサナート・クマラが、まず一人目の天狗。

次に鞍馬山の天狗が歴史上に現れるのは、みなさんご存知だと
思いますが、源義経、幼名 牛若丸との関連です。
義経は、源義朝の九男として生まれますが、父が平治の乱で
敗死したことにより鞍馬寺に預けられます。後に兄の
頼朝と合流して、平家を滅ぼす立役者となります。

日本での一般的な天狗のイメージ
regte (8)

この義経が、鞍馬山時代、鞍馬山僧正坊とその眷属である
烏天狗から剣術や兵法を習ったという伝承が残っています。
山を降りた義経が、京の五条橋の上で悪僧弁慶と戦ったという
話もあるものの、武蔵坊弁慶は存在そのものが怪しい人物です。

そのときの様子が「京の五条の橋の上、 大の男の弁慶は
長い薙刀ふりあげて、 牛若めがけて斬りかかる」という有名な
童謡になっていますが、今の子どもはこの歌を知らないんですよね。
義経に剣術を教えたのは、天狗 鞍馬山僧正坊ですが、

源義経
regte (1)

実際は天狗ではなく、鬼一法眼(きいちほうげん)という
京都の民間陰陽師という説もあります。ただし、弁慶同様、
鬼一法眼が実在した証拠はほとんどありません。
鬼一法眼があみ出した剣術は、京八流の祖となったと言われ、

後に戦国時代になって、大野将監という人物が集大成して
鞍馬流剣術をうち立てます。鞍馬流は明治になって、一部が
警視庁に採用されますが、太平洋戦争時に鞍馬流の秘伝書、
古文書などは焼失してしまったようです。

天狗に剣術を習う義経(牛若丸)
regte (2)

さて、3人目はもうおわかりだと思います。幕末の世に忽然と
現れた剣士で、桂小五郎ら勤王の志士を助け、新撰組などの
佐幕勢力と戦います。ただし、実在の人物ではなく、小説家
大佛次郎がつくり出した架空のヒーローです。

自ら倉田典膳と名のりますが、どうも本名ではないようです。
その正体は不明で、水戸天狗党の生き残りとも、京都の貴族に
仕える公家侍であるとも言われます。映画ではつねに覆面を
していますが、原作小説にはそういう描写はありません。
戦前から昭和30年ころまで、鞍馬天狗を主人公にする映画が

天狗のような姿で描かれる鬼一法眼
regte (5)

たくさん作られたんですが、今はまったく流行らなくなってしまい
ました。これは何でなんでしょうね。鞍馬天狗を演じた俳優、
嵐寛寿郎のイメージが強すぎるのか、それとも幕末の知識が
広まって、架空の人物はもうお役御免なのか。もしかしたら
新撰組の人気が出て、悪役として描きにくいのかもしれません。

さてさて、ということで、今回は鞍馬山の天狗のお話でした。
自分は現在大阪に住んでいて、京都には仕事でもプライベートでも
ちょくちょく行きますが、平安京の昔から幕末まで、いろんな
歴史が詰まっていて、興味がつきません。では、このへんで。

regte (3)




関連記事
スポンサーサイト




トラックバックURL
http://scoby.blog.fc2.com/tb.php/2299-972a02bf
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する